「猫専用マンション」でいってみよう 

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

私が所有している賃貸物件のひとつについて、

今までペット飼育不可だったのですが、

「猫専用のペット可マンション」に方向転換することにしました。

それまでのいきさつを書いてみます。

久々に、桜ケ丘にある図書館に行ってきました。
館内のエアコンが故障していたため、
あまりの暑さに、やけを起こして
興味のない本を借りてしまいました。

特徴のない物件の入居募集は、きつい

現在、静岡市内に4棟、47室の賃貸物件を保有しています。

おかげ様で、おおむね満室で運営できています。

しかし先日、退去が発生した単身用のお部屋の入居募集には、苦労しました。

そのお部屋は、駅から徒歩5分くらいで、居室は9帖、バストイレ別で、

すぐ近くに、深夜まで営業しているドラックストアがあります。

しかし、洗面化粧台がなく、駐車場もない、という、

入居者属性をけっこう絞り込まなければならないようなスペックの物件です。

空室になった後、今後の物件運営の方向性を考えながらリフォームしていたので、

リフォーム完成まで一月くらいかかってしまいました。

この段階では、まだペット飼育可への変更は、ぼんやりと思い浮かべる程度で、

真剣には考えていませんでした。

リフォームの仕上がりは、

今まで私がやってきたデザインの中でも、かなりいい感じに仕上がったと思います。

ペット不可物件のままでも、入居を決められるのではないか、

と期待できるくらいのいい仕上がりです。

しかし、入居者募集を開始したものの、まったく反響がありません。

入居募集中の物件が、ありすぎる

不動産情報のポータルサイトであるアットホームでは、

現在、入居者募集をしている日本全国の賃貸物件の情報を見ることができます。

私が物件を所有している静岡市内にある空室情報を見ていると、

葵区で募集している物件が4,010室、

駿河区が4,779室、

清水区が2,735室と、

全部合わせて11,524室あることになります。

多い!多すぎる!

どこにそんな空き物件が転がっているのか。

重複している情報もあるので、9割留まりと考えても、

静岡市だけで10,000室くらいは入居募集中の部屋があることになります。

これといって特徴のない物件ならば、簡単にこの10,000室の中に埋まってしまい、

誰の目にも触れることすらないまま、時間が過ぎて行ってしまいます。

この10,000室のなかから、いかに自分の物件を見つけてもらうかが、

最初の勝負所です。

「ペット可」は特徴を出しやすいものの、諸刃の剣

大量の空室情報の中から、物件の特徴を出していくにあたって、

「ペット可」はわかりやすい特徴と言えます。

「ペット不可」だったものを「ペット可」にするだけなので、

お金もかかりません。

アットホームで見てみると、静岡市内の募集物件のうち、

ペット可の物件は、約1,100件となっています。

(余談ですが、同じように調べてみると、「インターネット無料物件」は約2,300件。

ネット無料は、ほぼ標準装備の条件になりつつあります)

しかし、1,100件でも、まだ多い。

そこで、以前仲介会社さんから聞いた

「ペット可物件とは言うものの、ワンちゃんしか飼えない物件が結構多いんですよ」

という言葉を思い出しました。

だったら、猫オーケーの物件を作れば、賃貸ニーズを拾えそうだな、( *´艸`) と。

しかし、ペット可にしたら、

もともとペット不可ということで入居してきたほかの入居者さんと、

トラブルが起きるかもしれません。

ペットを飼育する人のマナーが悪くて、

敷地外のご近所さんとトラブルが起きるかもしれません。

さらに、ペットを飼っていれば、確実に室内は傷んでいくでしょう。

それでも、ペット可、さらに猫オーケーにできれば、

ニーズの拾い上げは大きく前進できそうです。

ペット可のリスク①・・・近隣トラブル

まず、既存の入居者さん達に、

「今後は、ペット飼育可にしてもよいかどうか」というアンケートを取りました。

結果、

「ペット可は嫌だ」という意見はなかったので、

既存の入居者さん達は、ペット可を受け入れてくれたようです。

次に、

ペット可に変更後のシミュレーションになります。

ペットが原因の近隣トラブルとして最初に思いつくのが、「ペットの鳴き声」です。

たまに、道を歩いていると、

家の中から「ギャンギャン」と犬が吠えてきて、

遠く離れてもまだ吠え続けている、ということがあります。

うちのマンションがこんな状態になってしまったら、

うるさくてたまらんな、と思います。

そもそも、今回ペット可にする目的は、

10,000件の空室情報の中から、うちの1件を見つけてもらおう、という点にあるので、

それならば「犬不可、猫のみ可」にしてしまえば、

より先鋭的になって、差別化できるな、と。

そのほかにも、「ペットの臭い」によるトラブルも考えられます。

これは、多頭飼いを禁止して、去勢手術や避妊手術を必須にしてもらえば、

本来猫は、清潔好きな動物ですから、臭いトラブルのリスクも減らせるだろう、と考えました。

また、オートロックのマンションでは、

共用部の風通しが悪いので、ちょっと臭いが気になるところですが、

今回検討している物件は、共用部が外階段、外廊下の物件なので、

臭いが留まることもないと思われます。

ペット可のリスク②・・・部屋が傷む

これは、避けられない、と考えています。

この点について、うちの会計事務所のお客様で、猫が大好きな社長がいらっしゃって、

ちょっとご意見を伺ってみたところ、

「猫は室内のどこでもガリガリやってくれるので、部屋は確実に痛むよ」、

ということでした。

もっとも、「部屋が傷めば、直せばいい」、というだけのこと。

最終的には、

退去時に借主さんがちゃんと敷金精算に応じてくれれば良いわけで、

つまりは「お金の問題」ということです。

この点、お金ではなく、ご近所さんとの人間関係のトラブルに発展してしまうと、

お金では済まない可能性があります。

しかし、貸主である私との間のトラブルならば、お金で解決できます。

少し多めに敷金を入れておいてもらう、ということで、

この問題はクリアできると考えました。

最後は、自分を信じる

既存入居者さんへのアンケート、

ペット飼育可にした後のシミュレーション、

ペット飼育に関する規約の作成など、

ペット飼育可への変更に向けて、必要な準備ができました。

あとは、管理会社様に連絡して、

ペット飼育可での再募集のゴーサインを出すだけです。

しかし、ここで私は、1か月ほど足踏み状態になってしまいました。

ペット飼育可にしたら、

ペットが原因の新たなトラブルに巻き込まれる可能性が出てくる。

私は一人で、事務所経営も賃貸経営もやっていて、人的リソースが限られているので、

新たなトラブルはできるだけ抱えたくない。

というか、そもそもペット可にしなくても、

もっとトラブルの少ない他の方法で、入居を決められないだろうか。

という感じで、

ペット可にしようとすればするほど、反対に、

しなくてもいいのではないか、という考えが浮かんできます。

人間は変化を恐れる生き物でして、

比較的、状況の変化に強い(と思っている)自分にも、

そういう面があるのだな、と感じます。

かといって、じゃあペット可以外で、ほかに入居を促進させる方法があるかというと、

さんざん考えましたが、いまの私には思いつきません。

最後には、

「ペット可への変更は、いい方向に向かうはず」と結論づけた私の分析を信じて、

腹を括りました。

乗り越えるのに一番苦労したのは、最終的には、

「ペット可にしなくてもいいんじゃないか」という、

私の中の変化を恐れる気持ちでした。

まとめ

おかげ様で、

「猫のみ飼育可」で改めて募集したところ、

10日ほどで、入居申し込みをいただくことができました。

保証会社の審査も通ったので、これから契約手続きに進んでいきます。

家賃や募集条件を欲張って、なかなか入居が決まらない、となるよりは、

貸主側から借主側に近づいて行って、

借主様に選んでもらえるようにしていかないと、

今後の賃貸経営はきびしさを増していくと感じます。

ネット上で、自分の物件を見つけてもらって、

資料請求してもらって、

内覧してもらって、

入居申込書を書いてもらう、

そして、

ようやくご契約で売上が発生、というのが賃貸経営です。

巷では賃貸経営は不労所得などと言われていますが、

私は、賃貸経営を、

調査力、分析力、実行力、説明力、その他諸般の労働能力を要求される、ふつうに労力を伴うビジネス、

という印象を持っています。

言い方を変えれば、

労働を嫌がる人には、これからの賃貸経営は無理なんじゃないかな、

と思っています。

やはり、使ってもらってこその賃貸経営。

今後も、入居ニーズのリサーチは、

継続していこうと思います。