独立を目指す人へ。独立前から人間関係を大事にしておこう

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

私は、税理士として独立して仕事をしていますが、

「独立」が「良いこと」、とは思っていません。

「独立開業」は、生き方の選択肢のひとつであって、

それ自体に良し悪しの違いはないと思っています。

特に私の場合、多人数で共同作業にあたる、という働き方に、

どうしても自分から合わせていくことができなくて、

会社から逃げるように独立した、という経緯があるので、

かっこよく独立、というよりは、

「追い込まれ開業」といった方が、ぴったり来ます。

それゆえか、まれに知り合いから

「今度独立するからよろしく」ということを聞くと、

哀愁を感じてしまいます。

独立する経緯は、人それぞれだと思いますが、

一応独立経験者として、

これから独立を目指す、という方にお伝えしておきたいことがあります。

いろいろとあるのですが、

まずは、「人間関係を大事にしておく」ことです。

独立後は当然として、

独立前にそうしておくことが大切です。

藤枝の蓮華寺池公園のイルミネーション。
毎年この時期になると、
イルミネーションでライトアップされます。
今年は、ちょっと控えめのようです

人間関係からは逃げられない

私のような独立タイプ(共同歩調や人付き合いが苦手)の人は、

「独立」と聞くと、

「ようやく人間関係のわずらわしさから逃げられる」、とお思いかもしれません。

スタッフを雇わなければ、確かに、

自分の机の前後左右に誰かがいる、とか、

ちょっと離れたところにいる上席者に監視されている、

ということはなくなります。

もっとも、独立してひとりで仕事をしている、とは言っても、

その「仕事」自体は、他人から与えられるものです。

特に我々税理士などは、

ほかの事業者さんからの仕事の依頼があって、ようやく仕事が生まれるのであって、

自分ひとりだけの力で、仕事の成果である「商品」を作り出す、

ということは、基本的にはできません。

また、近年では、セミナーを主催したり、

書籍や情報商材を売上の柱のひとつにされている税理士さんもいらっしゃいます。

その場合、商品自体は、自分だけで作り出すことはできるでしょうけど、

間接的人間関係、とでもいいましょうか、

その税理士さんと直接の人間関係はなくとも、

その税理士さんのホームページやブログを読んで、「信頼に足る人だ」と信じてもらう必要があります。

つまり、独立したとしても、

新規のお客様を獲得していくためには、「人間関係を減らす」わけにはいかず、

むしろ「人間関係がもっと欲しい」と感じることもあります。

その点は、リアル営業でもネット営業でも、変わらないと思います。

結局のところ、

独立したって、人間関係からは逃げられない、ということになります。

ペットボトルで作られた照明。
むき出しの単管パイプが無骨な感じですが、
夜なのであまり気にならない。

人間は人間が支えている

私は、税理士としての知識や経験を使って、事業者さんたちを支えています。

そして、事業者さんたちは、その分の報酬をはらうことによって、

私の一家の生活を支えてくれています。

以前、1年だけ勤務していた会計事務所では、

所長の税理士さんが、お客様の前では、非常に偉そうに振舞っていましたが、

いま振り返ると、それも「その人のスタイルなんだろう」と思います。

どんなに偉い人でも、誰かの助けがないとやっていけないという面はあるでしょうし、

お医者さんのように誰かを助ける仕事をしている人でも、

お医者さん側は、患者さんや国の診療報酬に支えてもらうことで、生活が成り立っています。

「自分ひとりで人生を完結させたい」ならば、

山を買って、狩猟採集生活をしながら、山籠もりするしかないと思いますが、

このブログをお読みの方で、そこまでする人はいないでしょう。

健康で元気なうちや、稼ぎのいいうちは、なかなか実感しづらいかもしれませんが、

間違いなく人間は、人間によって支えられています。

独立は、そのことを実感させてくれます。

食べていくことが最優先

独立の良いところに、

「相性が合わない人とは付き合わなくていい」

というものがあります。

「誰とお付き合いするか」は、上席者ではなく自分で決まることになりますので、

「ちょっとこの人とは合わないな」と感じたら、

距離をとる、接触を避ける、ということができます。

もっとも、それは、「そうしても、問題なく食べいける場合」のことです。

顧客に恵まれず、仕事の数も少ないうちは、

たとえ「相性が合わないかも」とか「条件良くないな」と感じる仕事も、

拾っていかなくてはならない場面があります。

自分を養い、家族を養うためには、味の良し悪しなど気にしていられませんし、

実際、仕事に窮した場面では、どんな仕事も「天の助け」と感じます。

そういう意味では、相性の良い顧客も、相性の悪い顧客も、

みな自分の生活を支えてくれる顧客である、という点では同じです。

その場合に、違いが出るのは、スタミナや精神力の消耗度合い、報酬の多寡、くらいでしょうか。

結果的に、相性の悪い顧客は、お付き合いする期間は短期間になりがちですが、

「だったら、そんな顧客とは最初から付き合わなければいい」というかといえば、

そうでもないと思います。

実際、私もそういうお客様との付き合いが、数社ありましたが、

そういうお客様も、一時期、私の生活を支えてくれていたことは、間違いありません。

子どもたちは、イルミネーションに興味がないようで、
ずっと走り回っていました。

家族に不安を与えない

人間関係を絞れるのは、食べていけるようになってからの話です。

特に、家族を養わなければならない場合は、

来月も再来月も、ちゃんと仕事がある、という状況になるまでは、

仕事の内容やお客様との相性などで、仕事を受けるかどうかの選別はしない方がいいと思います。

仕事が少ないうちから、せっかく来た仕事に対して、

「ちょっと相性が合わなさそうだから、断った」などと言ったら、

我が家では、配偶者からブッコロされるでしょう。

仕事の分量が増えて、家族を養うことに不安がない

(不安はゼロにはならないにしても、自分の力で養っていけるという自信がついた)

という状況になってから、

落ち着いて、お客様の絞り込みをしていけばいいと思います。

もっとも、その頃になるまで、お付き合いが続いているなら、

たとえ相性の悪いお客様でも、いい面に気づいたり、

うまくやっていく方法に気づいたりしていると思いますけど。

まとめ

そういうわけで、独立を目指す方は、

独立前から、人間関係を大事にされることをお勧めします。

「仕事」は、「人間」が持ってきてくれます。

「全然知らない人」が、仕事を持ってきてくれることはあり得ません。

ネットからの依頼であっても、知らず知らずのうちに、

ご本人が築いてきた信頼が、仕事を持ってきてくれます。

お金も人間関係も、たくさんあるときは、煩わしさの方に目が行ってしまって、

その大切さに気付きにくいのかもしれません。

自戒を込めて、気を付けていきたいと思います。