神社のお札やお守り、御祈祷の料金は、経費になるのか。神社と会計処理の関係について

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

私は日ごろから、神社に参拝し、

商売繁盛を祈願しています。

顧客増や売り上げ増の祈願ではなく、

自分が今やっているビジネスを、

細々とストレスなく、長く続けていけるように、

という祈願です。

神社では、毎年お札やお守りを購入し、

節目には御祈祷をお願いしています。

先日は、念願だった伊勢神宮に、

2泊3日でお参りに行ってきました。

ようやく、外宮と内宮両方の御札を入手できました。

このときの支出が、経費になるのかどうか、

書いてみようと思います。

左が内宮、右が外宮の御札

はっきりしない

まず先に言っておかなければならないのは、

この神社関係のお金について、

経費計上できるかどうかの税法上の明文規定はない、

ということです。

書籍で調べても、

明記してある記述はありませんでした。

ネットで調べたところ、

「経費計上できる」という意見と、

「経費計上できない」という意見が、

双方ありました。

ふつうに考えれば(この「ふつう」という意味あいで、

すでに人によって立ち位置が違うでしょうけど)、

神社の御守りや御祈祷とビジネスは、

関連性がありません。

ビジネスを開始するにあたり、

神社に届け出をする必要もないですし、

許可や決算報告もいりません。

売り上げ増や売り上げ減も、

神社の御祈祷の回数とは、

因果関係がありません。

ふつうは。

ですので、そもそも神社関係のお金は、

「経費計上しにくいもの」、

という認識であることが必要です。

その反面、

御守りや御祈祷の効果を心から信じている経営者も多いです。

なにせ、独立すれば、

「自分の後ろには誰もいない」

「頼れるのは自分だけ」という状況になりますので、

藁にもすがる思い、というか、

なんでもいいので心の支えになる存在が必要なんですよね。

そういう支えを必要とする経営者さんにとって、

「毎年神社にお参りに行く」、というのは、

欠かすことのできないルーチンです。

事務所に、神棚を祭る経営者さんが多いのも、

よく理解できます。

そういった経営者さんにとって、

神社に支払うお金は、経費性あり、

という認識になりますね。

このように、

神社関係や宗教関係で使ったお金については、

「理解の相違、議論の余地あり」というカテゴリーのお話になる、

ということを踏まえておく必要があります。

20年ぶりに訪れた伊勢神宮
主要なエリアはすべて撮影禁止でした

【私見】御札、御守り、破魔矢などの購入代金

経費計上してよい、と考えています。

勘定科目は、消耗品費でよいでしょう。

祈願の内容にもよりますが、

商売繁盛、事業繁栄、

交通安全、旅行安全、

家内安全、除災招福、

心願成就などであれば、

ぜんぜんオッケーだと思います。

安産祈願、子宝祈願は、

ちょっとビジネスからは外れるかもしれませんね。

合格祈願、良縁成就は、微妙なところですが、

合格を目指すのが、ビジネスに必要な資格試験だったり、

良い顧客との縁結びということならば、

スジは通るのではないでしょうか。

平日も込み合うおかげ横丁
20年たっても雰囲気は変わらない
おかげ横丁では、スタバも主張が控え目

【私見】御祈祷、御賽銭の料金

御守りや御札にくらべて、

経費計上のハードルが上がります。

前述の御守りなどは、「モノの対価」であり、

そのモノがどのように使われているかを客観的に確認できますので、

比較的説明もしやすいですね。

それに対し、

御祈祷は「サービスの対価」であり、

その場に居合わせなかった第三者からしたら、

非常にフワッとした感じのものですので。

御賽銭に至っては、

いくら払ったか、確かめようもありませんね。

さて、この点について、

法人と個人事業では、扱いが異なります。

法人に関しては、国税庁のHPでは、

「神社の祭礼等の寄贈金」という言い方がされており、

「寄付金」に該当する、という解説がありました。

つまりは、寄付金として、

「上限の範囲内ならば、経費計上できる」、

ということです。

なお、この「上限」というのが、

かなり制約されておりまして、

資本金1000万円で収支トントンの会社さんの場合、

上限は、年間で6,250円です。

これに対し個人事業の場合は、

過去の判例から、経費計上はできない、

とされているようです。

個人事業の場合、

ビジネスとの関連性と個人の信仰心と区別ができないから、

ということが理由のようです。

それでも、私は経費計上しますけどね。

御祈祷の神秘パワーはさておき、

見えない存在に見張られている、見守られている、という思考パターンが、

自分のビジネスを良い方向に導いてくれる、と思っていますから。

スヌーピーは、それなりに主張していた
スヌーピーと、疲労を隠せない自営業の中年男性

【私見】経費計上するために必要な条件

上記支出を経費計上するうえで、必要と思われる条件を挙げてみます。

  • 領収書を用意しておく(混みあっているときでも、できるだけ、巫女さんに頼んで領収書を書いてもらう)
  • 日ごろから参拝を習慣にし、御札や御守りを定期的に更新しておく(毎年、同じ時期に同じ金額が経費計上されていれば、税務調査でも、ビジネス上のルーチンとして見てくれるでしょう)
  • 常識的な範囲にしておく

宗教がらみは、税務署の人も、

あまり立ち入りたくない、とうのが本音でしょう。

もともと税務調査自体が、

相手に喜ばれるようなものではないですし、

そのうえ信仰心に立ち入って話がガチャガチャしてしまったら、

調査以外のことに、貴重な調査時間を消費してしまうことになるかもしれません。

調査官も人間ですから、

めんどくさいのにリターンが少ないことは、

避けたいはずです。

常識的に考えて、

「まあまあ、これぐらいならスルーでいいでしょ」

と思ってもらえるような金額、回数にとどめておきましょう。

おかげ横丁の隣を流れる五十鈴川
三重に住むなら伊勢がいい、と思ってしまう一枚

【私見】神社パワー

話は変わって、

山梨県の富士吉田に、知る人ぞ知る

ビジネスに強力な効果を発揮してくれる神社があります。

新屋山神社といいます。

この神社は、本宮と奥宮の2つがありまして、

強力なのは奥宮です。

私は、独立する前、

まだ社内税理士をしていたころに、

ここを訪れて、御祈祷をしてもらいました。

おかげ様で、翌年、スムーズに独立することができました。

家族や周りの人たちの協力、

自身による事前準備があってこその独立でしたが、

自分の努力だけではどうにもならない「運」というものもあります。

いまでも、その運の部分に、

山神社のパワーが作用したのではないか、

と思っているんですけどね。