「テレビを経費にできるとき」、頭の体操をしてみました

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

お客様から、「テレビを購入したけど経費になるだろうか」、というご質問をお受けました。

回答としては、「仕事で使うテレビなら、経費でいいですよ」ということになります。

大切なのは、「ストーリー(いきさつ)」と「シチュエーション(状況)」です。

買ったテレビが経費になるかについて、ケースごとに整理してみようと思います。

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事業用の建物内に設置したテレビ

テレビの設置場所が、完全な事業用の建物内、である場合について、考えてみます。

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「スタッフみんなが見るテレビ」

当然経費になります。

この場合に問題になるのは、過度な機能の付いた高額テレビ、くらいでしょうか。

その場合でも、職場で視聴するにあたり、そういう高価な機能が必要なのだ、と、

税務調査のときにしっかり説明できるのであれば、問題ありません。

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「一部のスタッフだけが見るテレビ

たとえば、休憩室を利用する人しか見ない、喫煙ルームに来る人しか見ない、という、

特定のスタッフしか利益を受けられないような場合でも、

設置した場所が職場内であり「職場環境の改善のため」と言えるものならば、経費になります。

気になるのは、社長室に設置された社長だけが見るテレビ、ですが、

これも通常であれば、業務上の必要性から購入した、といえるので、経費になります。

自宅兼事務所に設置したテレビ

私生活の絡んでくる自宅兼事務所のパターンでも考えてみます。

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「住居と事務所が明確に区分されていて、住居スペースにすでにテレビがあって、さらに追加で事務所スペースに設置したテレビ」(わかりにくくてすみません)

経費になります。

こういうパターンであれば、業務でしか使いません、と言い切れるでしょう。

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「住居と事務所が明確に区分されていて、住居スペースにテレビがなくて、事務所スペースに設置したテレビが、最初の一台目」(そんなパターンがあるのかどうかわかりませんが、一応考えてみる)

本当に、業務でしか見ないのかどうかについて、しっかり税務調査で説明できるようにしておけば、

経費にして大丈夫だと感じます。

もしくは、こういうパターンのときは、

テレビの購入価格の70%を経費に計上し、残りの30%は経費から除外しておく、

というように処理すれば、とても安全です。

でも、本当に業務でしか使っていないなら、自信をもって100%経費に計上しましょう。

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「住居と事務所が明確に区分されていて、一台目のテレビを住居スペースに設置した」

経費になりません。

普通に考えて、私生活で見るためのテレビでしょ、業務と関係ないでしょ、となります。

このパターンで経費計上できるとしたら、

「業務の性質上、テレビがないと非常に困る」という事情がある場合に限られると思います。

そのような事情があるにしても、経費として認められるのは、

最大で50%くらいではないか、と感じます。

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「住居と事務所が区分されておらず、室内のどこかに設置された一台目のテレビ」

上記と同様、経費にはなりません。

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「住居と事務所が区分されておらず、室内のどこかに設置された二台目のテレビ」

本当に業務で使っているなら、経費になります。

すでに一台目のテレビがあるなら、そちらを私生活で使っていて、

二台目のテレビは業務でしか使っていない、という説明が成立するからです。

あくまで、本当に業務でしか使っていない、という状況が求められます。

プレゼント用のテレビ

あまりないとは思いますが、誰かにあげるためのテレビ、について考えてみます。

考える練習です。

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「スタッフ全員にプレゼントするテレビ」

例えば、「防災用の小型テレビを、スタッフ全員に配布する」というなら、経費になると思います。

「スタッフ全員に」がポイントです。

職場環境改善のため、ということで、源泉徴収なしの福利厚生費として認められるでしょう。

仮に、プレゼントするのが「高価なテレビ」だとすると、例え、全員に配布したとしても、

その内容から考えて、下記と同様、現物給与扱いになる可能性が高い、と思います。

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「特定のスタッフにプレゼントするテレビ」

経費にはなりますけど、「現物給与」として給与扱いになります。

その結果、プレゼントした事業者側には、源泉所得税の徴収義務が生じ、

受け取ったスタッフ側には、給与と同様に、所得税と市民税が課税されます。

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「取引先にプレゼントするテレビ」

プレゼントする事業者さんが中小企業ならば、交際費として経費になります。

受け取る方が、会社でも個人事業でも、どちらでも大丈夫です。

給与扱いではないので、源泉徴収義務はありません。

誰にプレゼントしたかを、記録に残しておくことをお勧めします。

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「お客様にプレゼントするテレビ」

多くは、景品としてプレゼントするパターンだと思います。

その場合は、広告宣伝費として経費になります。

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「社長が、自分自身にプレゼントするテレビ」

要するに、会社のお金で私物を買った、というパターンです。

良くて、役員貸付金。(経費にはならない)

悪ければ役員賞与(税金計算上の経費にはならない)として、

源泉徴収漏れと給与所得課税を指摘されます。

私物を買うなら、自分のお金で買いましょう。

買い直したテレビ

「業務用に買ったテレビが買ってすぐ壊れてしまい、新しいテレビを買い直した」、という場合には、

要するに業務で必要だから買い直したわけなので、経費になります。

ただ、買ったテレビがすぐ壊れる、ということはあまりないことですし、

メーカー保証も通常1年間は有効ですから、

一般常識で考えれば、普通は、買い直しではなくメーカー修理を選ぶと思います。

経済的合理性から考えれば、そうなるはずです。

なぜ、メーカー保証による修理ではなく、買い直しをしたのかについて、

税務調査で説明できる事情があるなら、経費として認められるでしょう。

テレビに関連するもの

テレビを設置するためにテレビラックを購入した場合も、

テレビと同様、設置した状況や業務との関連性により、経費計上できるかどうかが決まってきます。

また、テレビを設置すれば、NHKと受信契約を結んで、受信料を支払う義務が生じます。

この場合のNHKの受信料の経費処理は、受信契約を結ぶことになった一台目のテレビの設置状況を

踏まえて考えていただければ、大丈夫です。

まとめ

テレビを経費計上するにあたり、複数のパターンについて整理してみました。

大切なのは、「ストーリー(いきさつ)」と「シチュエーション(状況)」です。

こういう頭の体操は、お客様とのやり取りで活かせることが多いので、たまに考えるようにしています。

何かの参考になれば、ありがたいです。