年始にやっておきたい資金繰り予測。頼れる経営者のソワソワ感

お疲れ様です。

静岡市の税理士、浅原慎一郎です。

年始にやっておきたい資金繰り予測について、書いてみようと思います。

資金繰り予測をしてみて、不安を感じることがなければ、それでよいですし、

もし不安を感じるようであれば、早めに対応策を講じておくことで、

心配事の目を摘み取っておくことができます。

資金繰りは、とにかく早めの対応が肝心です。

狭い路地裏を走る我が子たち。
子供たちとの距離が離れると、
なんとなくソワソワしてしまいます。

簡単な予測の立て方

資金繰り予測を立てておくことは、とても大切です。

とても大切なのですが、あまり時間をかけても仕方ありません。

なぜなら、世の中も自分のビジネスも、予測通りには動かないからです。

そこで、時間をかけずに、ざっくりと予測を立てます。

具体的には、つぎのように頭の中で計算します。

いちいち電卓は使いません。

(「去年1年間で使った経費」-「一過性の経費」) ÷ 12 + 個人事業の場合には「毎月の生活費」

※「毎月の生活費」は、法人の場合は不要です。

この計算式で出てきた数字が、

「およそ毎月必要となる運転資金と生活費」と見込んで、

今ある手元資金だけであと何か月持つか、

と考えてみます。

もちろん、ビジネスをしていれば、売上金の入金もあるのですが、

確実性という観点で見ると、

出金は、ほぼ確実に出ていくのに対し、

入金は、出金に比べて確実性が劣ります。

ですので、売上金の入金については、

私は計算に含めないことにしています。

たとえば私の場合、過去の実績で見ると次のようになります。

税理士業で使った経費の年間合計額・・・3,467,331円

一過性の経費・・・0円

個人事業なので、毎月の生活費・・・250,000円くらい

以上の点から、毎月必要となる運転資金と生活費の見込み額

・・・ (3,467,331円 - 0円) ÷ 12 + 250,000円 = 538,944円

となります。

仮に、半年間、売上入金なしで耐えるには、

手元資金は、538,944円×6か月=3,233,664円が必要となります。

同様に、1年間入金なしで耐えるには、その倍の6,467,328円が必要になります。

さて、今ご自身のお持ちの手元資金だと、あと何か月持たせられるでしょうか。

その回答に対して、

「ちょっとこの手持ちでは心もとないな」、と心配になるようであれば、

銀行と融資の相談をしておくことをお勧めします。

決して、今借りる必要はありません。(資金繰りが切迫していれば別ですが)

いざ、本当にお金が足りない、となった時のための下準備です。

重要なのは、理論値ではなく経営者さんの肌感覚

この計算式は「売上入金を加味しない」という点で、極端です。

売上入金がないのなら、2カ月と持たない、という事業者さんも多いと思います。

仮に、短期間しか持たないとなったとしても、

実際には、売上金の入金はあるでしょうから、

そんなに心配する必要ありません。

ここでお尋ねしておきたいのは、経営者さんが、

この計算をしてみて、「胸がソワソワするかどうか」です。

たとえば、賃貸経営のように、

「いきなり入居者がゼロになり、家賃収入が途絶える」という事態はまず起きないだろう、

という場合には、そこまでソワソワすることはないでしょう。

こういう場合は、手持ち資金で耐えられる期間が、仮に短期間だったとしても、

「もうちょっと手元資金を厚めに積んでおきたいな」とは思うかもしれませんか、

借入に動こうとは思わないと思います。

それに対して、卸売業だったり、受注生産の仕事だったりすると、

ちょっとした巡り合わせで売上が半減したり、入金が遅れたり、ということがありうるので、

6カ月くらいは手持ち資金で持たせられる状況にないと、ソワソワするかもしれません。

ソワソワする、ということは、たとえ言語化できなかったとしても、

心の奥の方で、危機を察知しているということです。

過去の経験から直観的に、リスクを感じ取っているのだと思います。

そういうときは、素直に、資金手当てに動きましょう。

概して、ビジネスの第一線を知らない税理士が説明する理論値よりも、

常に経営の第一線に身を置く経営者の肌感覚の方が、真実に近い、

と、日頃から感じています。

まとめ

年始にやっておきたい資金繰り予測について、まとめてみました。

心配事は、早めに着手しておくことで、

心配事のカテゴリーから、棚上げすることができます。

逆に、着手しなければ、いつまでたっても「心配事」として、

心のメモリーを消費していきます。

日頃から、心配事や気になることは早めに手を付ける、

ということを習慣にしておきましょう。