新しい融資担当と再提案。担当者の変わり目は狙い目

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

先週、お付き合いのある金融機関の担当者さんが転勤して、

新しい担当者さんが、当方の事務所にご挨拶にいらっしゃいました。

その時に、以前私がサーポートしていた関与先様の融資案件

(担保条件が、社長の意向と合わずに棚上げ状態になっていた)について、

再提案を持ってきてくれました。

再提案の内容を見ると、

「担保なしの完全プロパーで、金利1.65の約弁つき」

となっています。

「こりゃいいね。ちょうどもうすぐ決算が仕上がるから、

さっそく社長に話をしてみるよ」

と答えました。

この件で、思ったことを書いてみようと思います。

前回に続き、青葉通りのイルミネーション。
冬だからこそ、感慨深い。

将来の選択肢を残せる選択を

当初、この融資案件では、「当座借り越し」を希望していました。

借主となる関与先様では、ある程度の手元資金はあるものの、

「いざというときにすぐに借りれて、売掛の回収が終わったらすぐに返済したい」

というものでしたので、

毎月の返済のない当座借り越しがピッタリでした。

しかし、ネックとなる条件が2つありました。

一つは、

その関与先様とこの金融機関は、初めての取引となるため、

初回の取引から当座借り越しを設定するのは、とてもハードルが高い、

という点です。

なにせ、当座借り越しは、

「毎月の返済がなく、借主の都合のいいときに返せばよい」というものなので、

そこには「取引実績に基づく信用」というものが必要になってきます。

もう一つは、担保設定の問題でした。

すでに、この関与先様では、

自社所有の土地建物に抵当権が設定されており、

担保余力が少ない状態になっています。

そこに、いざというときのための融資、つまりは、保険的な意味合いの融資で、

最後の担保余力まで奪われてしまうとなると、

この先、本当に困ったときに、次の手が打てなくなる、という心配がありました。

これらを踏まえて、今回の再提案を見てみます。

もともと、一つの金融機関としかお付き合いのなかった関与先様が、

取引金融機関をもう一行増やすことによって、

運転資金に関する相談先が、二つに増えます。

昔からのお付き合いのある金融機関がメインバンク、

新しくお付き合いを始めた金融機関がサブバンク、という位置づけで、

今後、会社の状況や金融機関側の事情に合わせて、柔軟に相談をしていくことができます。

これは要するに、

「いざというときに相談できる相手を複数用意しておく」という点で、

保険的な意味合いを持たせることができます。

また、いうまでもなく、無担保融資であれば、

会社側の担保力を痛めることもないので、

担保という点では、まったく問題ありません。

約定返済付き、という点は、致し方ないでしょう。

「初回取引で、無担保で、約弁なしの当借」となったら、

支店長への相談の段階で、ただちに却下されるでしょう。

金利1.65%も、無担保でこの水準なら、

かなり頑張ってくれている、といえます。

この再提案で、最もすばらしいのは、

やはり「無担保」という点でしょう。

会社の担保力を傷つけずに、お金を借りれる、というのは、

会社の将来に、選択肢を残しておく、ということにつながります。

一手打つごと選択肢が狭まる、というのは「悪手」である可能性が高いです。

この再提案は、ありがたく受けておくべきだと思います。

県立こども病院の出展。
こども病院が近くにあって助かった、
と思ったことが何度もあります。
感謝。

担当者の変わり目は狙い目

あいさつに来てくれた担当者さんは、

30代半ばのシャープな印象の方でした。

金融機関の営業担当さんが、転勤後最初に思うことは、「

とにかく一発目の営業成績を、早く上げたい」ということです。

そのために転勤してきたわけですから、当然です。

こういうとき、

ややこしい条件ゆえに棚上げ状態になっていた融資案件でも、

借主貸主双方の思惑が一致して、急に案件が動き出す、

ということがあります。

金融機関側も、基本は融資を出したいわけですし、

さらに新しい担当者さんは、「なんでもいいからパスをくれ」という感じなので、

小さな案件や難しい案件でも、取り上げてもらいやすいです。

条件の厳しい融資案件の場合、

既存の担当者さんと地ならし程度に話をしながら、

結論は出さずにゆるゆると話を続けておいて、

その担当者さんが異動になり新しい方が来たところで、本格的に交渉を始める、

というのも、手です。

金融機関の営業担当は、通常、2~3年で異動になりますから。

まとめ

以上、新しい金融機関の担当者さんを見ていて、思ったことを書きました。

その担当者さんに、ちょっとした話題づくりと思って、

「私、占いをしているから、良かったら生年月日時を教えてくれたら占うよ」といったら、

ぜひお願いします、といってくれました。

普通、初対面の人に、理由もなく(というより、うさんくさい理由で)

自分の生年月日を教えることはないだろうと思っていたのですが、

即断即決のスピード感のある対応で、やはりシャープでした。

こんな感じの方が、取引金融機関にいてくれると、とても助かります。