お疲れ様です。
税理士の浅原です。
私は、資産管理法人として、一般社団法人を賃貸経営に利用しているのですが、
理事の重任(再任)の登記をすっかり忘れて、数年間ほったらかしにしていました。
そのときのことは、こちらにブログに書いてあります。
「けっこうめんどくさいな、一般社団法人はよぅ (*´Д`) 」と、今さらですが思っています。
さて、ビジネスを始めるときには、「どの形態でやっていくか」を選ぶことになります・
一般的には、「個人事業」「株式会社」「合同会社」「一般社団法人」の中から、
どれかを選ぶことになると思います。
どれを選ぶかは、事業の内容や性質、設立コスト、法人の特性によって変わってきますが、
それぞれの事業形態にどのような特徴があるか、簡単にまとめておこうと思います。
(行政の許認可に関することは、それぞれの専門分野のサイトでご確認ください)

家にいるときは兄弟ゲンカばかりですが、
外に出ると、うまくかみ合ってくれて助かります。
設立前「準備資料」
- 株式会社、合同会社、一般社団法人
・・・定款、設立登記申請書、印鑑証明書など、多数の書類が必要
- 個人事業
・・・法務局への登記は必要ないので、定款も登記申請書も不要
上記以外に、会社組織の場合だと、社名を決めたり、代表印も用意する必要があります。
司法書士さんに、手続きをお願いするにしても、決めなければならないことが、たくさんあります。
また、上記手続きにより法務局の登記が完成したら、税務署や社会保険事務所に、
別途届け出書を出さなければなりません。(個人事業も同様です)
設立前「資本金、出資者・取締役の数」
- 株式会社、合同会社
・・・出資者も取締役も最低1名いればよい。資本金は1円以上あればよい。
- 一般社団法人
・・・社員(出資者)は、最低2名が必要。理事(役員)は、最低1名でよい。資本金は不要。
- 個人事業
・・・出資者、取締役の人数制限はない。資本金も不要。
以前にくらべて、現在は、最低資本金額や取締役の人数制限がなくなったので、この点での差は少なくなりました。
最低資本金額が1円以上、という点は、法律上はそうなっていますが、現実的に資本金1円の会社は、
見たことがありません。 (-_-)
銀行からお金を借りたり、従業員を雇ったり、という予定がある場合には、
少なくても50万円くらいは資本金を入れておいた方がいいように感じます。
(設立後に、資本金を増額することもできます)
設立前「設立時のコスト」
- 株式会社
・・・登録免許税として、最安で150,000円、電子定款による公証人認証手数料として50,000円。(紙面の定款の場合は、さらに40,000円)
- 合同会社
・・・登録免許税として、最安で60,000円、定款認証は不要。(紙面の定款の場合は、40,000円の印紙代が必要)
- 一般社団法人
・・・登録免許税として、60,000円、電子定款による公証人認証手数料として50,000円。(紙面の定款の場合も、追加料金なし)
- 個人事業
・・・登録免許税、定款認証手数料、ともに不要
安けりゃ安い方がいいものの、設立時にかかるコストは最初だけなので、あまりこの点にこだわらなくてもいいと思います。
それよりも、「会社をどういう目的で利用するのか」と、「設立後の手間の大小」が、重要だと思います。
設立後「役員の任期」
- 株式会社
・・・・任期は原則2年。2年ごとに再任となる。任期を10年に延長することも可能。
- 合同会社
・・・役員の任期がない。ゆえに再任の登記申請も必要ない。 (´▽`)
- 一般社団法人
・・・任期は2年。2年ごとに再任登記が必要。任期延長制度はない。
- 個人事業
・・・役員自体が存在しない。当然任期もない
いずれも、再任の登記申請をする場合には、1回あたり登録免許税10,000円がかかります。
一般社団法人が、一番手間がかかります。(登記は2年に1回)
手間がかかるということは、お金もかかる、ということ。(10年で5万、忘れりゃ罰金 (*´з`) )
ですので、一般社団法人は、明確な利用目的がある場合に限り、設立するようにするのがいいと思います。
設立後「決算申告」
- 株式会社、合同会社、一般社団法人
・・・複式簿記で作成した会計帳簿をもとに、決算書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書など)と、税務申告書(法人税、事業税、県民税、市民税、消費税など)を作成する必要あり
- 個人事業
・・・ミニマムな対応ならば、単式簿記で作成した帳簿をもとに、決算書(損益計算書のみ)と申告書(所得税申告書のみ)を作成すれば足りる (^◇^)
会社形態の場合に作ることになる税務申告書類は、私の感覚では、
やはり税理士のような専門の勉強をした人でないと、なかなか自力で作成するのは、難しいと思います。
というか、作ることはできるものの、出来上がった申告書に自信が持てない、と思います。
ですので、会社形態でビジネスを始めるならば、帳簿作成や決算申告書作成を
税理士に依頼するコストも織り込んでおいた方がいいです。 (; ・`д・´)
目的別事業形態の選び方
- 手間もコストも掛けたくないけど、個人事業よりは会社形態がいい
・・・「合同会社」がいいと思います。
スモールビジネスならこれ!という感じでお勧めです。
一旦設立したら、あとは役員の任期も気にしない、決算公告も気にしない。
ビジネスに集中できます。 (^▽^;)
- 社名を前面に出したビジネス
・・・「株式会社」がいいと思います。
社名を前面に出す機会が多いとなると、一般社会に浸透している「株式会社」がなじみやすいです。
合同会社や一般社団法人だと、いちいちお客様への説明が必要になるかもしれません。
- 会社に対して、パブリックな印象を持たせたい
・・・「一般社団法人」がいいと思います。
ゴリゴリの営利事業であっても、社名に「一般社団法人」の文字が入っていると、なぜか会社のテイストが、マイルドな感じになります。
会社に、公共的な存在価値を持たせていきたい場合にも、いいと思います。
- 商品名や個人名、個人の技術などで売り出していきたい
・・・「個人事業」がいいと思います。
飲食店やサービス業など、「その人」や「その人の作るもの」にフォーカスしたビジネスならば、お客様にとって会社形態か否かは重要ではありません。
そういう場合には、個人事業でスタートして、成り行きを見ながら、会社形態にするかどうかを考えていく、というスタンスがお勧めです。
まとめ
会社形態をそれぞれポイントごとに、まとめてみました。
事業目的による制限、合併ができない組み合わせ、などもあるので、
さらに細かく見ていくことも必要かもしれません。
それでも、上記のポイントが把握できていれば、大まかな検討の方向性は打ち出せると思います。
私のように、「一般社団法人を設立したあとに、思いのほか手間がかかって若干後悔する (´゚д゚`) 」
ということがないようにしていただきたいです。
ご参考まで。