高額不動産の名義変更の強い味方!「信託譲渡」のざっくり解説

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

私は、税理士業と一緒に賃貸マンションの貸付業をしています。

賃貸業とのハイブリット経営のススメ

かつて、とある事情から、個人で所有していた賃貸物件を法人名義にしたくて、

その際、通常の譲渡ではなく「信託譲渡」という手法を使いました。

ご存知のとおり、不動産を譲渡する場合には、

所得税以外に、流通税としての、「不動産取得税」と「登録免許税」が発生します。

この2つの税金負担がネックとなって、

個人名義から法人名義への切り替えを躊躇してしまうパターンが多いです。

がしかし、「信託譲渡」という手法を利用することで、

譲渡直後に生じるこれらの税金負担をかなり抑えることができます。

先にお伝えしておきますが、

信託譲渡をした後、数十年後に訪れる信託行為の終了時点においては、

通常の譲渡をした場合と同じ税額の不動産取得税と登録免許税が発生します。

ですので、物件を購入してから完全に使い切るまで、というスパンで考えると、

負担する税金は、信託譲渡でも通常の譲渡でもそれほど違いません。

それでも、多額の流通税が発生するタイミングを、数十年後に先送りできる。

そして先送りしている間に、せっせと節税によって資金繰りを楽にすることができる、

というのは、資金繰りプランを立てる上でとてもメリットがあるので、

この手法をご紹介させていただきます。

信託と一般社団法人は、一時期、本で調べまくりました。
私にとっては参考書が、唯一の確かな相談相手です。

先送りできる税金

まず最初に、譲渡行為に伴って、通常発生する税金について触れておきます。

(譲渡所得に対する所得税は除きます)

一般的な通常の不動産譲渡の際に発生する税金は、次の通りです。

(住宅用不動産と仮定して、軽減措置も加味しています)

【通常の譲渡のとき】

不動産取得税・・・(内訳)土地 ⇒ 固定資産税評価額 × 1/2 × 3%

             建物 ⇒ 固定資産税評価額 × 3%

登録免許税・・・(内訳)土地 ⇒ 固定資産税評価額 × 1.5%

            建物 ⇒ 固定資産税評価額 × 2%

これに対して、通常の譲渡ではなく、信託譲渡の形式をとった場合に発生する税金が、次のようになります。

【信託譲渡】

不動産取得税・・・かからない

登録免許税・・・(内訳)土地 ⇒ 固定資産税評価額 × 0.3%

            建物 ⇒ 固定資産税評価額 × 0.4%

だいぶ負担が変わってくることがわかります。

仮に、固定資産税評価額が1億円の住宅用賃貸マンションについて、

通常の譲渡をした場合と、信託譲渡をした場合とに分けて、シミュレーションをしてみます。

固定資産税評価額の内訳については、

街中エリアにありがちな土地評価額より建物評価額が高めの設定ということで、

土地評価額40,000,000円

建物評価額60,000,000円  というラインで計算してみます。

通常の譲渡の場合は、次のようになります。

【通常の譲渡 シミュレーション数値】

不動産取得税・・・合計 2,400,000円 

         (内訳)土地 40,000,000円 × 1/2 × 3% = 600,000円

             建物 60,000,000円 × 3% = 1,800,000円

登録免許税・・・合計 1,800,000円

         (内訳)土地 40,000,000円 × 1.5% = 600,000円

             建物 60,000,000円 × 2% = 1,200,000円

思わず、うへえ、と唸ってしまいそうな金額です。

この段階で、やっぱ名変はやめとこう、となりますね。

税理士としても、あまりおすすめする気になりません。

これが、信託譲渡となると、次のようになります。

【信託譲渡 シミュレーション数値】

不動産取得税・・・0円

登録免許税・・・合計 360,000円

        (内訳)土地 40,000,000円×0.3%=120,000円

            建物 60,000,000円×0.4%=240,000円

何とか払えるかな、という金額になりますね。

名義変更の必要性と天秤にかけて、前向きに検討できるかな、というレベルの負担だと思います。

信託譲渡は、

「名義変更にかかるコストを抑えられるならば、名義変更を検討したい」という方には、

とても有効な手段です。

なお、上記の税金以外に、元の所有者には、

譲渡所得に対する所得税が発生する可能性がありますが、

その計算方法は、信託譲渡でも通常の譲渡でも同じ計算方法なので、ここでは触れません。

信託譲渡の概要

信託というのは、平たく言うと、財産を支配する権利について、

「管理をする権利(所有権)」と

「利益を受ける権利(受益権)」に区別して、

それぞれ違う人に持たせよう、という仕組みのことを言います。

信託の仕組みの中では、実質的な財産の持ち主は、

受益権のある人(受益者)、という考え方で組み立てられており、

それに対して、所有権のある人(受託者)は、財産の管理人さん的な見方をしています。

こちらのサイトが、図表入りで簡単に、信託制度についてまとめられていたので、

参考にされるといいと思います。

不動産信託の仕組みとは|メリット・デメリットと登記の流れを徹底解説 – いえーる 住宅研究所 (iyell.jp)

信託譲渡を利用しようとする方は、あくまで事業者さんだと思いますので、

信託制度の専門家になる必要はありません。

私と同様、とりあえず、信託譲渡を大まかに把握して、

自分の希望に当てはまるのかどうかを知りたい、という段階であれば、

次のことを理解していれば足ります。

信託譲渡に必要な3人

信託譲渡に必要な登場人物は、3名です。

名称と立場は次の通りです。

「① 委託者」

・・・民法上:譲渡前の所有者・・・税務上:譲渡前の所有者・・・譲渡年度に譲渡所得課税の可能性あり

「② 受託者」

・・・民法上:譲渡後の所有者・・・税務上:特になし・・・課税もなし

「③ 受益者」

・・・民法上:特になし・・・税務上:譲渡後の所有者・・・信託財産から収入があれば、法人税もしくは所得税が課税される

かつて、私が信託譲渡を利用したときは

「① ⇒ 私、 ② ⇒ 私が代表の株式会社、 ③ ⇒私が代表の合同会社」

という割り振りで、実行しました。

その他の組み合わせとしては、次のようなパターンもありです。

A 「① ⇒ 自分、② ⇒ 奥様、③ ⇒ 自分が代表の法人」

B 「① ⇒ 自分、② ⇒ 自分が代表の法人、③ ⇒ 奥様」

C 「① ⇒ 自分、② ⇒ 自分、③ ⇒ 自分が代表の法人」(自己信託)

D 「① ⇒ 自分、② ⇒ 自分が代表の法人、③ ⇒ 自分」(自益信託)

AやBは、登場人物がちゃんと3名いて、

信託譲渡としてはオーソドックスなパターンです。

Cは、民法上の所有者は変わっていないので、

登記手続きも必要ないのですが、

外から見ただけでは信託譲渡が行われたかどうかがわからないため、

公証人役場で信託譲渡を行うことを、公正証書に起こしてもらう必要があります。

Dは、信託譲渡の前と後で、税務上の所有者(委託者、受益者)が変わっていないので、

税務上の課税関係も変わりません。

このパターンは、所有者さんが、ご自身の個人名を前面に出したくない場合や、

年配の方がご自身で管理するのが大変になってきたときに、使われることがあります。

また、各々の立場を決めるにあたり、

信託不動産に対する税務上の制限についても、加味しておく必要があります。

具体的には、BとDは、受益者が「個人」となっていますが、

個人の所得税計算においては、信託物件から生じる損失の損益通算の制限規定が設けられています。

(規模の小さい物件で、大規模修繕が行われるときなどは、あてはまるかもしれません)

また、AとCは、受益者が「法人」ですが、

法人税の計算において、信託財産の金額を超える損失が発生したときは、

その超える部分の損失は、経費になりません。(そうそうないと思いますけど)

比べれば、制約が少ないは、法人の方になります。

ですので、たとえば、

「収入規模の大きい物件を、譲渡前に大規模修繕を終わらせてから、法人を受益者にして信託譲渡する」、

という手順をとれば、制限規定の影響をだいぶ減らせると思います。

登場人物・立場・譲渡する物件の組み合わせは、

これらのとおり、複数のパターンがあるので、

ご自身のおかれた状況や協力者の考えに応じて、適切なパターンを探っていけばいいと思います。

信託契約書の作成・・・ストーリーが重要

登場人物とそれぞれの立場が決まったら、

次は信託契約書を作成することになります。

信託契約書は、一般的なフォーマットがいろいろなサイトにアップされているので、

ダウンロードして使えばいいと思います。

こちらのサイトでは、簡単にさっぱりした感じの契約書サンプルが紹介されています。

賃貸不動産の「民事信託」…信託契約書のサンプルを大公開! | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン (gentosha-go.com)

こちらは、法律事務所の解説付きなので、詳しく知りたい方にはいいかもしれません。

【一般的な信託契約の条項案(サンプル)】 | 信託の基本事項(遺言関連以外) | 東京・埼玉の理系弁護士 (mc-law.jp)

さて、重要なのは、

「信託譲渡に取り組むことになったストーリー」、

「譲渡価格をいくらに設定するか」、

「信託終了時の権利帰属者を誰にしておくか」、という点です。

以下、順番に説明していきます。

「信託譲渡に取り組むことになったストーリー」というのは、とても重要です。

もし、税務調査が来て、信託譲渡のことを聞かれた際に、

「個人の所得税課税が重たくてつらいから、法人名義に変更して、

法人税課税にして税負担を抑えたかったんだよね」と、明け透けに言ってしまうと、

税務署からすれば、「税金払いたくなくてからって、こんな手の込んだことしやがって」と、

租税回避行為っぽくとらえられてしまう可能性があります。

税務署側の心理状態を、

「アラを探しまくって、譲渡行為をひっくり返してやろう」という風にさせてしまうと、

その後の展開が少々怖いです。

そこで税務署側に、

「なるほど、そう理由で法人名義に変更する必要があったのね。

でも手元資金が少なくて、不動産取得税が払えないから、

やむを得ず手間のかかる信託譲渡を選んだのね。お宅も苦労してるね」

と思ってもらえるようなストーリーを作っておけば、

信託譲渡という特殊な手法を選択したことについて、すんなり受け入れてもらえる可能性が高まります。

私のストーリーを簡単にご説明しますと、

かつて別の会計事務所を引き継いだことが発端でした。

その会計事務所を引き受ける際に、

先代税理士の息子も、従業員として一緒に引き継ぎました。

その後、先代の息子から、「今期はいくら儲かったんだ、利益の半分を俺によこせよ」と要求されて、

悩みましたが、内輪で揉めるのも嫌だったので、息子の要求に応じることにしました。

その際、当時の私は、個人名義で賃貸マンションを2棟所有していたため、

純粋に、税理士業だけの損益収支とそれに対する税金負担を、

先代の息子に示す必要がありました。

そこで、やむなく、個人で持っていた2棟のマンションを、

手間とお金をかけて、法人名義に変更しました。

(でっち上げのストーリーではなく、実話です)

その後、たまたま信託譲渡後の2年後に税務調査が来まして、

案の定、調査担当から信託譲渡について聞かれましたが、

そのストーリーをお伝えしたところ、担当者さんは「わかりましたよ」と

すんなり納得してくれました。

(調査では、否認項目はありませんでした。念のため)

信託契約書の作成・・・信託終了時の権利帰属者が重要

信託契約によって、元の所有者が持っていた財産の所有権(管理権)は、

信託の受託者に移ります。

そして、このあとに触れる受益権譲渡契約によって、

元の所有者が持っていた財産に関する受益権が、信託の受託者に移転することになります。

信託契約期間中は、

これらの移転後の権利関係が、そのまま継続していきます。

そして、信託期間が終了する時がくると、

財産の受益権は、受益者から信託契約において定められた「権利帰属者」に、

移転することになります。

この際、信託契約において、

「受益者」と「権利帰属者」が「同じ人」に定められていれば、

実際に受益権は移転しませんので、譲渡所得税が発生することはありません。

加えて、同じ場合に、財産を管理するための所有権は、

「受託者」から「権利帰属者」に移転することになるので、

通常の譲渡と同じ計算方法による登録免許税と不動産取得税が、発生することになります。

ちなみに、それぞれの税金は、固定資産税評価額を基準に計算されるのですが、

信託開始時と信託終了時では、通常、数十年の月日が経過しますので、

建物の固定資産税評価額も、信託開始時の価格から、だいぶ減少しているはずです。

結果的に、建物に関しては、

登録免許税と不動産取得税も、かなり抑えられると見込まれます。

ですので、信託契約書を仕上げる際に、

「受益者を誰にするか」は、

「信託終了後の権利帰属者を誰にするか」と、一緒に考えておく必要があります。

受益権譲渡契約書の作成・・・譲渡価格が重要

信託契約書が完成したら、

今度は、委託者から受益者へ受益権を譲渡するための「受益権譲渡契約書」を、

作成することになります。

契約書のひな形がないか、ネットで探してみましたが、

これというものがありませんでした。(見つかったら、リンクを貼ります)

現状は、市販されている参考書に載っているひな形を参考に作成するしかなさそうです。

内容は、債権譲渡の契約と同じですので、複雑なものではありませんが、

契約書の中で「受益権の譲渡価格」を明記する必要があります。

この譲渡価格が非常に重要になってきます。

本ブログは、

「信託譲渡を採用することによって、不動産取得税と登録免許税の支払いを先送りする」という、

税金支払い先送りスキームについて説明していますが、

不動産取得税や登録免許税とは別に、

譲渡行為に入れば、譲渡所得課税というものが待ち構えています。

譲渡所得について説明すると、長くなってしまうので割愛しますが、

簡単に言えば、譲渡する資産について、

「譲渡価格 ー 帳簿価格 = 利益(譲渡所得) 」という計算をして、

この利益に対してかかってくるのが譲渡所得税になります。

譲渡所得課税の計算において、譲渡価格の設定は、極めて重要です。

計算式から明らかなように、譲渡価格をいくらに設定するかによって、

譲渡所得と、それに対する所得税額、住民税額が決まってきます。

信託譲渡をするタイミングが、

物件を購入してから3年以内か3年経過後か、によっても、

譲渡価格の計算方法も変わってきます。

簡単にいうと、

3年以内なら時価評価、

3年経過後なら相続税評価額(たいてい時価より低い)でオッケー、となっています。

(ちなみに経過期間のカウント方法についても、細かい規定があります)

不動産購入の際に、銀行借入を利用している場合には、

借入残高を評価額から差し引くこともできるので、

そうなると、譲渡所得の金額も低く抑えることができます。

私の場合は、たまたまですが、時価評価額と銀行借入の残額が、ほぼ同額だったので、

譲渡所得はなし、所得税も発生せず、という形でやれました。

ご自身の見解の自信が持てなかったら、迷わず税理士に相談に行くことをお勧めします。

登記前にやること・・・銀行への説明

譲渡した不動産に、銀行の抵当権が設定されている場合には、

銀行に、信託譲渡する旨、説明しておきましょう。

でないと、譲渡年度の確定申告書では、

「抵当物件を売却した」という記載がなされるので、

何も知らない銀行は、驚いてワラワラすることになってしまいます。

仮に、事後報告となってしまい、銀行の気分を害して関係がこじれると、

最悪の場合は、財務制限条項に抵触したということで、

借入金の一括返済を求められる危険性もあります。

私の場合も、銀行への説明は丁寧にしておきました。(事後でしたが)

ちなみに、銀行借入の契約名義は、

譲渡後も、元の委託者のままとなっているはずですから、

信託譲渡後は、受託者の口座から委託者の口座に、返済資金を移動させる必要がでてきます。

私は、月に一回の通帳記帳のときに合わせて、資金移動するようにしていました。

手間と言えば手間ですが、致し方ありません。

信託の登記申請

さて、信託の登場人物とそれぞれの立場、譲渡価格の設定、権利帰属者を決めて、

信託契約書を完成させれば、

あとは、法務局で信託登記の申請をすれば、ひとまず信託譲渡は完成します。

登記申請は、物件所在地の法務局で行います。

お金に余裕があるならば、

登記の専門家である司法書士さんにやっていただくのがいいですが、

そもそも信託譲渡を選ぶ人は、法律に詳しい人か、お金を払いたくない人、

もしくはトリッキーなスキームが大好物な人、だと思うので、

そういう人はたいてい、登記もご自身でやられると思います。

かくいう私も、当時「何事も経験が大事だ」と自分に言い聞かせて、

本で調べながら、登記申請書を作成していました。

まあでも、この先何度も出てくる抵当抹消や住所変更の登記とは違って、

信託譲渡なんて、一生のうちに何度もないでしょうから、

めんどくさいなと感じたら、司法書士さんにお願いしてしまってもいいように思います。

登記申請書の様式は、いろいろなサイトで紹介されています。

こちらのサイトは、結構丁寧に説明してくれていると思います。

所有権移転および信託に必要となる申請書の種類はどれ?【ケース別に必要書類を解説】 (vs-group.jp)

ちなみに、譲渡しようとしている物件に抵当権や根抵当権が設定されている場合、

そのまま何もせずに登記申請していいのでしょうか。

答えは、「特に何もすることはない」です。

抵当権がくっついたまま、所有権が移転していきますので、

これといって抵当権用の手続きは必要ありません。

登記後にやること・・・管理会社への報告

譲渡物件が賃貸マンションやアパートである場合、

まずは、管理会社に報告して、

家賃の入金口座を受託者の口座に変更してもらうようにしましょう。

また、今後賃貸借契約書を締結する際に、

貸主名義を受託者の名義にしておく必要があるので、

信託に関する一連の情報を伝えておきましょう。

これを忘れていると、後で書類の手直しをする手間が発生してしまいます。

登記後にやること・・・信託調書の提出

年に1回、信託物件について生じた収支を集計し、調書に記載して、

納税地の税務署に提出する必要があります。

提出期限は決まっていて、毎年1月31日までに、出さなければなりません。

数字の集計自体は、単純に足し算した金額を紙に書き込むだけなので、

難しいことはありません。

難しくはありませんが、かったるいです。

フォーマットも決まっていますので、

わざわざ税理士に頼まずに、自分でやってしまいましょう。

国税庁のサイトを紹介しておきます。

[手続名]信託に関する受益者別(委託者別)調書(同合計表)|国税庁 (nta.go.jp)

信託譲渡の出口

信託契約書に、信託期間について明記する箇所があります。

その信託期間が終了したら(それまでに、ほかの終了事由がなければ)、

信託も終了となります。

終了時には、信託物件に関する権利(所有権も受益権も)は、

信託契約書に明記した「権利帰属者」に移転することになります。

その際、途中で触れましたが、

信託期間中の受益者と権利帰属者が別人である場合には、

再び財産の譲渡が行われた、ということになり、

譲渡所得に対する所得税、不動産取得税、登録免許税がかかってきます。

それとは別に、受益者と権利帰属者が同じ人である場合には、

譲渡所得はなしで、不動産取得税と登録免許税だけがかかってきます。

信託終了時にいくら税金がかかってくるか、というのは

大体の目途を立てられますので、

終了の数年前から、税金負担に向けてキャッシュの積立をしておくと安心です。

まとめ

さて、信託譲渡について、かいつまんで説明してみましたが、いかがでしたでしょうか。

賃貸不動産を購入したものの、本当は法人名義で購入したかったのに、

銀行が個人名義でしか資金を貸せない、ということで、

やむなく個人名義で購入した、という投資家さんは、結構多くいるように思います。

私自身も、そうでした。

個人名義で賃貸マンションを購入した場合、

賃貸契約書や諸々の書類に、自分の実名や住所を書くことになりますが、

なんとなくそれって抵抗があるんですよね。

加えて、個人の不動産所得にかかってくる所得税は、

最高税率が45%(住民税を入れると55%)ですが、

法人税ならばそこまではいきません。

そのほかにもいろいろありましたが、最終的に私は、

個人名義で買った2棟のマンションを、

信託譲渡を使ってコストを抑えながら、法人名義に切り替えました。

名義変更で悩んでいる方がいらっしゃたら、参考にしてみてください。