お疲れ様です。
静岡の税理士、浅原です。
税理士として活動するようになってから、
毎月続けている習慣があります。
月初のキャッシュ残高(現金預金)の観測です。
毎月、1日もしくは2日には、
法人個人それぞれのキャッシュ残高を確認して、記録しています。
振り返ると、
記録をつけ始めたのは平成26年の10月からなので、
7年と5か月の間、記録を続けていることになります。
この定点観測を始めたことで、
見えてきたものがあります。
「生き残り期間」が見えてくる
いま手元にいくらのお金があるのか、
という点から逆算して、
仮に交通事故や病気などで、
一定期間収入が得られなくなったとしても、
どれだけの期間なら無収入で耐えられるかが分かります。
これは、精神面の安定、
ひいては冷静な経営判断、に直結する情報なので、
私には、とても重要です。
無収入でも生き残れる期間が長ければ長いほど、
自分の理想を追求できますし、
すぐには売上につながらないようなチャレンジにも、
着手できます。
逆に、生き残れる期間が短ければ、
生き残りに直結する施策を打っていかなくてはなりません。
経営判断を誤らないためには、
キャッシュ残高の把握は、必須です。
「お金と労力とのバランス」が見えてくる
毎月月初にキャッシュ残高を確認し、
軽くでいいので、前の月の仕事ぶりを振り返ることを習慣にしていると、
自分自身の働き方の良し悪しが見えてきます。
特に、仕事に使った時間とお金のバランスを、
リアルに感じ取れます。
「こんなに忙しかったのに、利益がこれだけか」とか、
「ストレスを感じることは少なかったけど、ちゃんと利益は出ているな」とか。
この肌感覚は、
現状の働き方を見直すきっかけとして、
私はとても重要視しています。
「意識」や「認識」というものは、
そのときの状況や条件、コミュニケーションの相手、
自分のコンディションなどの要因によって、
けっこうごまかされてしまいますが、
私の経験では、肌感覚だけはごまかせません。
コンディションが良い時でも、
嫌なものは嫌だと感じますし。
私の場合は、キャッシュ残高の推移を見ながら、
その当時の仕事ぶりを振り返って、
「すべて現状維持」
「業務量は維持して、業務単価を上げる」
「業務単価を維持して、業務を減らす」の3つの方向性について、
考えるようにしています。
(極端に業務内容の変化がない限りは、現状維持という判断になりますが、長い期間の間に、当初取り決めた業務単価と、現状の業務量が乖離してしまうことがあるので、そういうときは、お客様に相談するようにしています)
定点観測に手間は掛けない
私は、毎月の定点観測のデータとして拾いあげていくのは、
預金残高と、動かさないタンス預金だけ、にしています。
毎月のルーチンには、時間をかけたくありません。
業種によっては、
小切手、手形、決済用信託などが発生しますが、
これらは預金残高と同一視した方がいいでしょう。
いつでも現金化できますから。
仮に、上場株の運用や投資信託、リートなどを持っていたとしても、
すぐに現金化できないもの、もしくは現金化する気のないものは、
無視して差し支えないでしょう。
「事業活動の成果」が即時に反映されるのは、
キャッシュ残高です。
事業の成果の「運用」とは、切り離して考えましょう。
迷子にならないために
事業経営をしていると、
「迷子」になることがあります。
隠さずいうと、
私もたびたび迷子になります。
(40半ばにもなって情けないことです)
会社員をしていた時には、社長や上司がいますから、
彼らが行くべき方向を示してくれますから、
迷子になる可能性はだいぶ少なくなります。
集団の中にいたら、
迷子になっていること自体に気が付かないこともあります。
迷子になるパターンは、次の2つです。
「目的地」はわかるけど、「現在地」がわからない
「現在地」はわかるけど、「目的地」がわからない
「目的地」というのは、
ビジネスをしていると、
不動ではなく流動的、であることに気付きます。
自身の置かれている状況と、
それを取り巻く環境の変化によって、
少しずつ目的地が変わったり、
大きく変わったり、
自ら意図して変えることもあります。
場合によっては、
複数の目的地が現れることもあります。
それに対して、
「現在地」は変わりません。
いや、時の経過ともに移動はするのですが、
「自分が現在居る場所」は、常に一か所です。
キャッシュ残高の定点観測は、
「自分の現在地」と、
参考情報として、
「出発地から現在地までの道のりと、それにかかった時間」
を示してくれます。
この定点観測をしておくことで、
迷子になるリスクを下げることができますので、
迷子になるのが怖い、という方にはおすすめです。