私が思う「差別化」について

お疲れ様です。

静岡の税理士、浅原です。

先日、税務署主催の無料税務相談会に、当番税理士として参加してきました。

私以外にも5~6名の当番税理士が、会場に訪れた納税者さんとやりとりしながら、

確定申告のサポートをしていきます。

以前から、ライバルの多い税理士業界において、

いかに差別化をしていくか、ということを考えていますが、

相談会場に来られた他の税理士さんたちを見ていて、

「他人の真似事をせず、自分らしく振舞うこと」が、

一番の差別化になるのかな、と感じました。

静岡市清水区にある「情報プラザ」が会場でした

別人格になるって難しい

相談会場の様子を見ていると、各々の税理士によって、

納税者さんとの接し方は、みな違っています。

納税者さんと、雑談しながら進める人

最初から納税者さんと、タメ口で話す人

納税者さんが、説明しようとしているのを遮って、自分の意見を伝えようとする人

事務的に、必要事項だけ聞き出して、黙々と進める人

自信がないのか、しょっちゅう税務署スタッフに、パソコン操作を教えてもらいに行く人(これ私です)

最初と最後の挨拶を、立ち上がってしっかりする人

税務署OB感丸出しの人(納税者さんとマウントの取り合い)、など

ところで、私はこの当番税理士のときに、

ちょっとした実験をしてみようと思っていました。

通常私は、顧問先である私のお客様としか、税金関係の仕事はしません。

(スポット相談は、顧問契約がなくても対応しています)

そんな中で、

「自分のお客様ではない人と、申告書作成の仕事をする」という特殊な機会は、

年に1回、当番の日だけです。

そこで、思い切って普段の自分ではないキャラクターで、

納税者さんと接してみよう、と思っていました。

考えていたキャラクターは、次のようなものです。

「声が大きい」・・・普段は、声の大きさは中くらいです。

「よく笑う」・・・普段は、本当に愉快なときじゃないと笑わないです。

「表情豊か」・・・普段は、ややボーっとした感じの表情です。

「よくしゃべる」・・・普段は、8割方が聞き役です。

普段の自分ではないキャラクターで接したときに、

お相手の方が、どんなリアクションになるのだろうか、

そして私は、自分自身にどんな印象を抱くのだろうか、

という実験でです。

結論としては、

普段の自分ではないキャラクターになること自体が、無理でした。

一人目、年配の男性納税者さんが席に来られて、

最初こそ、大きな声であいさつをしましたけど、

声は次第に小さくなり、

意識は、手元の資料と、税務署が用意したパソコンの操作方法(普段使っていないので、やり方がわからない)に持っていかれて、

表情は悩ましいまま、

しゃべりは、必要事項を聞き出すための質問のみ、

笑いはゼロ、

という状態で、申告を終えました。

俳優さんて、すごいな。

自分以外のキャラクターになるってすごい難しい、ということに気付き、

実験うんぬんは、私には無理な話だったか、と悟りました。

お昼の休憩中
毎年の見慣れた光景です

私の差別化

「差別化」というワードは、

経済活動が成熟してきてからは、どの業界でも言われていることです。

税理士業界でも、だいぶ以前から言われてきました。

「ブランディング」というのも同じです。

しかし、結局のところ

「私も何か、ほかの税理士さんとは違うことしなければならないんだろうな」と思っても、

気持ちが焦るばかりで、差別化の糸口は掴めずにいました。

先日の、別人格実験も、

「ほかの税理士さんみたいに、あんなことやこんなことができたら、差別化になるかな」

と考えた末の末の思いつき、だったのですが、

しかしそれは、よくよく考えれば、ただのモノマネ。

別の言い方をすれば、「同質化」ということでしょう。

差別化とは、正反対の方向に進んでいることに気付きました。

そのうえで、ブログを通じて頭の中を整理したり、

自分なりに考えてきた結果、

現段階での私は、「差別化」を、

「自分の内部から出てくるものに、徹底的に従うこと」

だと理解しています。

自分の内面の声に、しっかりと耳を傾けていれば、

自分の適性が分かってくるはずです。

どんな仕事だと楽しいと感じるか、

どんな環境だとリラックスできるか、

どんな分野であれば好奇心を持続できるか。

そういった「自分の内面に熱量を感じられる部分」を追求していけば、

おのずと自分のキャラクターの輪郭が明確になっていき、

その時感じた本心を、ストレートに発信していけば、

結果的にそれが差別化になる、ということです。

結局のところ、私は、他人にはなれませんし。

他人にはなれない以上、

私は、私であることに一生懸命になるしかありません。

幸いなことに、

現状、税理士の仕事で食べていくことはできているわけですから、

あとは、差別化というワードに振り回されずに、

自分の中にある熱量を追求していくのみです。

実際、相談会場の納税者さんの方が、税理士よりもよほど個性的でしたし。

差別化よりも大事なものが、他にもいっぱいあるはずですし。

「差別化」というのは、
お客様との接点をつくるきっかけのひとつ、なのでしょうね。
そのきっかけづくりに、皆が苦労している、ということか。

終わりに

先日の無料相談会場に来られた納税者さんは、

今年は人数が少なかったです。

たまたま、私の当番の日が少なかっただけなのか、

新型コロナの影響なのか。

(後者でしょうね)

以前は、昼食をとる時間もそこそこに、

申告作業に当たらなければ捌ききれない人数の方が来ていましたけど。

それでも、人見知りの私としては、

初めて会う納税者さんと、慣れない相談会場での仕事で、やはり疲れました。