生活保護者に頼った賃貸経営の行く末

お疲れ様です。

静岡の税理士、浅原です。

税理士業務では、生活保護受給者さんと関わることは全くないのですが、

賃貸経営では、よくあります。

今週月曜に、近場のアパートを買ったあと、その日の夕方に、「また近場で売り物出たよ」との連絡を受け、

さっそく見に行ったアパートが、生活保護受給者さんのみが入居するアパートでした。

私はアパートマンションの入居者さんを、

生活保護受給者さんに絞り込むという方針には反対です。

その理由を書いてみます。

見に行った物件で使われていた給湯器。
こんな古い型の給湯器、初めて見た。
稼働は大丈夫なのだろうか。
ノーリツの新しいものに変えてあげてほしい。
でも変えないでしょうね。
都市ガスだったし。

住環境が改善されない

基本的に、賃貸経営における生活保護受給者さんは、

管理状態の悪い空室を何とかして埋めたい、という場合のひとつの選択肢として、

位置づけられることが多いです。

管理状態の良いところに、わざわざ生活保護受給者さんを入れる必要はない、

と仲介会社は思うでしょうし、オーナーさんも思うでしょう。

賃貸経営は、生活空間をレンタルするビジネスですから、

本筋から行けば、より清潔で快適な生活空間を作り出し、自分の物件の市場価値を高めていく、

というのがとるべき選択肢です。

しかし、そういう努力が嫌だ、そういうの興味ない、というオーナーさんも一定数存在しており、

そういうオーナーさんの物件には、

管理状態が悪くても文句を言わない(言えない)ような属性の方たちが、集まってくることになります。

オーナーさんからすると、管理業務をほったらかしで敷地は荒れ放題でも、

一応、新しい生活保護受給者さんが入居してくるし、

家賃は市役所が負担してくれるので、

わざわざ労力をかけて住環境の改善、という方向には気持ちが向きません。

結果、生活保護受給者が集まる 

→ 家賃が入ってオーナーは満足

→ 環境は改善されず

→ 今後も入居するの生活保護だけ

というスパイラルに陥ります。

入居者の多くが生活保護受給者である、という物件は、

今後も、住環境が改善されることには、期待できないでしょう。

孤独死のリスクの増加

生活保護の受給要件として「生活を支援してくれる身内がいない」ということが必要です。

つまり、生活保護者さんは、

もともと、人とのつながりが弱い、人とのつながりに期待できない、ということです。

どうしても、生活保護受給者になると、経済活動が制限されますから、

活動範囲も狭まるでしょうし、気持ちも外を向きにくくなるでしょう。

社会との接点が減り、人との交流も減るでしょう。

結果として、孤独死のリスクが高まります。

賃貸経営をしていて、できれば避けたい、どうにかして避けたい、というのが孤独死です。

リフォームにお金がかかる、次の募集がしづらくなる、既存入居者の退去につながるなど、

孤独死ひとつから、多くの問題に派生していきます。

私自身も、どうにかして孤独死は避けたい、というのが本音です。

まあしかし、人はいずれに死にますから。

孤独死が起きてしまったら、腹を括って、

元入居者様であった故人と、しっかり向き合おうと思っています。

建物の取り壊しができない

賃貸経営において、一番の問題がこれです。

建物が劣化して危険な状態、もしくは、賃貸経営は終わりにして更地にして売却しよう、と思った時に、

すぐに入居者さんが別の物件に引っ越ししてくれればよいのですが、

これが生活保護受給者さんとなると、そううまくはいきません。

受け入れ先がスムーズに見つかればいいのですが、受け入れ先となるアパートも、

スーパーやドラッグストアが近くにないとだめ、

1階でないとだめ、

段差があるとだめ、

家賃が安くないとだめ、

それらを満たしても貸主がだめ、など、

高齢の生活保護者が引っ越すのは、とてもハードルが高いのです。

いくら建物の取り壊しを進めたくても、入居者がいる限りはできません。

いわゆる「出口がとれない」状態となり、その入居者さんの寿命が尽きるのを待つしかない、

という状況になります。

生活保護受給者を、そもそも人として見ていない

おそらく、生活保護受給者さんを、一般的な勤め先のある入居者さんと同じように扱っていれば、

上記のような問題は起きないはずです。

孤独死の問題は難しいかもしれませんが、

ちゃんと住環境を整えて、共用部や敷地内を清潔に保っていれば、

空室を埋めていくのに生活保護受給者さんだけに頼る必要もないですし。

建物のメンテナンスをしっかりしてれば、取り壊すのがもったいなくなるでしょうし、

取り壊さずとも、別の投資家さんが買ってくれるでしょう。

つまるところ、「関心のなさ」

関心があるのは、お金だけ。

人にも現場にも、関心がない。

そういう人は、賃貸経営をやってはいけない

と、私は思っています。

(当事務所では、次のサービスを提供しております)

◇賃貸経営・満室サポート

昨日の仕事

  • 清水区美濃輪町のお客様の会計データチェック
  • 伊豆の国市のお客様と面談

中学からの付き合いとなる友人が、伊豆の国市で苺農家をしている。

令和3年は、過去最大の出荷量となったが、毎年、ふたを開けてみないとわからない、というのが農業。

大変な仕事だ。