やさしいキャッシュフロー。営業キャッシュがプラスでも安心してはいけない。

こんにちは、税理士の浅原です。今日も晴れて暖かかったですが、夜から雨ですね。バランスよく、晴れと雨が入れ替わるのが一番いいです。

さて、昨日のキャッシュフローの続きです。

キャッシュフローの種類を3つに分けることにして、そのうち「① 銀行借入に関するもの」と「② その月限りの臨時のもの」は、昨日説明しました。

今日は、「③ ①②以外のもの」と、出てきた数値をどのように判断していくかについて、見ていきましょう。

まず、「③ ①②以外のもの」は、これも字のごとく、①と②以外の入出金を意味します。

では、①②以外の入出金とは何なのかというと、 まず、①の金融取引を除外していますので、その結果「営業取引によるもの」という意味になります。

そして、②の臨時取引を除外していますので、同様に「毎月出てくるもの」という意味にもなります。

要するに「営業上、毎月出てくるもの」、これを称して「営業キャッシュフロー」といいます。

集計するのは実に簡単です。

その月の入金額の総額から、①の金融キャッシュインと、②の臨時キャッシュインを差し引けば、その残りが③の営業キャッシュインです。

同様にその月の出金額の総額から、銀行キャッシュアウトと臨時キャッシュアウトを差し引けば、残りが営業キャッシュアウトです。

そして、営業キャッシュインから営業キャッシュアウトを差し引いたものが、「営業キャッシュフロー」となります。

これで、入出金の3分類化はわかりましたね。

マンションの退去後リフォーム工事が進んでいます。DIYが好きなので、私も作業仲間に入れてほしい。

次は、これらの数値をどのよう経営判断に活かしていくか、です。

では、パターンに分けてみていきましょう。(ちなみに、その時点のキャッシュフローのプラスやマイナスという結果には、捉われないようにしてください。ビジネスをやっていれば、良い時も悪い時もあります。お金だって、増えたり減ったりするのが当たり前です。知りたいのは、お金が増えたり減ったりした要因がなんだったのか、という一点のみです)

金融キャッシュがプラスの場合

・・・金融機関から借入を起こした場合に、そうなります。 借入を起こせば、次の月から元本返済と利息の支払いが始まります。

金融キャッシュがマイナスの場合

・・・金融機関からの借入があり、元本返済や利息の支払いをしていると、そうなります。 そのマイナス金額と同額以上の営業キャッシュのプラスがないと、手元資金を取り崩して返済している状態になります。 そのため、金融キャッシュがマイナスの場合は、営業キャッシュがプラスであることが必須になります。

臨時キャッシュがプラスの場合

・・・補助金や助成金、あるいは保険金のような一時的な収入があったことが伺えます。 それらの収入は一過性のものである、と認識しなければなりません。

臨時キャッシュがマイナスの場合

・・・設備投資や大規模修繕等が行われると、そうなります。 多額の退職金や賠償金等も、その原因になります。 ここでキャッシュが減ったとしても、それは一時的なものであり、今をしのげれば来月は楽になるはずです。 ですので、今をしのぐことに集中します。

営業キャッシュがプラスの場合

・・・これについては、慎重に見ていく必要がありあす。 利益率が高く、恒常的に利益が出せる構造になっているからなのか、もしくは、決算セールなどの在庫圧縮による現金化を図ったためのプラスなのか。 前者であれば、現状、ビジネスはうまくいっているはずなので、落ち着いて商品企画や営業戦略を検討することができます。 後者であれば、増えすぎた在庫を圧縮し、回転率を上げている最中だと思うので、その流れを滞らせないようマネジメントをしっかりしてく必要があります。

営業キャッシュがマイナスの場合・・・強い危機感を持つべきです。 このマイナスが続くと、ビジネスの継続ができません。 マイナスの理由は、いろいろと考えられます。 在庫増加による回転率の低下、売掛債権の回収遅延、人件費の膨張、などです。 早急に原因を特定して、改善していく必要があります。

こんな感じで、経営上の課題がどこにあるのか探っていって、その都度手を打っていけば、大コケすることはないはずです。

問題は、手を打ってから改善されるまでにどれくらいの期間がかかるのか、です。

例えば、人件費を見直そうとするなら、日々の業務の合間に、給与計算の規定を作り直して、従業員の合意をとって、とやっていると、あっという間に3~4か月たってしまいます。

その間、キャッシュは減り続けてしまいます。

でも、それらの作業を短期間でやろうとしても、物理的に限界があります。

だからこそ、手元の運転資金に余裕を持たせておく、ということが、ビジネスをしていく上で非常に重要になってきます。

手元資金に余裕がなければ、経営判断にも余裕がなくなってきます。資金にも時間にも、常に余裕を持たせておくのが理想です。

「臨時収支はプラマイゼロ、金融キャッシュはマイナス、営業キャッシュは、金融キャッシュのマイナスを上回るプラス額」を目指して、頑張っていきましょう。

新品のエアコンです。イエーーー!

今日の業務は、「農家さんの新規融資の打ち合わせ」「自分とこの経理資料の整理」「エアコン修理の立ち合い」「マンションリフォームの打ち合わせ」でした。