数字の正確さにこだわる書類、こだわらない書類

お疲れ様です。

静岡の税理士、浅原です。

税理士の仕事の中には「書類作成業務」があります。

主には税務署、県、市などの行政機関に提出する書類になりますが、

お客様にのみ提出する書類もあります。

さらには、どこにも提出することなく、

自分が見るだけの資料もあります。

どこに提出するかによって、正確さを求める部分や、

強弱のメリハリ、スピード感なども変わってきます。

書類ごとに求められる精度を、私の実感とともに書いてみます。

税務署に提出する税金計算に直結する書類

これには、つぎのような書類があります。

  • 法人税申告書、所得税申告書、相続税申告書などの国税系の税務申告書類
  • 決算報告書

(提出はしないものの、これらの数字のベースとなる総勘定元帳)

これらの書類には、数字の正確さも期限の厳密さも、要求されます。

数字の性格さ、というのは、

法律に則って、事実関係を正確に反映しているかどうか、ということです。

「金額の正確さ」といった方が、分かりやすいでしょうか。

もし、正確ではない金額で申告してしまうと、のちの税務調査で会計処理が覆されて、

正確な金額に直されたうえで、ペナルティが課せられます。

金額の正確さに一番気を遣うのは、これらの書類です。

県や市などの地方の行政機関に提出する書類

これは、次のような書類です。

  • 法人県民税申告書、法人市民税申告書、事業税申告書、償却資産税申告書など

どういうわけか、県や市役所は、

税務署に比べて、事務手続きにやさしさがあります。

ありがたいことです。

内容に間違いがあって、間違ったところを二重線で消して、訂正印を押さずに提出しても、

ちゃんと受け付けてくれたり。

提出期限や納付税額を、おまけしてくれるところまではいきませんが。

これらの事務窓口の職員さんと話をしていても、

「あんまり事務手続きを厳密にしても、しょうがないっしょ」みたいな雰囲気を感じるので、

私は好きです。

でも、

「直す手続き」は緩くても、「直すこと」自体はさすがに譲ってはくれないので、

金額の正確さは、求められます。

申告書以外の届出書関係

次のようなものになります。

  • 開業届、法人異動届など、法人組織の構成に変更があった場合に提出する届出書
  • 青色申告承認申請、青色事業専従者給与の届け出など、青色申告関係
  • 消費税課税事業者選択届出書、簡易課税選択届出書などの消費税関係
  • 給与支払事務所開設届、源泉所得税の納期の特例に関する申請書などの源泉所得税関係
  • 法定調書合計表、ほか調書関係

ものによって、税務署に出したり、

県、市に出したりします。

これらは、その種類によって、重要度に雲泥の差があります。

青色申告関係、消費税関係は、ある意味、申告書よりも重要です。

これらの届出書の有る無しで、税金計算のやり方自体が変わってきてしまうので、

私は申告書作成以上に、気を遣っています。

特に、提出期限が重要です。

これに対して、開業届、異動届は、さほど気を遣っていません。

(気を遣わないからといって、出さないわけにはいきません。もちろん、ちゃん作って出しています)

また、法定調書などの調書関係も、同様です。

調書などは、税務調査の材料集めに過ぎません。

本来、税務署が自身の労力により行うべきところ、

都合よく納税者側に事務負担を負わせているに過ぎないので、

納税者側からすると、自分の死活には関係ないですから、

なかなか身が入らないでしょう。

(とはいえ、出さなければ、「出して」と税務署から連絡がきてしまうので、ちゃんと出すべきではあります)

お客様に提出する書類

次のような書類です。

  • 月次試算表、損益推移表、資金繰り表などの報告書類

これらの報告書類に関しては、

金額の正確さにはさほどこだわりがありません。

もちろん、いい加減な金額では話になりませんが、

こだわらないというのは、

すなわち「後になって、変わるかも」、

もしくは「後になって変わる可能性を含んだ数字」という意味です。

お客様が知りたいのは、1円単位の正確な金額ではなく、

また厳密に法令に則っているかどうか、でもありません。

「自分のビジネスは利益を出せているかどうか」、

「出ているにしても出ていないにしても、その原因はどこにあるのか」、

という点です。

とすると、

「金額の正確さ」よりは、

「傾向の正確さ」、

「勘定科目のメリハリの正確さ」が求められてきます。

いくら、金額の正確さを追求しても、

勘定科目を細かく分けすぎた結果、傾向を読み取りづらい試算表では、

意味がありません。

同様に、

金額の正確さ追求した結果、資金繰り表の作成に時間がかかり、

半年前の資金繰り表を出されたとしても、

お客様での経営資料としても利用価値は、低くなってしまうでしょう。

そういった点を踏まえて、私は、

試算表や推移表、資金繰り表といった、ビジネスの傾向を表現する書類については、

金額の正確さよりも、傾向が現れているかどうか、という点を重視して作成しています。

余談ですが、

お客様の視点に立った場合には、

税務申告書類についても、

さほど金額の正確さは要求されていないような気がしています。

「間違ってんなら、直せばいいじゃん」という感じで。

税理士側としては、間違いに気付いた時点で、

「まことにもうしわけございませんー。修正申告させてくださいー」と、お詫びに行くのですが、

「あーーはいはい。りょうかい。あとは浅原さんに任せるよ」という感じで、

あっさりオッケーしてもらうことが多いです。

追加納付する税額にもよるでしょうけど。

幸い、私の場合には、

極端な追加納付の修正は、今までなかったので。

お客様にとっては、

「ビジネスの継続に支障がなければ、ほとんどのことは些細なこと」

ということでしょう。

それでいいと思います。

昨日の仕事

  • 賃貸経営サポートを、税理士業務に組み込むことを検討

同じく、紫微斗数鑑定も、できたら組み込んでみたい。

しかし、どちらも料金設定と、サービス対象者の設定で悩む。

  • お客様が、取れた伊勢エビを届けてくれた

自分で伊勢エビを調理するのは初めて。

身がしまっていて、とてもおいしかったです。

家族そろって、お客様に感謝。