建設業や工務店について、決算処理での売上・仕入・在庫計上を整理しました

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

決算処理をしていて、いつも難しいなと感じるのが、

建設業や工務店、

自動車販売業、

あとは、規模の大きい会社さんです。

建設業や工務店については、

工事ごとに入出金や進捗度合いを追いかけていかないと、

正確な決算が組めないため、

神経を使います。

(どうしても、紙面上からは現場の様子がわからないですし)

備忘記録も兼ねて、建設業や工務店の決算処理で、

重要なポイントとなる売掛・買掛・在庫計上について、

まとめておきます。

未着工の工事

決算日の時点で、

まだ着工していない工事については、

売上計上、仕入計上ともに必要ありません。

着工してないわけですから、まだ何も始まっていないですし。

ただ、

工事用に仕入れ済みの材料がある場合には、

仕入計上+在庫計上が必要になります。

なお、

完成前に受け取った工事代金については、売上計上する必要はありませんので、

売上金額から除外し、前受金勘定に振り替えておきます。

着工済みだが未完成の工事

決算日の時点で、

着工はしているけど、まだ完成はしていなくて途中となっている工事については、

次のようになります。

  • 売上・・・計上なし
  • 仕入・・・払った分だけ経費計上する

在庫・・・工事の進捗度合いに応じて、工事見積金額のうち完成した部分を、在庫として計上する。 (もしくは、その工事について経費計上した金額を、丸々在庫計上に振り替える)

この段階の工事の処理が、一番複雑ですね。

ひとつひとつの工事について、

払ったもの、払ってないものと分けて、

払ったものについては上記のように処理し、

払ってないものについては処理不要となります。

そして、先に受け取った工事代金については、

上記「未着工の工事」と同様、前受金に振り替えます。

完成済みだが未納品の工事

決算日時点で完成してはいるものの、

まだお客様への引き渡しが終わっていない工事については、

次のようになります。

  • 売上・・・計上なし
  • 仕入・・・その工事に関する経費は、全額経費計上する(まだ支払っていないものは、買掛金として計上)
  • 在庫・・・工事代金について、全額を在庫計上する

まだ引き渡しが終わっていないため、売上計上はしなくてもよいのですが、

工事そのものは完成しているため、

工事代金相当額(見積り金額)を、全額商品在庫として計上します。

納品済みだが未請求、もしくは納品請求済みだが未入金の工事

決算日時点で引き渡しが完了している工事は、

次のようになります。

  • 売上・・・工事代金全額を売上計上する
  • 仕入・・・その工事に関する経費は、全額経費計上する(まだ支払っていないものは、買掛金として計上)
  • 在庫・・・計上なし

上記、「完成済みだが未納品の工事」における在庫計上の金額が、

売上金額に置き換わるイメージです。

まとめ

会計処理の枠組みとしては、このような形ですね。

図にまとめると、次のようになります。

あとは、ひとつひとつの工事について、

進捗率はどの程度だったのかを見ながら、

上記4つの区分に当てはめて計算していけば、大丈夫です。

建設業への税務調査では、

この部分の会計処理は必ずチェックされますから、

計算につかった資料は捨てずに残しておきましょう。

ではでは、ご参考までー。