お疲れ様です。
税理士の浅原です。
締め切りのギリギリにならないと、
資料を準備しない方がいます。
私が担当する申告案件のうち、
昨日、最後のおひとりから資料を受け取って、
すぐに申告書作成にとりかかり、
夕方にはデータ送信を完了させました。
期限間近で、資料を持ってこられる場合のデメリットについて、
書いてみようと思います。
申告期限までに間に合わない可能性がある
資料を準備する側にとっては、
「資料を準備することがシゴト」であるため、
そのシゴトの完了を、
申告期限にあわせてしまっているように見えます。
ただ、いうまでもないですが、
「申告期限」は「『申告書の提出』と『納税』の期限」であり、
「資料を準備する期限」ではありません。
準備された資料から、税金計算に必要な資料をピックアップし、
不足している資料を再度お伝えし、
税金計算のあとに内容の確認をしてもらい、問題なければ申告、
という流れになりますので、
資料を受け取ってからも、それなりに時間がかかります。
結果、申告期限ギリギリで資料を持ってこられた場合、
期限内の申告が間に合わない可能性が出てきます。
そして、申告期限までに間に合わない場合には、
各種加算税や延滞税のペナルティが加算されます。
申告期限に遅れるというのは、
いいことはひとつもありませんし、
期限に遅れた、という事実は、
後で挽回することは不可能です。
税金計算の内容が不十分であったとしても、
まずは期限内申告をしておきたいところです。
(税金計算の内容の修正は、申告期限のあとでも可能。やり直しはききます)
ほかの税理士さんはわかりませんが、わたしの場合、
2月中に資料をお預かりできなかったお客様については、
「3月〇日までに資料をお預かりできない場合、申告期限までに間に合わない可能性があります」と、
事前に伝えるようにしています。
昨日、資料をお持ちになられた方は、
計算内容がシンプルだったため、申告期限に間に合いましたが、
会計帳簿から作らなければならない方だったとしたら、完全にアウトでした。
内容が不十分なまま申告しなければならない可能性がある
前述のとおり、
「期限内に申告すること」と「計算内容の精度」を比較した場合に、
重要なのは、「期限内に申告すること」だと、わたしは考えています。
繰り返しますが、
「期限に遅れる」は、後々挽回する機会はまったくないのに対し、
「計算内容の間違い」は、後日、修正申告などで対応可能だからです。
その点、申告期限ギリギリの方は、
ご準備いただく資料はほぼ確実に不足しているのですが、
期限内申告をするためには、不足する資料を探してもらったり、
資料を再発行してもらう時間的猶予がありません。
ですので、不足する資料はないままの状態で、
税金計算をしていくことになります。
もうお分かりだと思いますが、その状態は、
納税者さんにとってはいいことではありませんね。
ちゃんとした資料がそろっていれば、所得控除や税額控除も受けられるのに・・・、
無駄な税金を払うこともないのに・・・、
べつに難しいことじゃないのに・・・、
と思ってしまいます。
「最小限の人間関係」しか残らない
人によって、経理作業というのは、
「宝箱」になったり、「ゴミ箱」になったりします。
申告期限ギリギリに資料を持ってくる方は、基本的に、
経理資料を「ゴミ」、経理資料の整理を「掃除」、だと認識しています。
領収書や請求書、関係のありそうな郵便物、使い終わった通帳など、
全部まとめてゴミ箱に突っ込んだような状態で、持ってこられます。
そのときの税理士の仕事は、
「ゴミの分別と処分」になります。
ゴミの分別と処分も大切な仕事なので、しっかりやるのですが、
基本的に、ゴミの分別と処分は、
「誰かのためにがんばる仕事」ではありません。
処分代とのバランス、
そして専門家としてのマナーの範囲で、どこまでやるか、
という性質の仕事になります。
残業してでもがんばろう、とか、
アシが出てもがんばろう、というものではないですし、
残念なことですが、
「この人のために汗を流そう」という気分にはなりません。
残るのは、少しの手数料と、
最小限の人間関係(信頼関係ではない。信頼してないので)だけです。
まとめ
経理は共同作業なので、一方にだけ負担をかけ続けると、
良い関係性にはなりません。
税理士に限らず、独立をしたならば
「〇〇さんのためにがんばる」という仕事をしていきたいですね。