10年前の駅近物件の教訓

お疲れ様です。

静岡の税理士、浅原です。

近所で売りに出た収益物件について、買い付けを入れていたのですが、

厳しい指値を入れていたため、売主様からは不可とのお返事でした。

もっとも、金額以外の点は全然問題なかった、ということなので、

非常に悩みましたが、

改めて金額を上乗せして、買い付けを出し直すことにしました。

外からの見た目とは裏腹に、内部の傷みが激しい物件だったので、

買った後の修繕費を考えると、上乗せする金額にも限度があります。

しかし、多めに上乗せした方が、売主様との希望価格とは幅が縮まるので、

売主様の気持ちを動かせる可能性があります。

だとすると、少額の上乗せでは、出し直すことにあまり意味がないかも。

そんなことで、激しく悩んでいた時に、

10年前に買い付けを入れずに逃した物件のことを思い出しました。

あの時も、かなり悩みました。

だいぶ前のことになりますが、その時のことを書いてみます。

「借金で収益物件を買う」というのは
「熊猟」に似ているかもしれません。
獲物としては上級ですが、
出会い方を間違えると、
こちらがやられます。

10年前に逃した駅近物件

10年前の当時、私はセミリタイヤから復帰して、税理士の仕事を頑張ろうと、

今とは違ってリアルな営業活動の方に力を入れていました。

そして賃貸経営の方も、新たな物件を探して、

時間の許す範囲で、不動産仲介会社を回って情報収集を進めていました。

その時に、ちょうど同じタイミングで、優良な情報が入ってきました。

「静岡駅から徒歩5分、RC造、住居メイン、利回り10%、1億5千万円」

「清水区、軽量鉄骨、オール住居、300坪、利回り9.5%、1億4千万円」

すぐに現地に足を運んで、状況確認を行いました。

非常に悩みました。

両方買う、という選択肢がないわけではないものの、

税理士の仕事もしながら、そこそこの規模の物件を、

2棟同時に仕上げていくことが、私一人でできるだろうか。

軌道に乗せるのに時間がかかったとしても、

借金の返済は、借りた後すぐに始まってしまいます。

銀行は、こちらの進捗度合など、気にも留めません。

悩みに悩んだ末に、

築浅で、かつ駐車場もある清水区の物件を買うことにしました。

ただ、これは本当に悩みました。

静岡駅から徒歩5分、とほごふん。(なんてすばらしいフレーズでしょう)

立地に関しては、駅近物件が圧倒的に有利でした。

駅近物件の内覧の時のことを、今もよく覚えています。

内覧の日は、雨でした。

現地に早く着いた私は、エントランスで待っていると、

アイワ不動産の当時、取締役だった関根様(現在は社長)が、お見えになりました。

名刺交換をして、じゃあ入りましょう、となって入っていくと、

最初に目についたのが、共用部の荒れ具合です。

まあでも、これくらいなら何とでもなるな、逆に指値の根拠にできるな、と計算しつつ、

空いているお部屋の中を見せていただきました。

3点ユニットでしたが、意外と浴室内が広い。

今でいう、1.5坪タイプだったと思います。

(対して我が家の浴室は、0.75坪。体を洗う度に、肘が壁にぶち当たる)

この広さがあれば、3点ユニットはアーバンな感じ(?)で、逆に武器になるかな(?)

と感じました。

建物を出た後、両方欲しい、という気持ちと、

本当に2棟一緒にやれるのか、本当に金借りられるのか、

という不安感のせめぎ合いになりました。

清水区の物件と駅近物件を比較すると、駅近物件には、

3点ユニット以外にも、

昭和時代の築古・・・RCとは言え、あと何年持つかな?

エレベーター付き・・・昭和の時代のエレベーター、何年持つかな?

外壁がコンクリート打ちっぱなし・・・建物の劣化を早めそう。外壁塗装するにしても、塗料がちゃんと乗るのだろうか?

躯体工事が雑・・・コンクリートの柱の下の方が、砂利のままになっており、しっかりとコンクリートの撹拌がされていないみたい

1階がテナント・・・テナントには慣れていない

などの将来的な不確定要素、不安要素がありました。

対して清水区の物件には、この先20年くらいは賃貸経営をしていくと考えても、

間取りは単身用で現代的、駐車場あり、隣の敷地にドラグストアやコンビニと、

駅近物件に比べて、不安に感じる要素は少なかったです。

借金を使う時には無理をしない

不動産売買が、ビジネスの種である場合には、

私は、無理をしないことが重要だと思っています。

不動産売買は、ひとつひとつの取引が高額なものになり、

ほぼすべてに、銀行借り入れが絡んできます。

借金は、上手にコントロールできれば、

いまの自分のステージをはるかに上回るものにも手を出すことができますが、

コントロールに失敗すると、その借金の刃は、自分に向かってきます。

不動産売買には、そういった特性がありますので、

常々、自分のコントロールが及ぶ範疇のものに絞って、

手を出すようにしてきました。

具体的には、エリアは静岡市内、種別は住居系のみ(テナント不可)。

ロットは、あまり気にしていません。(市内の住居系ならば、基本的にやることは同じだから)

「無理をしているとき」というのは、

そのことに、意識では気が付かなかったとしても、

心で気付いているときがあります。

むしろ、その方が多いように思います。

先の駅近物件でいうと、3点ユニットバスについて、

賃貸市場での不人気具合、

将来的な浴室改修工事の必要性、

築古物件にそこまで修繕費用を掛けられないという心理との板挟み、など、

心が感じている「無理」に対して、

意識は、欲望に従って「都合のいい情報整理」をしてしまいがちです。

無理をしているかどうかは、

頭で考えるよりも、

心に聞いてみるのがお勧めです。

まとめ

買付けで悩んだ時に心掛けていることについて、書いてみました。

ビジネスにおいては、それぞれの局面で、多様な指針がありますが、

私は借金が絡む場面では、「無理をしない」ということを、

重要な指針にしています。

借金の失敗は、取り返すのに時間がかかりますから。