FIRE(早期リタイヤ)への憧れ、手段と目的の違い

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

私たちのような現役世代にとって、若くして仕事の第一線から離れて、労働時間の少ない人生を送る、

というのは、誰しも一度は夢見るものだと思います。

最近は、早期リタイヤのことを、「FIRE」と呼ぶらしいです。

「F」はファイナンシャル(財政的に)、

「I」はインデペンデント(独立)、

「R」はリタイヤ(引退)、

「E」はアーリー(早期に)、

という意味らしいです。

昔は、そんな言葉はなかったですが、賃貸経営の業界で、最近使われ始めたようです。

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私が独立したときには、「セミリタイヤ」とよく言ってしました。

確かに、セミリタイヤは、魅力的です。

かつての私もそうでしたし、今でも、疲れがたまった時などは

「もう一回リタイヤしたい」と思う瞬間があります。

セミリタイヤについて、いま私が思うことを書いてみようと思います。

たまにやるから楽しい魚採り。
毎日やってたら、さすがに飽きてしまいます。

FIREしたいなら、やってみよう

セミリタイヤをしたいなら、やってみるのがいいと思います。

養う家族がいようといまいと、「労働時間を減らして、自由な時間を増やす」というだけなら、

わざわざ多額の借金を背負って、賃貸アパートを買わなくても、セミリタイヤはできると思います。

例えば、「週休二日制+フルタイム」で働いている人が、

「週休4日+アルバイト勤務+生活費の見直し」、という形態になれば、

収入は半減するでしょうけど、労働時間も減り、自由時間はだいぶ増えるはずです。

もっと簡単に考えれば、働きながら貯金して300万円くらい貯めたら、勤め先を退職して、

次の就職活動まで、半年間ほど働かずに自由に暮らしてみる、

という形でも、十分にリタイヤ気分を味わえるはずです。

いずれも、支出を徹底的に抑え込む、というのは、共通です。

早期リタイヤを経験して思うこと

私の場合は、10年ほど前に、社内税理士として勤めていた会社から離れたあと、

半年ほど働かなかった時期があります。

会社を離れる前年に、賃貸物件を購入していましたので、幸いなことに、

会社に行かなくても収入を得られる状況でした。

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平日なのに、会社に行かなくていい。

日々の労働から解放されたときは、とてもうれしかったと記憶しています。

「俺も、ついにここまで来たか」と。

「思っていたより、相当早くリタイヤできちゃったな」と、調子ぶっこいていました。

リタイヤの最初の1か月くらいは、とても楽しかったと記憶しています。

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しかし、時がたつにつれて、苦しさの方が増えてきました。

苦しさの原因は、つぎのようなものです。

  • 誰からも連絡がこない・・・世の中から必要とされていないような気がする
  • 日中、暇すぎる・・・知り合いはみな、日中働いているから
  • たまに人と話をすると、すごく浮かれている自分に気づく・・・まるで独居老人のようだと、気落ちする
  • 物忘れが激しくなる・・・日々に緊張感がないから
  • 言葉が出てこない・・・しゃべる相手がいないから

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俺、このまま年を取って死んでいくのだろうか。

俺、こんな風になりたかったわけじゃないだろう。

そんなことを考えることが多くなり、リタイヤした年の秋ごろには、再び税理士活動を本格化させることになりました。

「手段」が「目的」になってしまったパターン

私の場合は、まさにこれでした。

「リタイヤしたら、こんなことがしたい」

「こういうことに取り組むためにも、セミリタイヤを実現したい」

という感じで、「〇〇をするための手段」としてリタイヤ生活に入りたい、

というのが、セミリタイヤのあるべき姿だと思います。

それに対して私は、「セミリタイヤってかっこいいな」とリタイヤそのものを目的にしてしまって、

その先のことを考えていなかったので、リタイヤ生活自体に行き詰ってしまいました。

セミリタイヤそのものを目的にしてしまうと、リタイヤ後の、することが何もないという生活に、

耐えられない可能性があると思います。

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それとは別に、「労働から解放されたい」ということで、リタイヤを目指している方は、

突き詰めれば「休暇がほしい」ということだと思うので、

冒頭のように、生活サイズを縮小するような形で、リタイヤしていけばいいと思います。

体や精神に負担をかけてまで、お金持ちを目指す必要は、まったく感じませんし、

そもそも人口減少が進む日本で、かつてのような経済成長は、私は無理な話だと思っています。

今後は「いかに少ない資源で快適に生活していくか」、という方向性が主流になっていくのではないか、

と考えています。

そういう点では、個人や家庭単位の生活で、経済規模を縮小させて、セミリタイヤを目指していく、

というのは、全然アリだと思っています。

何かに打ち込んでいる人の方が、接していて楽しい

いま、税理士としてお付き合いさせていただいている社長さんたちは、

お金持ちの社長さんから貧乏な社長さんまで、年配の社長さんから若い社長さんまで、さまざまです。

引退して、息子さんに会社を任せている会長さんもいますけど、

引退後も精力的に、責任を伴う活動をしているので、お会いすると話が盛り上がります。

そして、皆、懸命に働いています。

あまり意識して考えたことはありませんが、私は、働いている人が好きなのだと思います。

皆、人の好い社長さんたちなので、今後も引き続きお付き合いさせていただきたいと思っています。

逆に、資産形成がうまくいったからと言って、働かずにプラップラしているかつての私みたいな人と、

仲良くしたいとは思いません。

会話をしても、共感できるものが少なさそうです。

いま私は、お客様に迷惑をかけない範囲で、今後も長く、現役を続けていきたいと思っています。

以上、セミリタイヤについて、思ったことを書いてみました。