法人成りのその後について

お疲れ様です。

静岡の税理士、浅原です。

今年、個人事業から法人成りをした社長さんがいらっしゃるのですが、

話を聞くと、法人成りをしてからのお金の管理方法に戸惑ってらっしゃるようです。

法人成りの事例は、ほかにも何社か経験していますので、

どういう点に注意しておいてほしいか事前に話はしてあったのですが、

社長さんとしては、話を聞くのと実際にやってみるのとでは、結構違う印象だったようです。

これからも、

個人事業から法人へ移行、もしくは、個人事業と併せて法人も運営する、

という方がいらっしゃるでしょうから、

参考に、今回の社長がどういう点に戸惑ったのか、書いてみようと思います。

社会保険料が高い

社会保険に関しては、個人事業から法人への移行に伴い、

個人事業の時に加入していた国民年金保険と国民健康保険を脱退して、

法人名義で健康保険と厚生年金保険に加入することになります。

この法人名義の健康保険と厚生年金が、

社長の立場から見ると、高額になったと感じるようです。

実際、高くなっているといえます。

法人名義で加入する健康保険と厚生年金は、

会社負担分と従業員負担分(役員負担分)が、合算されて請求が来るのですが、

このうち、会社負担分は、

国民年金と国保では、払っていなかった部分になりますので。

とはいえ、個人事業だった時も、国民年金では年間約180,000円、

国保では、所得金額に対して年間10%程度の保険料を払っていたはずなので、

極端に増えた、というわけでもないはずです。(人によっては「倍増」くらいになってしまうかも)

それでもやっぱり、増えていることは確かなので、

「健康保険と厚生年金て、保険料バカ高いなー」と感じるのは、

致し方ないと思います。

難しいのは、この健康保険と厚生年金の保険料率は、

毎月の給与の高低によって変わってくる、という点です。

給与が高ければ保険料率も高くなり、逆もまた然りです。

住宅ローンや、小規模企業共済、お子様の学費など、

個人名義での支払いを多く抱えている方の場合、

給与を下げることで社会保険料を下げたくても、

給与を下げてしまうと個人名義での支払いには足りなくなる、

という状況になってしまいます。

そういう場合、

例えば、会社から社長個人への支払いを、

給与から一部家賃支払いに切り替える、などの逃がし方はありますが、

そういったことも条件がそろわないとできません。

結果として、

個人事業から法人に移行した場合、健康保険と厚生年金に加入することになり、

社会保険料は確実に増加する(給与額によってはショッキングなほどに)ということを、

想定しておく必要があります。

稼いできたお金を自由に使えない

個人事業をしていた際には、仕事で稼いできたお金は、自由に使えました。

帳簿上は、「事業主貸」という科目を使って、

仕事用の銀行口座から自由に引き出して、用途を問わず使うことができました。

法人になると、そうはいきません。

法律上は、社長個人であっても、個人と法人は別人格ですから、

社長個人のプライベートな支出を、会社の銀行口座から引き出すわけにはいかなくなります。

社長個人が自由に使えるお金にするためには、

会社から「給与」としてもらうか、「事務所家賃」や「自分の車のレンタル料」などの名目でもらうか、

何かしら「会社が負担すべき理由のあるもの」として、お金をもらう必要があります。

もし、「会社が負担する理由」がないお金を、社長個人が使ってしまうと、

それは「会社が役員に貸し付けたもの」となり、帳簿上には役員貸付金として残ります。

役員貸付金は、清算するまでは帳簿に残り続けますので、

いつかは、ちゃんと会社に戻さなければなりません。

こういった、自分で稼いできたお金を自由に使えない、という点が、

個人事業を長くしてきた方には、非常にめんどくさく感じるようです。

実際、世の社長さんたちも、皆さん同様にめんどくさいと感じていると思いますが、

それと同時に「会社経営というのはそういうものだ」と受け入れているのでしょう。

法人成りをした場合、

会社経営をしていくわけですから、会社の運転資金が最も重要であるのは間違いありませんが、

個人名義のお金もある程度持っておかなければ、私生活がしづらくなってしまいます。

私生活の方で、生活費以外でまとまった支出や継続的な支出を抱えている方は、

会社を作る際に、「どのような形で会社から個人にお金を流すか」という点も、

合わせて考えておく必要があるでしょう。

個人事業と法人、両方やっていくのも有り

最終的に、個人事業の勝手の良さと、法人のビジネステイストの双方を取り入れて、

「個人事業と法人それぞれをやっていく」、というのも有りです。

個人事業には、プライベートとビジネスの垣根の低さや、

65万円の青色申告特別控除、決算申告の手軽さなど、良い面もたくさんあります。

個人事業と法人、どちらでやっていくか絞れない、

もしくは、法人を作ってみたけど、やっぱり個人事業の良さが懐かしい、とお思いなら、

あえてひとつに絞らずに、自分で納得できるまでは、両方残して両建てでやっていく、

ということをお勧めします。

昨日の仕事

  • 宗教法人へ決算書をお届け

清水区では、「7月がお盆」というところが多いので、必要な打ち合わせは6月中にやってしまいたいところ。

  • プロパンガスの会社と面談

保有マンションにガス供給をお願いしている会社さん。

予想はしていたことだが、供給単価が上がるらしい。

うちは、プロパンガスの供給単価を、都市ガス水準並みに抑えて供給してもらっていたけど、そういったことは今後は難しくなりそう。

エネルギー関連は、非常に苦しい状況に陥っている。

  • 夜に空手

試合に出ることを決めてから、組手の当たりが非常に厳しくなってきた。

痛いけど、自分をひとりの選手として接してくれることがうれしい。(マジで痛いけど)

お客様からいただいた新茶と野菜。
運転手として同行した父にも、いただいてしまった。
まことにありがたい限りです。