押さえておきたい会社設立のポイント。登記後の手直しは、手間もお金もかかるから

お疲れ様です。

静岡の税理士、浅原です。

現在、お客様のご依頼で会社設立を進めていますが、

会社を設立する際に気を付けたい点について、書いてみようと思います。

お参りをしてきた静岡市葵区の浅間神社

株式会社と合同会社、どちらを選ぶか

会社設立する際に、まず迷うのは会社の種類です。

株式会社にするか、合同会社にするかで、迷う方が多いと思います。

それぞれに、メリットデメリットがあるのですが、

スモールビジネスの場合には、論点になるのは次のようなことです。

  • 設立費用の少なさが重要
  • 主力商品や主力スタッフを前面に出したビジネスである(飲食店、美容院など)
  • 経営者は、将来も自分ひとりである

・・・・このような場合には、合同会社で大丈夫です。

「合同会社」という名前は、いまでこそ目にする機会が増えましたが、

分野によっては、まだ認知度が低く、合同会社自体の説明が必要な場合も多いです。

ただ、それでも、ビジネスの全面に出てくるのが、

飲食店などの商品名であったり、美容院のような業種名であったりする場合には、

お客様は、会社の種類など気にしていないでしょうから、合同会社で問題ありません。

なお、合同会社は、出資者と経営者が区別されておらず、

「出資者」=「経営者」という形態をとっています。

それゆえ、経営者を新たに招き入れる場合には、

その新たな経営者も「合同会社のオーナー」という立場になります。

経験上、オーナーが複数いるスモールビジネスは、

だいたい揉めて、解散するか譲渡することになりますので、

そのような場合に合同会社を選ぶのは、避けた方が賢明です。

上記とは異なり、次のような場合には、

株式会社を選んでおくとよいでしょう。

  • 営業活動を、活発化、円滑化させていきたい
  • 事業を拡大させていきたい

株式会社であれば、世間的な認知度は十分ですし、

個人事業ではなく組織でビジネスをしているという安心感(誤解であったとしても)を相手に与えますので、

営業活動を円滑に行うことには向いています。

それに、ビジネスのパートナーとして経営者を招いてきたとしても、

経営者というだけでは会社のオーナーとしての立場は与えられませんから、

株式を手放さなければ、会社を乗っ取られることはありません。

余談ですが、合同会社は、設立費用の安さから選ばれることも多く、

そのため、知っている人から見ると、

「設立費用をケチったな、ケチくさいな」という印象がついて回ります。

株式会社であれば、そういう見方はされません。

会社名と本店所在地

法律上は、「同一の本店所在地に、同一の会社名の会社をつくることはできない」、

という程度の制約です。

それなら、どんな社名でも大丈夫かな、と思ってしまいますが、

実際にはそうではありません。

気を付けていただきたいのは、

「同じ市町村内に、同じ業種で、似た名前の会社があるかどうか」

という点です。

「営業エリアが近くて、扱っている商品やサービスも同じで、会社名も似ている」となると、

以前からある会社側によって、

「会社名の使用の差し止め」を請求されるリスクが出てきます。

さらに、意図せずして、以前からある会社の顧客を奪うようなことが生じてしまうと、

その会社に損害を与えたとして、損害賠償請求を受ける可能性まで出てきてしまいます。

会社名についての争いは、基本的には古くからある会社の方が有利ですから、

そんなトラブルには巻き込まれないような会社名を選ぶようにしましょう。

ちなみに、業種が違う、もしくは、営業エリアが違う、となれば、

似たような名前の会社でも、問題ありません。

業種がわからない場合は、法務局やネットの登記情報で調べれば、

会社登記簿の事業目的の欄に書いてあります。

事業目的

行政の許認可が必要な業種(建築業、土木業、運送業、飲食店など)については、

事業目的は、しっかり調べて、将来認可がとれるような形で登記するようにしましょう。

「いますぐはやらないけど、将来やる可能性がある業種」については、

設立時点で、全部登記してしまえばよいです。

(あとで追加の登記をすることもできますが、手間とお金がかかります)

資本金

会社法上の最低資本金の制限はなくなりましたが、

少なすぎる資本はやめておいた方が無難です。

あまりに少なすぎる資本金は、

将来金融機関から融資を受ける際にも、不安視されてしまいます。

感覚的には、100万円くらいは積んでおきたいところですが、

最低でも50万は用意しておきたいところです。

また、業種によっては、最低資本金の制限が残っています。

建築業であれば500万円、人材派遣業であれば2,000万円の資本金が必要とされています。

資本金の「見せ金」はやめておこう

なお、資本金が不足する場合には、「見せ金」という方法もありますが、お勧めできません。

見せ金を使って、資本金が潤沢にあるように見せることは可能ですが、

複式簿記の性質上、

「ある」とした資本金が「ない」ならば、その帳尻合わせのために、

別の「ない」ものを「ある」としなければならなくなります。

具体的には、

設立直後の1日目で、大量の「役員貸付金」を発生させることになります。

明らかにおかしいです。

金融機関などの第三者から見ると、

「会社作った直後に、社長に貸し付けって、なに?」となってしまいます。

資本金の見せ金は、やめておきましょう。

まとめ

以上、会社設立にあたって、注意してほしいと思うポイントについて、まとめてみました。

会社設立後も、定款や登記情報は変更できますので、

後から修正することは可能ですが、

作ってしまった印鑑や封筒、名刺などを作り直すのは手間ですし、

登記情報を修正すること自体にも、お金がかかります。

専門家が入っていれば、注意を促してくれると思いますが、

ご自身で設立手続きを進める場合には、

上記のポイントに注意していただきたいと思います。