社用車と節税。重要なのは「考える順番」

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

税理士として活動していくなかで、節税のご相談を受けることがよくあります。

先日お受けしたご相談では、

「社用車を買い替えるんだけど、レクサスを買えば節税になるよね」

というものでした。

レクサスを買うと節税になるのかどうか、考えてみたいと思います。

保有物件の敷地にある排水桝の蓋が割れてしまったので、交換してきました。
業者さんに頼むと、多少手間賃が発生しますが、自分でやれば2,500円で済みます。蓋はエンチョーで売っています。

新車か中古車か

車種の問題はひとまず置いておくことにして、

新車から中古車かで、節税効果を考えてみます。

結論からいうと、中古車の方が節税になります。

車両の場合は、通常、購入価格が多額になるので、

帳簿上は、いったん資産に計上したあと、

毎年決算で、減価償却という会計処理を通じて、経費計上していきます。

この減価償却での計算は、簡単に言えば、

買った金額に、耐用年数に応じた償却率を掛けて、出てきた金額を経費計上する、

という手続きです。

そして、償却率は、耐用年数が短ければ短いほど、

パーセンテージが大きくなるように設定されています。

また、耐用年数は、新車よりも中古車の方が、短く設定されています。

(新車は6年、中古車はだいたい2年)

その結果、中古車の方が、短期間のうちに、減価償却費を多く計上できるので、

中古車の方が節税効果が高い、という結論になります。

高級車か大衆車か

レクサスのような高級車か、レクサス以外の大衆車か、という点については、

購入価格の多い少ない、に加えて、中古価格の変動状況も考慮する必要があります。

もし、その車種の中古の流通価格が安定していて、

5~6年使った後でも、購入時の価格からさほど値下げすることなく売却できる、

というのであれば、

実質的な購入価格の負担は少なく、かつ税金の先送り効果が高い、

ということになります。

(使っている間は、減価償却費の計上により税額が減少し、売却した時点で、売却益に対する課税となる)

割れた蓋の寸法を測って、そのままエンチョーに行って新しい蓋を買ってきて、
交換しただけなのですが、「今日も仕事したなー」という気分になります。
蓋がけっこう重かったから。

維持管理費は

維持費の大小も、重要です。

貨物車や商用車だと、毎年車検を受けなければなりません。

ガソリンも、ハイオク仕様だとガソリン代がかかりますし、

燃費の良し悪しは、維持費の大小に直結します。

外国車だと、車検ごとに、専門のディーラーさんで結構高い車検代を払うことになるのではないでしょうか。

(格安車検などは受けられないのでは。外車に乗ったことがないので想像ですけど)

もちろん、経費が増えれば、その分税金は減ります。

しかし、出費が増えて、手元資金が減るのであれば、元も子もありません。

「必要経費」と「節税策」は別物

車を購入するときに、節税を念頭に置いてしまうと、経験上失敗します。

節税効果はあったとしても、「買った車が希望に合わない」ということになりがちです。

本当に車が必要ですか。買い替えなければなりませんか。

レクサスでなければダメですか。

カローラでもいいんじゃないですか。

長く使うということであれば、値が張るけど新車の方がいいかもしれません。

車が必要、ということあれば、それは必要経費という括りで考えるべきです。

最初に、節税云々ではありません。

本当に必要なスペックの車を買った後に(もしくは買うと決めた後に)、

おまけとして、節税効果を計算しておく、という程度で、

節税に関する意識は十分だと思います。

そもそも節税の目的は、

「税金計算のロジックを活用して、より多くのお金を会社に残そうとする行為」です。

その点から言えば、節税の結果として、

「普通に税金を払うよりも、節税をしたことで、より多くのお金を会社に残せた」

となっていなければなりません。

これに対して、必要経費は、

「事業を継続していくために必要となる経費」のことです。

「節税」と「必要経費」、これらは、密接に絡んではいるものの、判断レベルの違う要素です。

まずは、その経費は必要かどうか。(買うのか、買わなくても済むのか)

次いで、最も効率の良い出費の方法はどれか。(新車か中古車か、高級車か大衆車か)

それらを決定した後、最後に、節税効果はどの程度か。

こういう順番で考えないと、失敗します。

まとめ

車両購入の際の節税の考え方について、書いてみました。

経営判断をしていく中で、節税の優先順位を高めてしまうと、

当初期待していたことから離れていってしまうことが、よくあります。

ですので、私自身も、ところどころで節税の提案はするのですが、

私の提案を聞いて、迷ったり心配になることがある場合は、やらない方が良いですよ、と伝えています。

節税においては、経営判断におけるバランス感覚が問われます。

私自身も、常々、感覚は磨いておきたいと思います。