お疲れ様です。
税理士の浅原です。
以前、ブログで「割れてしまった歯の治療」について書きました。
私は、このことで、最終的に5人の歯科医にお話を伺いましたが、
それぞれ違った治療方法を提案されました。
歯科治療について専門知識のない私にとっては、とても混乱をきたし、
ストレスを抱える状況になりました。
しかも、歯科治療は、やってしまったら、元には戻せない不可逆的な処置になります。
特に、「治療方法の選択」についての失敗は、ただただ自分を責めるだけ、
になってしまいます。
しかし、選択の失敗のリスクを、下げる方法があります。
セカンドオピニオンです。

嫁ちゃんと子どもたちに急襲される。
父親の稼ぎを、電卓で計算する娘。
言うことが、みなバラバラ
私がこの度、話を伺った歯科医さんについて、
特徴的だった治療方法の提案を、3パターン上げてみます。
- 近所のかかりつけの歯科医
「割れた歯は、抜くしかないね。
抜いた後のトラブルが怖いから、年末が近づいてから抜くよりは、早めに抜いてしまった方がいいね。
よし、来週抜こう。
抜いた歯の治療方法は、部分入れ歯、ブリッジ、インプラントの3種類から選んでね。(以上)」
- 近所のインプラントが得意な歯科医
「この状態なら、すぐインプラントはできるよ。
大丈夫大丈夫、いままで何百本もやってきているから。
歯を抜いてからすぐインプラントを入れた方が、患者さんの負担が少ないけど、
矯正治療との兼ね合いがあるから、一度、矯正歯科さんと相談してもらった方がいいね」
- 100キロ離れたインプラントが得意な歯科医
「割れた歯が虫歯になっていて、周囲の歯槽骨が溶け始めている。
この状態のままインプラントに移行するのは、ちょっとまずいね。
矯正治療との兼ね合いがあるから、
抜いてからインプラントを打つまでの期間中に、歯槽骨が減って、
インプラントが打てなくなる可能性が高い。
でも歯槽提保存という治療をしておけば、歯槽骨の減り具合を押さえることができるから、
やっておいた方がいいかも。
でもそれをしなくても、インプラントをやるときに、骨を増やすこともできる」
私が歯科医さんに聞きたかったのは、要約すれば、次の2点の質問です。
- 抜いた歯の治療方法が決まっていないのに、抜歯だけ先行しても大丈夫なのか
- インプラントをするには、素人ながら、スクリューを埋入する土台となる歯槽骨がしっかりしていないとまずいと思うけど、その点は本当に大丈夫なのか
ただ、この2点の質問は、私が歯科医さんを回っていろいろと情報収集を進めてきて、
やっと明確になってきた論点です。
歯が割れた、ということが発覚した時点では、そのショックでほとんど思考停止状態になっていたので、
ちゃんとした質問もできなかったと思います。
そもそも、質問をするための前提となる知識すらない私には、
当初から論点を突いた質問など、無理です。
つまり、現実的には、患者は医師に対して、漠然とした不安感を訴えることしかできず、
症状と患者とのヒアリングから推測して、患者が知りたいであろう情報を提供していけるのは、
医師にしかできない、ということです。
そして、医師も人間ですし、一人ひとり個性や経験値も違いますから、
医師によって、治療方法の提案内容も変わってくる、ということです。
選択ミスを防ぐためのセカンドオピニオン
今回のことで、私はセカンドオピニオンの重要性を知りました。
もし、かかりつけの歯科医さんの話しか聞かなかったら、
いま私はすでに抜歯が終わっているはずです。
「よし、ちょっとお金がかかるけど、インプラントにしておけば、
ほかの歯を痛めることなく治療できるぞ」と思いながら、
1年くらいかけて、治療代を稼ぐためにせっせと働くでしょう。
そして、1年後にインプラントの施術をお願いしたら、
「スクリューの土台となる骨が足りません。インプラントは無理です。」と言われて、
泣いていたでしょう。
誰しも選択ミスは避けたいものです。
特に、「さかのぼってやり直すことができない事柄」については、
慎重を期して判断しなければなりません。
私が携わる仕事に置き換えるなら、次のようになります。
- 年度途中の会計処理
・・・決算が確定するまでは、いつでもやり直せる
- 決算確定後の会計処理
・・・あまりやり直すことはないが、必要であれば決算内容のやり直し、もしくは税務申告書での修正が可能
- 融資交渉
・・・金融機関の支店内部で揉んでいるうちは、やり直せる。本部に上がった後は、強い希望があればやり直せるが、支店側は嫌がる。
- リスケ交渉
・・・本部に上げる前までは、やり直すこと自体は可能だが、リスケの相談を受けた支店内での「あそこの会社は近々ヤバそうだ」という印象は、拭うことはできない。
この例でいうならば、
リスケ交渉に入るかどうか悩んでいて、顧問税理士に相談したときに、
明確な後押しや賛同が得られなかった場合には、
セカンドオピニオンとして、他の税理士に相談してみるのがいいと思います。
通常、リスケ交渉は、税理士の業務の守備範囲外のことになります。
税理士試験でも、「銀行交渉」という科目はありません。
かかりつけの歯科医さんが、インプラントに詳しいという保証はないのと同じです。
たまたま私は、会社員時代から、銀行交渉に携わる機会があり、
税理士になってからも、関与先のリスケ交渉をサポートさせていただいています。
私以外にも、数は少ないと思いますが、
リスケ交渉の経験のある税理士さんはいるはずなので、そ
ういう税理士さんに相談してみるといいと思います。
まとめ
セカンドオピニオンについて、最近感じたことを書いてみました。
ちなみに、「さかのぼってやり直しができる事」であれば、
わざわざセカンドオピニオンに聞きに行く必要はないと思いますが、
そのなかでも、「金額が大きくて、処理に確証を得ておきたい」という場合なら、
セカンドオピニオンも有効だと思います。