お疲れ様です。
静岡の税理士、浅原です。
顧問先のお客様とお話していると、銀行借り入れの返済について、
「ガマンして」返済をがんばっている方がいらっしゃいます。
もちろん、事業を継続していくうえで、「ガマン」も「ガンバリ」も必要ではありますが、
こと銀行返済に関しては、「ガマン」は必要ありません。
そのことについて、書いてみます。

銀行返済を「ガマン」する
ここでいう、「銀行返済をガマンする」とは、
「自社の運転資金を危険水準まで減らしながら」という意味です。
言うまでもなく、運転資金が尽きれば、事業が止まってしまいます。
運転資金の残高を危険水準まで下げてしまうというのは、
よほどのことがない限り、避けなければなりません。
それを、ご自身で認識しており、かつ、それに対して何のアクションもとっていない、
ということであれば、
即刻、そのスタンスは見直すべきでしょう。
私が見てきた中で、一番多いガマンケースは、
「返済期間が短い」です。
返済期間を短く組んでしまう方は、そもそも借金がお好きではないのでしょう。
「いいやいいや、さっさと返しちゃおう。何とかなるら」という感じで、
借りるときに短期返済で計画してしまう方は、一度、考え直した方がよいです。
(お気持ちは、よーくわかるのですけど)
もちろん、早く返せるならば、それに越したことはありません。
早く返せば、トータル金利も少なくて済みます。
しかし、返済している期間は、きついです。
返済期間が短ければ、ひと月当たりの返済額は、高額になりやすい。
加えて、毎月の分割返済とはいえ、借りた月の翌月から返済は始まってしまうので、
借りたお金を有効活用できなければ、あっという間に、手元資金は減っていきます。
そのきつい返済を、ガマンしてガマンして、耐えて返済を続けている、ということであれば、
いったん立ち止まって、考え直しましょう。
銀行返済をしていくのに、ガマンは不要です。
正確に言えば、銀行に対してガマンパワーを使うのではなく、
そのガマンパワーは、売上獲得とコスト削減に向けるべきです。
売上獲得には、ガンバリが必要です。
コスト削減には、ガマンが必要です。
しかし、銀行返済には、ガマンやガンバリは必要ありません。
ただただ機械的に、売上からコストを差し引いた残額の中から、
運転資金を安全水準に保てる範囲で、返済をしていけばよいのです。
銀行にダメージはない
静岡県の代表的な地銀である静岡銀行を例にとりますと、
2022年12月末時点の貸出残高は、9兆4千億円あります。

また、同じく地元地銀の清水銀行ですと、
同日時点の貸出残高は、1兆2千億円とのこと。
我々スモールビジネスの経営者からすると、及びもつかない規模の金額ですが、
逆に言えば、我々が借りている3,000万円とか5,000万円とかの借入金は、
銀行から見たら、ハナクソみたいなものだ、ということです。
この程度のお金が戻ってこなかったからと言って、銀行側では、痛くも痒くもありません。
ですので、ガマンしてまで、最初の約定通り律儀に返済するのは、止めましょう。
むしろ、ガマンして返済して、資金不足の末、返済途中で破綻してしまうよりは、
しっかり返済条件を見直して、事業継続が可能な範囲で返済を続けていく方が、
銀行からみたら「律儀な借主」といえます。
そういう時には、
リファイナンス(借り直し)や、
リスケジュール(返済条件の変更)
という方法があります。
リスケジュールは、そのあとの副作用があるので、
気を付けて使わなければなりませんが、
リファイナンスであれば、副作用はありませんので、
まずはリファイナンスから着手してみるのがお勧めです。
まとめ
銀行融資には、「諸刃の剣」という側面があります。
借りるときには痛みはないけど、返すときには、
その刃は自分自身を切りつけてくる、ということです。
そうならないための一つの方法は、できるだけ「長期間」で返済計画を組む、
ということです。
借りる段階で、融資条件の設定と、借りる側の環境を整えておくことが、
最初の勝負どころです。
安易に借りない、そして、安易に返さないように、気を付けましょう。