どこまでリフォームをするべきか、「自分の基準」を持つことの大切さ

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

昨年は、コロナ禍が影響してかどうかはわかりませんが、

私が保有する賃貸物件では、ほとんど入退去がありませんでした。

しかし、今年に入って毎月のように、入退去が発生しています。

幸いなことに、退去した後も、また入ってきてくれる人がいるので、

空室が続くということはないのですが、お金の出費はかさみます。

そんななかで、先週末も、また退去が発生しました。

さっそく、退去後のお部屋に行ってみると、「またこれか」という感じの、やっちまってる状態でした。

よくこんな状態で住んでいられるなと、逆に勇気をもらいます。

困ったことに、そこそこ多額のリフォーム費用が発生することが確定してしまいましたが、

リフォーム費用の目安について、私の考え方を書いてみようと思います。

退去後の室内に入った瞬間、私の意識はひと月前に
タイムスリップしたかのような錯覚に陥りました。
「おかしいな、先月、このクロス破れはリフォームで直したはずなのに」

久々のハードな汚部屋。敷金精算について考える

月額家賃の4か月分が目安

私の場合だと、一部屋にかけられる入居費用の目安を、月額家賃の6か月分に設定しています。

これは、単身世帯の場合です。

経済的に余裕のあるオーナーさんなら、特に金額の上限を設けることもないかもしれませんが、

私の場合は、賃貸業をビジネスとして取り組んでいますので、利益を出すことが最低条件です。

よって、かける経費も無制限というわけにはいきません。

単身世帯の場合、平均的な入居期間は、2~3年くらいだと感じています。

そこから考えた時に、一部屋に使える入居費用は、

家賃6か月分を上限にしておくのが、バランスがよいと感じています。

この入居のための経費には、管理会社に支払う広告費や

入居者さんへのフリーレント(無料の入居期間)も含みます。

私の場合、管理会社に「フリーレント1か月分は、その場の判断で自由に使っていいですよ」、

と伝えてありますので、入居の際には、だいたい広告費1か月分とフリーレント1か月分は、

コンスタントに発生します。

その結果、室内のリフォームに使える経費の上限目安は、やや縮小して、家賃4か月分となります。

この「家賃4か月分」という範囲内で、必要と感じるリフォームを進めていきます。

こんな感じのクロス破れ、最近よく目にします。
ペットを飼っている部屋は、たいてい「角」がやられています。
せめて壁だけで終わってほしいところです。
全体的に、部屋の傷み方が、
先月リフォームした部屋と
ほぼ同じです。
「また、あの規模のリフォーム
をやるのか・・・」
脳が目の前の現実を、
受け入れてくれません。

ケチれるならケチりたいリフォーム費用

リフォーム費用をかけずに済むなら、当然ながら、できるだけかけたくありません。

もっとも、ケチケチリフォームで進めた場合に、

本来なら交換しなければならない箇所を、古いまま残してしまい、

それがネックで入居申し込みを得られない、となると、

ケチりながら払ったお金すら、無駄になります。

何より、入居申し込みを得るまでかかった時間というのは、失われた時間であり、

それはすなわち、取り返すことができない時間です。

賃貸経営は、時間をお金に変える商売です。

時間のロスには敏感になりましょう。

私の場合、退去時点で、そこそこきれいなお部屋であったとしても、

クリーニングだけでは終わらせずに、予算の許す範囲で、

「居室の一部をアクセントクロスに張り替える」

・・・内覧の際のインパクトが、だいぶ違ってくる

「室内の照明器具を、LED照明に変更する」

・・・”電気代の節約”というアピールポイントができる

「収納の取手やドアレバー、カーテンレールを新品に交換する」

・・・細かいところまで気を配っている、というアピール

「水回り設備、空調設備、照明設備を新しいものに交換する」

・・・設備が新しい、というだけで好評価につながる

ということをしています。

足を踏み入れたくない。自分の物件なのに。

もちろん、交換したばかりの新しい設備を、さらに新しいものに交換する必要はありませんが、

「ちょっと型式が古いな」とか、「前の入居者の痕跡が残ってしまっているな」と思われるものは、

積極的に交換するようにしています。

これらを、「予算の範囲内」で行います。

そして、予算の上限に達した時点で、それ以上手をつけるのはやめにします。

よくここで体洗ってたな

予算を超えても、やらなければならない時がある

冒頭で触れた、先週退去したお部屋などは、

見た瞬間に「予算オーバー」が確定しますので、憂鬱です。

でも、オーバーしようがどうしようが、入居者が決まらずに、

使ってもらえない賃貸物件は、ただのお荷物です。

次の入居者を迎えるために、必要な箇所のリフォームは、

お金がかかろうが何だろうが、やっていくしかありません。

こういう場合は、手をつけるリフォーム箇所を、次のように分けて考えるようにしています。

即決箇所(手をつけなければ、絶対に次の入居申し込みを獲得できない箇所)

・・・破れたり汚れている壁紙や床、水回りのクリーニングなど

新旧交換(やれば見栄えが良くなる箇所)

・・・古い水回り設備を新品に交換、古いエアコンを新品に交換、など

グレードアップ(お部屋の機能を高める箇所)

・・・洗面化粧台を間口600サイズから幅広の750サイズに変更、浴室の水栓金具をサーモスタット付きのものに交換、など

そして、即決箇所から順番に、全部の経費を積み上げていったあと、

今度はグレードアップ項目から「やらなくても入居申し込みの有無には直結しない」

と判断した項目を削っていき、予算上限に近づけていく、

という考え方で、手をつける箇所を決めています。

キッチン・・・、状況を受け入れられないひどさです

予算の設定があるから、迷う時間を減らせる

リフォーム工事はつまるところ、「どこまで室内の状態を上げていくか」と

「どこまで上げれば入居申し込みを得られるか」のバランスの問題です。

しかし、「どこまで上げれば入居申し込みを得られるか」の基準が、

時期によって変動しますし(2月3月は緩みがち)、

募集条件によっても変動する(募集家賃を下げれば、基準も下がる)ので、

見極めがとても難しいと、いつも感じています。

その都度、ベストバランスを探れれば、それが理想だと思います。

しかし、私のように本業を抱えて、副業的に賃貸経営をしているとなると、

できるだけ時間をかけずに、バランスを探る術を身に着けておかなくてはなりません。

迷っている時間は、私にはロスタイムです。

そこで、私の場合は、予算額を基準に、超えるか超えないかで判断していく、

という方法をとるようになりました。

「やるやらないか迷っている工事」は、

「予算の範囲内で収まるならば、やる」

「予算を超える場合には、やらない」ということで、

迷う時間は以前よりだいぶ減ったと思います。

大切なのは、自分の中に、オリジナルの基準を持つことだと思います。

この基準が、自分の判断を後押しして、効率的なものにしてくれます。