「部分最適」を避けるためには「関心を寄せる」こと

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

現在、日々の税理士業務と同じくらい時間がかかっているのが、

先月購入したアパートのリフォーム作業です。

着手しなければならない箇所が多すぎて、ひとつひとつの論点が、

答えの出しづらいものになっています。

例えば、エアコンの交換をするにも、配管の引きまわし方、外壁塗装とのタイミング、

室外機の設置スペース、と、ひとつの論点に、多くの別の論点が絡んできて、

非常に答えが出しづらいです。

そういったときに、リフォーム会社さんにお任せしてしまうと、「部分最適」に陥ってしまいます。

「部分最適」ということは、言い換えれば、

「全体としては最適ではない」ということです。

避けるべき事態です。

部分最適を避けるために、わたしはひたすら、リフォーム工事に関心を寄せています。

リフォーム用の壁紙、床材のカタログ

「部分最適」という名の不正解

賃貸の現場にいると、よく目にするのが「不適切な処置」です。

たとえば、最近見た例でいうと、次のようなものがありました。

「窓枠をペンキで塗ってしまう」

・・・数年経つと紫外線でボロボロになる

「雨漏りしている壁に、雨漏り修理をせずにクロスを張替える」

・・・理解不能

「汚れた床のクッションフロアをそのままにして、天井と壁のクロスだけを貼り替える」

・・・巾木に樹脂製のソフト巾木を使っている場合には、床のクッションフロアを貼り替えるときに、壁のクロスもふたたび貼り替えなければならない

「フローリング材のコーティングを部分的に剝がしてしまう」

・・・その周辺から、さらにコーティングの剥離が進んでしまう

「木材との接着部分にボンドを使ってしまう」

・・・剥がすときに、下地ごと剝がれてしまう

「割れた石膏ボードの上に、そのままクロスを貼ってしまう」

・・・しばらくすると、ボードと同じ個所で、クロスが割れてしまう

また、不適切とまではいいませんが、

次のような「明らかにミスマッチなプラン」というのも目にしました。

「自動火災報知機を、室内に設置」

・・・その部屋が留守のときには、誤作動のときの警報を止める手段がない

「下の階層に単身世帯、上の階層にファミリー世帯という配置」

・・・ファミリー世帯からの騒音

依頼者にアドバイスしてくれる人が、だれもいなかったのかな、と思ってしまいます。

コミュニケーション不足

なんでこんなことが起きてしまうのか、と不思議に思っていたのですが、

今回、リフォーム工事で四苦八苦しているときに、気付いたことがあります。

全体から見て、「明らかに不適切」、「明らかにミスマッチ」な事態というのは、

おそらく責任者と現場サイドとのコミュニケーションが不足していたのだろうと。

わたしは、賃貸経営の最終的な責任者として、リフォーム工事には大きな関心を持っていますので、

現地での調査、打ち合わせ、見積り内容、工事内容、仕上がり、支払い、すべてに気を付けています。

それが当然だと思っています。

その結果として、わたしが依頼する修理会社さんは、適切にかつ丁寧に仕上げてくださり、

賃貸経営全体から見ても、収まりのよいものになっています。

そのためにわたしが重視しているのは、コミュニケーションです。

施主側の意図や希望、協力できる部分、無理な部分、そういったことを

職人さんにしっかりお伝えすることで、職人さんも現場で、

できる限りのパフォーマンスを発揮しようと頑張ってくれます。

コミュニケーション不足は「関心不足」から

わたしはいままで、不適切な処置の原因は、職人さんの姿勢にある、と考えていました。

ペンキを塗られて表層の劣化が始まった窓枠を見て、

「こうなることはわかっていたはずなのに。テキトーでやる気のない職人さんばかりだな」と。

しかし、職人さんには職人さんの都合があります。

労力を掛けたくない、早く終わらせたい、数をこなさないとお金にならない、など。

発注の仕方をみれば、依頼者の姿勢はわかるでしょう。

依頼者が、工事内容に関心を持っているかどうか。

依頼者が、自身の物件のリフォームに関心をもっていないのに、

外部の職人さんが、依頼者以上に工事に関心を寄せるなど、ありえません。

誰だって、自分の生活の方に関心がありますから。

また、工事の一部分のパートを担う職人さんには、工事の全体像が見えません。

工事の全体像の説明なしに、職人さんに依頼すれば、

部分最適の方向に進んでしまうのは、やむをえないことでしょう。

そういったことからも、部分最適を避けるためには、

依頼者自身が、工事に関心を持つことが、最も重要です。

知識よりも、「関心」が重要です。

知識は、職人さんが持っています。

関心は、依頼者にしかありません。

税理士の場合

このことは、税理士業務にも、すっぽり当てはまります。

依頼者であるお客様が、

事業経営に関心がない(そんな経営者いるわけないだろ、と思うかもしれませんが、以前にはいました)、

または税務や会計に関心がない(このパターンは多い)という場合には、

税理士のほうも部分最適に陥りがちです。

それも、ある意味仕方がないと思います。

いくら税理士側が頑張っても、お客様はその頑張りに関心がないわけですから、

それでは税理士の熱量も、続かないでしょう。

ただ、それではお互いに満足度が低い関係性になってしまいますので、

わたしはできるだけ簡単な言葉で、会計や税務の仕組みをお話して、

経営と数字とのかかわりを知ってもらうように心がけています。

お客様に、「会計に関心を持ってもらうこと」も、税理士の重要な仕事です。

昨日の仕事

  • インボイス登録申請

国税庁が整備した「ウェブ申請」を使ってみたけど、1時間くらいかけてみて、1件も申請できず。

何かとすぐにフリーズを起こし、進まない。

全項目の入力まで辿り着いても、最後の電子証明で、またフリーズ。

心が折れて、イータックスソフトでの申請に切り替える。

イータックスもエルタックスも、いまだに環境がひどすぎて、いまいち使う気になれない