リースにするか、銀行借り入れにするか

お疲れ様です。

静岡の税理士、浅原です。

お客様と面談していると、設備投資をするにあたって、

リース契約にした方がいいか、それとも銀行借り入れを起こした方がいいか、

判断を求められることがあります。

そこで今日は、「リース」か「銀行借り入れ」かの私の判断基準について、

書いてみようと思います。

仕事で使う車の車検手続き中。
私は、設備購入は自己資金派。

金利コストを抑えたいなら

銀行借り入れには、当然ながら金利の負担を伴います。

そして、リースの場合はどうかというと、

やはり銀行借り入れと同様、金利負担(リースの場合は「リース料率」といいます)を伴います。

ただ、リース契約においては、リース料の支払い予定表を見ても、

金利相当額については明記されていません。

リース会社側では、まずリース物件を仕入れてきて、その仕入れ価格に金利相当額を上乗せして、

その合計額を、リース期間に応じて均等払いにしています。

その結果、金利相当額は、リース契約書やリース料の支払い予定表から見えないものの、

実際には、毎月支払うリース料の中に、金利相当額が含まれています。

では、銀行借り入れの金利と、リース契約の金利と、どちらが低いかというと、

確実に、銀行借り入れの方が低いです。

実際に、以前勤務していた会社で、

取引のあった金融機関の利率と、リース契約をしていた設備のリース料率を比較してみましたが、

いずれも、銀行借り入れの利率の方が低かったです。

その理由は、おそらく、所有リスクとの見合いでしょう。

銀行は、お金を貸すだけなのに対し、

リース会社は、法律的には、設備を自前で購入し、それをリース期間中、他者に貸し出します。

そして、リース期間が終われば、その設備を回収してきて、

中古市場で転売したり、自社で処分しなければなりません。

ブツを所有する、ということは、最終的にはその処分まで含めて管理しなければならないので、

どうしても、リース契約の金利の方が、高くなってしまうのでしょう。

また、リース契約では、リース期間終了後は再リース契約という形で、

リース期間を延長することができます。

しかし、本リース期間のリース料よりはだいぶ少ないとはいえ、

再リース期間中も、再リース料を支払わなければなりません。

対して、銀行借り入れを起こして購入した設備には、リース期間の延長などというものはありませんから、

借り入れ元本の返済が終われば、それ以上の支払いは生じません。

トータルでみても、スポットで見ても、金利コストを抑えたいなら、

銀行借り入れの方が有利です。

無担保融資枠をキープしておきたいなら

設備投資のための銀行借り入れでは、通常、銀行から追加担保を要求されることはありません。

つまり、無担保融資、ということになります。

しかし銀行は、「はだかで出す」ということを嫌がります。

その結果、信用保証協会の普通保証枠を使って融資をする、ということになりがちです。

信用保証協会の普通保証枠は、1社あたり8,000万円が割り振られていますが、

これはあくまで「上限」です。

事業の規模が小さければ、それに応じて保証枠も縮小しますので、

事業規模の小さいところでは、上限が1,000万円とか2,000万円になってしまいます。

さて、運転資金の無担保融資にも使えるこの貴重な普通保証枠を、

リース契約でもいけるような設備購入に使ってしまってよいのでしょうか。

もし今後、運転資金の融資が欲しくなるかもしれない、という事業者さんならば、

ここは、金利コストが多少高くても、リース契約にしておいた方がいいでしょう。

また、県の制度融資などで、

信用保証協会の普通保証枠とは別枠で、保証を受けられる、という商品がある場合には、

その制度融資を利用するのもありです。

どちらにしても、将来の運転資金の確保のために、

「あえて普通保証枠を温存しておく」という視点も、持っておいた方がいいでしょう。

事業継続にあたって必要不可欠な設備であるなら

資金繰りが苦しくなってきて、設備購入のために借りた銀行融資が返済できない、

もしくはリース料が払えない、という場面を想定してみます。

銀行借り入れを契約通りに返済できない、という場合には、このブログでも何度か書いていますが、

返済条件の緩和交渉(いわゆるリスケジュール、略してリスケ)という手段が残されています。

私の経験上、やり方を間違えなければ、だいたい金融機関は、リスケには応じてくれます。

そして、銀行から借りているのはあくまでお金であり、設備そのものではありませんから、

たとえリスケによって返済を一時停止していても、設備は、リスケ前と同様に使うことができます。

それに対し、リース契約の場合は、お金ではなく設備を借りれいることになりますので、

リース料を払えなければ、その設備は引き揚げられてしまいます。

リース契約では、

「リース料の支払い」と「設備の設置」が完全に紐付けられてしまっているからです。

そういう点で、もし今回購入しようとしている設備が、

事業の継続にあたり、絶対的に必要不可欠なものであるならば、

銀行借り入れの方が、財務上のトラブルと切り離して対応できるので、お勧めといえます。

なお、補足ですが、リース会社にも個々の会社ごとに、系列があります。

大きく分けると、メーカー系、銀行系、独立系などです。

前述のとおり、リース契約では「リース料」と「設備」が紐付けられているため、

そもそもリスケという概念がありませんが、

銀行系のリース会社であれば、親会社の銀行がリスケに応じている場合には、

リース会社側もリスケに応じてくれることがあるらしいです。

まとめ

まとめます、次のような順番で判断していけばいいでしょう。

「運転資金に不安あり」・・・普通保証枠を温存しておくべき・・・リース契約

「事業継続に必要不可欠」・・・どちらかというと銀行借り入れ

「コストを抑えたい」・・・銀行借り入れ

昨日の仕事

  • 清水区興津のお客様のデータ入力

長時間のパソコン作業がきつく感じる。

体にかかる負担を減らしていく工夫が、必要になってきたかな。