お疲れ様です。
静岡の税理士、浅原です。
会計データを自分で作成していると、
会計処理に迷うことがあります。
この入金は収益に計上すべきものなのか、
この出金は経費に計上していいのだろうか、と。
日々行っているメインのビジネスに関するものであるならば、
ほとんど迷うことはないのですが、
不動産取引や金融取引のような、
たまに発生する突発的な取引の場合、
往々にして、「このお金、どう処理すんの?」というものに出くわします。
そういうときに、私がどのように判断しているか、書いてみます。
事実関係を把握する
まず、最初にやるべきことは、
「どのような経済活動を行って、それに伴いどのようなお金の入出金が発生したのか」、
という事実関係を、明確にすることです。
税理士の仕事の半分は(私の感覚では70%くらいは)、
この「取引事実の内容確認」です。
何をして、入ってきたお金なのか。
何をしたから、出ていったお金である。
そのあたりの事実関係を把握できれば、
そのあとの会計処理は、けっこうスムーズに進むことが多いです。
逆に言うと、
お金の出入りの根底にある事実行為がはっきりしないと、会計処理もできない、
ということです。
「受け取ったお金」でも、
「商品を売って、もらったお金」なのか、
「物品を貸して、もらったお金」なのか、
「借用書を書いて、受け取ったお金」なのか、
「一時的に預かっただけで、将来お返しするお金」なのか、
事実行為によって、会計処理も様々なパターンに分かれます。
この、事実関係を正確に把握にする、というのは、
会計処理の基本であり、間違えてはならないファーストステップになります。
入金関係の処理
入ってきたお金の会計処理について、
事実関係を把握できたものの、それでもまだ会計処理には迷いがある、
という場合です。
入金の処理は、次の2つしかありません。
「収益として計上する」か、「収益には計上しない」か。
「収益として計上するもの」は、
税金計算の中にカウントされていきます。
これに対して「収益に計上しないもの」は、
資産の減少となったり、負債の増加となったりしますが、
いずれにしても、収益に計上されないものは、
税金計算からは除外されます。
ですので、
「収益として計上するか否か」の判断が、
会計処理をする上では、とても重要です。
そして、その判断の基準になるものは、
「返さなければならないものかどうか」という点です。
「将来、返す必要がないもの」は、
ほぼすべて、収益計上します。
メインビジネスに直接関係するものであれば、「売上」に。
直接関係のない副次的なものであるならば、「雑収入」です。
「将来、返す必要のないもの」とは、
すなわち、「もらいっぱなしで良いもの」ということになりますので、
それは、売上や雑収入に計上して、税金計算上は、収益として認識します。
これに対し、
「将来、返さなければならないもの」は、返還義務がありますから、
負債の増加として処理し、税金計算からは除外します。
同様に、「将来、返す必要がない」としても、
そもそも、「貸していたものや預けていたものが、返ってきただけ」という場合には、
もらいっぱなしの収益、というわけではないので、
資産の減少として、処理します。
出金関係の処理
出ていったお金の処理も、
入金関係の考え方と同じになります。
すわなち、
「将来、返ってくるものか否か」という基準です。
「もう、返ってくることがないお金」の場合は、
経費に計上します。
「返ってくることがない」、イコール「払いっぱなし」ということですから、
これを経費として計上することで、
税金計算上は、収益からマイナスされるようにします。
これに対し、「将来、返ってくるもの」は、償還請求の権利がありますので、
資産の増加として処理します。
または、「返ってくることがない」お金だったとしても、
「借りていたものや預かっていたものを、返しただけ」という時は、
負債の減少として処理し、税金計算からは除外するようにします。
消費税の処理
消費税に関しては、入金も出金も、次の4パターンしかありません。
「課税対象外」、「非課税」、「8%課税」、「10%課税」です。
課税対象外
「取引関係に基づかずに、一方的に払ったり、受け取ったりしたお金」は、
消費税計算の対象外になります。
要するに、消費税計算の上では無視する、ということです。
例えば、補助金や給付金とか、奨励金、保険金、寄付や贈与などです。
消費税は、取引に対して課税される税金なので、
取引とは関係なく発生するお金には、課税されません。
また、消費税は、国内の取引に対してかかってくる税金なので、
海外で発生した取引に関しては、同様に、課税されません。
(ただ、輸出入については、また違う取り扱いになるので、ご注意ください)
非課税
消費税の非課税項目は、法律で定められています。
代表的なものは、「土地の売買・賃貸」、「住宅の賃貸」、
「借入金」、「借入利息」、「保険料」、「行政機関の手数料」、
「商品券の売買」などです。
8%課税
「食品の売買」、「定期購読の新聞代金」については、
売る方、買う方ともに、8%の消費税がかかってきます。
もっとも、食品の売買のうち、
「飲食店などで提供される食事(外食)」と、
「酒類の販売」については、
10%課税とされています。
10%課税
上記、課税対象外、非課税、8%課税、以外のものが、
10%課税に該当します。
最後は、税務署に聞きに行く
税理士を付けずに、自分で会計データを作成していると、
最終的に、どうしても会計データの内容に自信が持てない、
ということが起きます。
それは、致し方のないことです。
実際、私も税理士として、
お客様の会計データをチェックしているのですが、
関与を始めて最初の1年は、
お客様のビジネスを完全に把握できずに、
チェックに漏れが生じてしまうことがあります。
そういう時でも、
そのチェック漏れの影響を最小限にとどめるために、
私は、金額の大きい入出金、
もしくは金額が小さくとも積み重なると多額になるもので、会計処理に不安を感じたら、
税務署に確認するようにしています。
一人で考えていたって時間ばかりが過ぎていきますし、
ネットで調べた情報も、
必ずしも自分のビジネスに当てはまるかどうかは、定かではありません。
本当にわからなかったら、税務署に聞きに行きましょう。
半端な状態で申告して、あとでモヤモヤするよりは、
ひと手間かけてすっきりさせた方が、ビジネスに集中できます。