お疲れ様です。
静岡の税理士、浅原です。
私は、税理士とは別に、賃貸経営をしておりますが、
とある不動産仲介会社様から収益物件をご紹介いただきまして、
これから買い付けを入れようと思っています。
今までにも、何度も買い付けを入れてきたのですが、
買い付けを入れるときに私が考えていることについて、書いてみようと思います。
断られたときにどうするか
今までに何度も買い付けを入れてきた、とはいえ、
その件数はさほどではありません。
最初に買い付けを入れたのは、平成23年のことなので11年前になりますが、
この11年間で書いた買い付けは、40~50件くらいでしょうか。
ほかの投資家さんならもっと積極的に、ガンガン買い付けを書いて、チャレンジして、
とやってきたのでしょうけど、
私の買い付け数が少ないのは、自身の物件選定がかなり厳しいからでしょう。
特に、エリアに関しては、厳しくみています。
現在も、その物件選定の基準は、緩めていません。
さて、買い付けを入れる前に、当然ながら、
検討すべきポイントは十分に検討を行いますが、
そのうえで、「よし、前に進めよう」と判断したときに、
最後に考えるのは、
「一手目の買い付けが通らなかったときにどうするか」
ということです。
一手目が通らなかったとしても、最終的に物件を買えた、ということは、
いままで何度かありました。
私自身が経験したのは、次のようなパターンです。
- 一手目の後、再度、買主側から売買金額を出しなおしたら、その金額が通って、売買合意に至る
- 一手目の後、売主様から、売買金額の再提案をいただいて、それを買主側が受け入れて、売買合意に至る
- 一手目の後、売主様に直接手紙を書いて送ったら、翻意してもらえて、売買合意に至る(仲介会社さんに嫌がられてからは、止めてます)
一手目の買い付けが通らなかったとき、当事者のリアクションは様々ですが、
ここで重要なのは、
「追いかけるのは、何手目までか」
という点です。
特に、賃貸経営は「仕入れがすべて」ですので、
買い付け条件の設定は、とても重い意味を持ちます。
また、二手目の動きを想定すると、一手目の出し方も、
それに合わせて微調整が必要になってきます。
私の場合は、
「一手目の買い付け条件で通らなければ、購入後のマンション運営は厳しいものになる」という場合には、
「二手目はなし」。
これに対し、
「一手目の買い付け条件にはやや交渉幅を含んでいる」という場合には、
追いかけたとしても「二手目まで」、
と決めています。
二手目というのは、すなわち「双方の歩み寄り」です。
売主買主ともに、相手に歩み寄ってもよい、という柔軟性を持っている場合には、
売買合意に至る可能性はとても高くなります。
しかし、二手目では着地できずに三手目まで行くと、
私の感覚では、しつこさの方が際立ってきます。
それに、交渉が長引くにつれ、
最初の一手目の条件は、それほど覚悟を持った条件ではなかったのかなと、
相手の気持ちも冷めていくでしょう。
不動産売買を、「ご縁の賜物」と捉えるならば、
「二手目でまとまるかどうか」が、
ご縁の有る無しの見極めポイントになります。
双方の「溝」と「歩み寄り」
以前、私自身が売主になって、自社の保有物件を売却したときの話になりますが、
購入申し込みをされた方の中に、
私が希望条件に合わないとして、断っているにも関わらず、
金額を微妙に変えたり、新しい説明を加えたり、時期をずらしたりして、
何度も交渉を仕掛けてくる方がいました。
最終的には、その方は諦めていかれましたが、その時思ったのが、
「一方的な主張だけでは、お互いの距離は縮まらない」、ということです。
もともと、売主と買主には、どうしても「越えられない溝」があります。
売主は1円でも高く売りたい、買主は1円でも安く買いたい。
この溝は、無くなることはありません。
しかし私自身、11年間、売買を繰り返してきて思ったのは、
「溝は無くならなくても、距離を縮めることはできる」ということです。
お互いに、立っている地平は別々でも、
溝の幅が狭くなっている地点まで歩み寄れれば、手を握ることができます。
お互いに歩み寄って、手を握ろうと思えるかどうか、
それが、すなわち「ご縁」ということでしょう。
また、そのように考えておけば、
買えないときにも「ご縁がなかった」と思って、きれいに諦められます。
お金を追いかけない
賃貸経営をしていて、物件数を増やしたくなる、規模拡大を目指したくなる、というのは、
自然な成長欲求なのかもしれません。
私自身、賃貸経営自体に面白さを感じて、物件数を増やしてきました。
しかしあるとき、規模が拡大していくことを、苦痛に感じるようになりました。
平成29年までは、毎年、少ないときでも1棟は購入していましたが、
平成30年以降は、今日まで、まったく購入していません。
賃貸経営の場合、自分にとっての運営パターンが確立されてしまえば、
基本的にやることは同じことの繰り返しです。
ですので、規模を拡大していけば、お金は稼げるでしょう。
しかし、新しい取り組みをしない限り、自分の知識や経験値はさほど変わりません。
そして、規模の拡大に比例して、自分の時間は減っていきます。
賃貸経営に限らず、また、規模の大小に限らず、
経営者は常に「自分はこのビジネスを通じて、何を追いかけていきたいのか」ということを、
明確にしておかなくてはなりません。
私がビジネスを通じて追いかけていきたいのは、お金や欲望ではなく、
「善き友人(お客様や取引先)との善きコミュニケーション」です。
そのことに気付いてからは、
無暗な規模拡大は、止めました。
まとめ
久々に、収益物件に買い付けを入れることになりましたので、
自分の買い付け申し込みに対する考え方を書いてみました。
本業の忙しい時期に、熟考する時間を確保するのはきついですが、
売り物件が出るときは、こちらの都合などお構いましなので、
売主様に合わせていくしかありません。
それもこれも全部含めて、不動産売買は「『ご縁』だな」と感じます。
これから買い付けを入れてみよう、としている方のご参考になれば、幸いです。