久々のハードな汚部屋。敷金精算について考える

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

当方で所有しているアパートにて、先週、退去がありました。

幸いなことに、退去したお部屋に次の入居の申し込みが入っているので、

本来なら優雅な気持ちでリフォームに取り掛かれるのですが、

退去後の状態を見に行ったところ、かなりのダメージを受けました。

これから、この汚部屋(おへや)の敷金精算をしていくことになりますが、

それについて、いま考えていることを書いてみます。

ブログでは、臭いは伝わらないので、逆に良かったです

敷金精算の裁判は、貸主側に分が悪い

私はいままで、裁判所で争ったことが、3回あります。

そのうちの1件が、被告として訴えられた敷金精算事件です。

概要について申しますと、葵区にあった賃貸マンションに、親子3名で入居していた方が退去したのですが、

管理会社を通じた敷金精算では折り合いがつかずに、訴訟に移行しました。

退去後のお部屋は、畳は破ける、ふすまには穴を開ける、クロスは落書きや傷だらけ、という感じで、

まったくひどい有様でした。

預かっている敷金だけでは、とても現状回復費用を支払いきれないので、

私は、「誰が見ても、借主の故意過失による汚損」に当てはまる箇所を拾い上げて、

清算金額を計算して、請求しました。

それに対して退去者の方は、「部屋の汚れや傷は、子どものしたことであり、大目に見るべきだ」という反論を、

強く主張してきました。

「子どものしたことこそ、親が責任をとるべきでは?」と伝えたら、それが許せなかったらしく、

しばらくして裁判所から訴状が送られてきました。

こっちとしては、「望むところだ」という意気込みです。

・・・・・・

やってみてわかったのですが、裁判所は、前提として、「貸主側を悪」と捉えているようです。

貸主にとって、訴訟での敷金精算は、かなり分が悪い、と感じます。

原告側の訴えについては、裁判官は丸呑み。

私からの主張は、原告が答える前に、裁判官が「それは違うよ」と言ってくる始末。

第1回口頭弁論の冒頭10分くらいで、「こりゃだめだ、裁判官は俺の話を聞く気なしだな」と諦めました。

もっとも、諦めはしたものの、これも経験だ、と思い直して、

少額訴訟を拒否して通常訴訟に移行し、口頭弁論は3回やった記憶があります。

結局、最後まで、裁判官の貸主悪人説は変わりませんでした。

静岡地方裁判所でした。

裁判所で敷金精算を争うのは、時間の無駄だな、と思いました。

今回のお部屋の汚れ具合

以前、別の所有物件で、飼っていたペットにズタズタにされた部屋を見たことがあります。

今まではそれが、私の中でのトップオブ汚部屋でした。

今回、めでたくトップが入れ替わることになりました。

今回のお部屋の特徴を、ぜひ書かせてください。

  • タバコのヤニ汚れがひどくて、呼吸ができない

玄関を開けると、すさまじい悪臭が漂ってきます。

この段階で、警察を呼びたい心境になります。

一歩踏み入れると、視界に入るすべての壁が、タバコの茶色いヤニだらけです。

壁のヤニが溶け出して、スケッチした怨霊みたいになってる。
業者さんもつらい。

どこを向いても茶色。

「ここってもともと、こういうデザインだったっけ」と騙されてしまいそうです。

タバコ、ペット、油・・・
ソムリエも納得のスペシャルブレンド臭

臭くてたまらん、と思って、バルコニーの窓を開けつつ、エアコンを作動させたら、

エアコンの吹き出し口から、10年間歯磨きしていないおじさんの口臭のようなものが、風になって出てきます。

喉や鼻の粘膜が、声にならない悲鳴を上げています。

エアコンに罪はないけど、交換決定
  • 自由すぎるペット飼育

壁の下の方や、建具の下の方が、膨らんでいる箇所があります。

巾木がブヨブヨです、木材なんだけど

見間違えようのない、ペットの放尿によるものです。

壁紙や建具の樹脂シートが、ペットの爪とぎ用にしていたのか、ビッリビリに破られています。

爪とぎにちょうど良い壁です(こらこら)

まさか、入居者が破ったんじゃないよな。

まあ、ここまで破かれたら、どっちでも同じことですが。

どうすればこういう傷ができるのか、
賃貸経営を10年やっていますが、
想像できません。
  • ワンルールに2人入居

今回の入居者さんは、8畳のワンルームにお二人(うち一人は私より背の高い巨漢の男性)で住んでいました。

そのせいか(どうかはわかりませんが)、キッチンがひどいことになっています。

フライパンで、ぶっ叩いたのでしょうか。
ボコボコになったシンク。

シンクをボコボコにしながら、頑張って料理をしていたようです。

料理は頑張るけど、片付けは苦手だったのでしょうか。

よぉし、おいらも料理がんばるぞー

泣き寝入りができない性格

今後、敷金精算をしていきますが、お預かりしている敷金だけでは、確実に足りません。

追加で原状回復費用を、退去者さんに請求していくことになります。

すんなりとはいかないことは、わかっています。

しかし、訴訟移行はしないつもりです。

時間の無駄だから。

退去者さんとしっかり連絡をとって、時間をかけて、不足するであろう清算金額を請求していこうと思います。

・・・・・・

かつて5年ほど前に、この退去者さんは、家賃を滞納したことがあります。

事情を聴こうと思って、私が直接、お部屋を訪ねました。

こういう場合の訪問は、よく居留守を使われるのですが、この方はちゃんと出てきて対応してくれました。

詳しい事情は忘れてしまいましたが、本当にお金がない、ということでしたので、

滞納した家賃は分割払いでいい、ということにして、その場で私はお米を買いに行って、本人に渡しました。

その後も、しばらくお米の差入を続けていましたが、

家賃の支払いが正常化できたあたりで、差入は終了にしました。

・・・・・・

退去した室内の状況を見ても、今も生活は楽ではなさそうです。

敷金精算の姿勢を緩めるつもりはありませんが、

その方の生活を破綻させてまで、敷金回収を進めるつもりもありません。

こういうときは、お互いの考えや状況をオープンにして、とにかく連絡を取り続けることで、

解決の糸口を探っていくしかないな、と思います。

職人さんへの敬意が大切、そしてオゾンクラスターは最高だった

生活保護と敷金精算、「人物」と「引き際」の見極めが大切

”ただの人”としてのプロフィール

浅原会計事務所のご紹介