高齢者の定期預金に関するリスク

お疲れ様です。

静岡の税理士、浅原です。

お客様とお話しているときに、

お客様の高齢のお母さまのことが話題に上がりました。

お母さまは、体は元気だが認知症の症状が進んでおり、

また、銀行預金は結構持っていて、

さらに、相続税対策として高額の生命保険に加入している、

ということでした。

似たような状況のご家庭は、周りにけっこういるので、

高齢の親が銀行預金を持っている場合のリスクについて、

書いてみようと思います。

【参考ブログ】

贈与税110万円控除の廃止の延期。「扶養義務者間の生活費・教育費の非課税」もうまく使おう

「定期預金があれば安心」という心理

日頃、お客様と接していて感じるのが、

70代以上のお客様の場合、定期預金への信望が非常に厚い、

ということです。

「定期預金があれば安心」というフレーズを、

呪文のようにおっしゃる方もいらっしゃいます。

40代の私には、ちょっとよくわからない感覚です。

金利はつかない、手続きは面倒、

定期預金って何の意味があるのだろう。

定期預金の存在意義すら、私には理解できません。

まあでも、かつて高度成長の時代には、

定期預金の金利も高かったでしょうし、

日本の全国各地で、そのような意識の刷り込みがなされているのかもしれません。

実際、定期預金に安心感を抱いている客様に、その理由を聞いてみても、

たいてい明確な説明はないので

(別に、悪いことしているわけではないので、かまいませんが)、

おそらく一種の宗教に近いのかな、と思っています。

定期預金を引き出せなくなるリスク

私自身は、一切定期預金を使っていません。

懇意にしている金融機関が地元の信用金庫なので、

たびたび、「せんせー、定期頼めないかなー、月末一瞬だけでいいからー」と言われて、

何度か協力したことはありますが、

私の定期嫌いが支店内で浸透したせいか、

最近、協力要請はなくなりました。

私が定期預金を嫌いな理由は、

ひとえに「手間がかかる」の1点のみです。

預けるのも引き出すのも、

金融機関の営業時間内に(これがまず難しい)、

定期通帳と印鑑を持参して(たいてい初回は忘れる)、

窓口で書類に記入して、

免許証を提示して、

入出金の処理が終わるのを待って、と、

考えただけでムリムリ、と思ってしまいます。

こういった、入出金プロセスが複雑な定期預金は、

高齢者が利用した場合に、次のようなリスクがあります。

預金者の認知機能の低下により、出金できないリスク

前述の通り、普通預金のATM利用に比べて、

定期預金の入出金(特に出金)は、

複雑で、金融機関側も慎重になります。

預金者が、高齢ゆえの認知機能の低下により、

窓口でのやりとりがしっかりできないと、

定期を解約して引き出すことができなくなります。

本人確認や解約する理由について、本人がちゃんと説明できるか。

解約の書類に、ちゃんと記入できるか。(ちゃんと読める文字で書けるか)

40代の私には何でもないことが、

80代、90代の高齢になってくると、非常に困難になるだろうと、

ということは容易に想像できます。

まだまだ元気で大丈夫、だと思っていた親が、

2~3年のうちに認知機能の低下が急激に進んでしまった、

ということもよく聞く話です。

「答える」「書く」ができなくなると、

定期預金は引き出しにくくなります。

預金者の運動機能の低下により、出金できないリスク

高齢になると、運動機能が低下してくることは、

いまさら説明の必要はないでしょう。

まだ、足腰が弱くなった、とか、

一人で外出させるのは怖い、というレベルなら、

身内が車に乗せて、一緒に金融機関まで同行すれば済む話です。

問題は、

ベッドから起きられない、

病院から出られない、

というような状態になってしまった場合です。

私は、金融機関の人間ではないので、

そういう場合の詳しい手続きはわかりませんが、

そういう場合でも、何かしら、解約出金の方法はあるでしょう。

ただ、そういう場合の手続きは、通常の手続きに比べて、

複雑になることは避けられないです。

本人が窓口に行くことができない以上、

代わりの人が窓口に行くか、窓口に来てもらうしかなくなります。

「行く」ことができなくなると、

定期預金は引き出しにくくなります。

早めに普通預金への切り替えをしておきたい

上記のような、お金を引き出せなくなる、

というリスクを避けるために、

私としては、

定期預金を普通預金に切り替えて、キャッシュカードを作っておく、

ということをお勧めしています。

何の変哲もないごく普通のことで、恐縮ですけど。

普通預金であれば、ATMが使えます。

キャッシュカードがあれば、

預金者本人でなくとも、預金の引き出しができます。

代わりの人に行ってきてもらう、ということが、

普通預金であれば、各段にしやすくなります。

通帳と通帳印とキャッシュカードの管理はしっかりやっていかなくてはなりませんが、

それでも、銀行に預けたお金を動かせない、という事態にはなりません。

高齢の親が定期預金をお持ちの場合は、こういった点にご注意ください。

昨日の仕事

  • 清水区江尻町のお客様に所得税申告の報告

関与先のお寺の先々代のお坊様、御年96歳。

体力は落ちてきたけど、口調は住職時代と変わらず元気。

  • 清水区押切のお客様に決算報告とコロナ給付金申請の打ち合わせ
  • 清水区梅ケ谷のお客様に決算報告と、今後の保険契約の見直しについて打ち合わせ

帰りに寄ったコンビニの駐車場で、101円を拾ったので、レジにあった募金箱に投入。

1日に3件の訪問は、けっこうきつい。

通りすがりに撮った桜
今年もいつの間にか桜の季節です