お疲れ様です。
税理士の浅原です。
賃貸物件の内装工事って、
モノや状況によっては、かなり高額になることがありますね。
ワンルームではあれば、10万円程度で収まることが多いと思いますが、
2LDKや3DKなどの広めのお部屋になってくると、
状況が悪ければ100万超えになることもあります。
金額が大きくなると、経理処理する方も怖くなってきて、
「これ経費計上で大丈夫だよな」と思いながら、軽くネット検索してみたりするのですが、
先日、内装工事についてネット検索してみたら、
出てくる情報がすべて「資産計上すべし」というものばかりで、ちょっと焦りました。
前提となる内装工事のシチュエーション
内装工事といっても、まず、シチュエーションの違いとして、
次の2つに分けられます。
- 「新築時」の内装工事か、「事業開始後しばらくして」から発生した内装工事か。
- 建物の「所有者」が行う内装工事か、「借主や入居者」が行う内装工事か。
内装工事そのものは、まったく同じであっても、
工事の時期、建物の属性、発注者の立場によって、
会計処理や税制上の扱いが変わってきますので、
そういう前提で考えていく必要があります。
ネットで出てくる情報の多くが、新築時の内装工事、または事業用物件のこと
ネット検索していて気づいたのですが、
出てくる情報の多くが、新築時の内装工事を対象にした解説記事であることです。
そして、次に多いのは、事業用物件に関する内装工事の記事です。
私が見たかったのは、
「住居用の賃貸物件に関して、貸主が行う内装工事」のことですが、
この内装工事に関する情報は、ほとんど目にすることがありませんでした。
わたしの場合は、自分の調べている内装工事が、
どのシチュエーションのものかを理解していましたので、
「全然、該当情報がないなー」と自覚していたのですが、
そうでない人が見たら、
「内装工事 = 建物として資産計上 ⇒ 22年や34年で減価償却計算」と、
認識してしまう可能性があるな、と感じました。
(住居用物件の内装リフォームが、22年も持つわけないので、途中で気付くとは思いますけど)
言葉はひとつ、意味は複数
昨日も、
「時価」という言葉が、
一般的な使われ方と、災害減免法や雑損控除で意味するところが異なっている、
という動画をアップしましたけど、
法律業務って、概念や記号を操作する仕事なので、
こういうことがままありますね。
業界の内部の人が見ても、
非常にわかりにくくて理解の妨げになるのですが、
しょうがないですね。
ひとつひとつ、覚えていくしかありません。
大まかな会計処理の区分
結論として、
内装工事に関する会計処理は、次のようになります。
- 所有者が行う新築時(中古物件購入時)の内装工事
・・・建物や建物付属設備に区分して資産計上
- 入居者(借主)が行う賃貸開始時の内装工事
・・・建物付属設備として資産計上
- 貸主・借主ともに、建物の利用開始後に行う内装工事
・・・原状の機能や性能を維持するための内装工事は経費計上、グレードアップ工事は資産計上
上記、会計処理の入り口がわかれば、
その後の耐用年数の特定は簡単です。
ご自分のケースにあてはめて、
会計処理の参考にしていただければと思います。