最近、焦らなくなってきました

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

私が3年前に買った賃貸マンションで、先々月、初めての退去が出まして、現在、お部屋のリフォームにとりかかっています。

リフォーム業者さんと相談しながら、完成後の室内や募集層のイメージを、できるだけ具体的に固めようとしているところです。

私自身が完成状態をイメージできなければ、口下手な私の説明では、到底、リフォーム業者さんには伝わらないので、この「イメージ」というものを、いつも大事にしています。

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さて、リフォームを進めるにあたって、以前よりも変わったなと感じるのが、自分自身の「焦りのなさ」です。

以前は、退去が発生したら、その日のうちに室内を確認して、リフォーム屋さんに来てもらって、その場でおよその工事金額を教えてもらって、できるところからすぐ発注、というスピード感で進めていました。

急かされているわけでもないのに、すごく焦っていました。

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しかし、最近は、まだ入居の決まっていないお部屋については、焦らずじっくり考えながら、とりかかれるになりました。

そのあたりの変化について、書いてみようと思います。

嫁さんが、ゲームに夢中でご飯を食べない子どもたちに対して、何度注意しても聞かないので、本来なら「ゲームばっかりしてないで、ご飯食べなさい!!」と言うべきところ、あまりの怒りに言葉を間違えちゃったみたいで、「ご飯ばかり食べてないで、ゲームしなさい!!」と怒鳴っていました。
それでも、子どもたちには嫁さんの気合が伝わったようで、ゲームをやめて、おとなしくご飯をたべていました。

とにかく時間がない

かつては、静岡市内で7棟120室の賃貸マンションを運営していました。

入退去の頻度は、平均して、年間で10件強だったと思います。

私は、リフォーム内容も入居募集の条件も、自分で現地を見て決定するタイプなので、毎月かなり忙しくて、時間に余裕のない日々を送っていました。

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リフォームの数をこなしてくると、なんとなくリフォーム箇所のポイントがつかめてきます。

直さなければ入居につながらないところ、直さなくてもギリギリ行けそうなところ、など、一か所ずつ考えながらとりかかっていました。

ですので、私も大変だし、私に付き合わされるリフォーム屋さんはもっと大変だったと思いますが、それでもやればちゃんと結果として入居につながるので、頑張ってやっていました。

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しかし、賃貸経営と並行して税理士事務所もやっているので、とにかく時間がない。

誰かに任せる、という性格でもないので、常に時間がなくて、いつも疲れてヘロヘロでした。

ヘロヘロになりながらも、急いでリフォームを進めていたのは、賃貸経営における借入金の返済比率を、とにかく重視していたからです。

「返済」に思考を支配される

私は、慎重な性格なので、基本的にバクチはしません。(高校生のころ、地元のパチ屋で相当やられて凝りました)

バクチレベルではなく、きっちり利益を出せると見込めるビジネスにしか、今までもこれからも取り組まないつもりでいます。

賃貸経営についていえば、賃料収入に対して、経費負担や借入金返済額のバランスを、安全と思われる比率で維持していけば、ダメになることはないはずです。

そのため私は、常に返済比率にこだわってやってきました。

ちなみに、私の考える借入金の安全な返済比率は、利息も含めた返済額を、満室収入の45%以下に抑えおくことです。

(本当は、もっと抑えておいきたいところですが、この返済比率をより厳しくしてしまうと、買える物件がほとんどなくなります。「買える物件、かつ安全に運営できる物件」のギリギリの綱引きの結果が、私の中ではこの比率となりました)

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「満室状態」と引き換えにしたもの

賃貸経営の場合、所有物件の全室に入居者が入っていれば、それが収入の最大値になります。

ですので、賃貸経営においては目指すべきは、「常時満室状態」です。

とはいえ、実際には退去が発生しますので、完全なる満室状態の維持というのは不可能な話です。

そこで、少しでも常時満室に近づけるために、退去後は、すぐにリフォームして入居してもらうことが重要になってきます。

そのため、空室が発生すると、1日でも早くリフォームを完成させるため、数日間休みなしで動き続け、考え続けることになります。

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そんなことを、平成23年ごろから5年間ほど、やってきました。

お掛け様で、その間、ほぼ満室状態を維持できたので、ビジネスとしては成功だったと思います。

しかし、ある時、返済比率を維持するために、重要なものを犠牲にしていることに気づきました。

「家族とともに過ごす時間」と、「自分の健康」です。

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実際、私は私生活でお金を使うことがあまりないので、通帳のお金は貯まっていくものの、仕事から帰ってくれば、すでに家族は寝ているし、朝起きて仕事にいくときは、誰かをおんぶしてんのかなと思うくらい体が重かったです。

「俺、こんな風になりたかったわけじゃないよな」と我に返ることが、たまにありました。

それからほどなくして、本格的に体調を崩すことになり、現状と向き合わざるを得なくなりました。

本当は何がやりたかったんだっけ?

冷静に考えてみると、そもそも、会社の決めたルールに支配されて一生を過ごすのが嫌で、自分の人生を取り戻そう、と思って独立したのに、現状は、銀行への返済に思考を支配されて、せっせとお金を集めてくることを最優先にした人生になってしまっている。

私が本当に優先したかったのは、家族と過ごす時間であって、その家族が危機にさらされたときには、危機回避に役立てるように、日頃から健康で丈夫でありたい、というかつての気持ちに、思い至りました。

そのことを思い出してからは、「収入」よりも、「時間」と「健康」を優先する、という方針に切り替えました。

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所有していた物件のうち、約半数を売却し、その際の売却益により銀行の借入残高を圧縮することができたので、家賃収入は、最大値の半額以下に減りましたが、銀行への返済比率は、気にしなくてもいいくらいの安全圏まで下げることができました。

ここ数年は、満室経営という点に、こだわりはあるものの、焦りはなくなり、落ち着いてリフォームに取り掛かることができるようになりました。

おかげ様で、家族が起きている間に家に帰れるようになりましたし、体力づくりのために、空手を習いに行く時間もできました。

まとめ

何かに支配されているとき、というのは、自分自身ではそのことに気づきにくいのかもしれません。

自分が感じる小さな違和感や直観、というものは、表層意識では気づかない重要なことを、教えてくれているように思います。

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加えて、金融機関は、決して私を支配しようとしているわけではなく、むしろ私を支援してくれていました。

金融機関ではなく、融資自体に、その構造上「資金繰り支援」と「経営支配」の二面性があるのだ、ということを、このときの経験を通じて学びました。

うまくまとめられませんが、とにかく、経営者として今後もやっていくうえで、とても貴重な経験をさせてもらったと思っています。

以上、ご参考まで。