「あえて白黒つけない」という選択

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

先日、お客様のところに伺って会計報告をしているときに、お客様のご家族の話題になりました。

現在の代表者が高齢になり、世代交代の時期を迎えているのですが、その下の子や孫の世代の人間関係が複雑で、

各々の主張にまとまりがなく、人間関係の調整に難儀している、ということでした。

その時に感じたことを書いてみます。

むかし、一度だけ乗ったことがあります。
眺めは良かったのですが、狭くて、不安定で、
1回乗れば十分だと思いました。

おじいさん世代に頼り続けるのは、もう限界

ご家族で経営している小規模な工場です。

工場経営を立ち上げたおじいさんは、今年で85歳、おばあさんはもうすぐ80歳に手が届く年齢です。

普通なら、もう引退しているご年齢ですが、事業の責任者はおじいさんのまま、

おばあさんは保険事務と経理事務をしています。

息子さんは、長らく外部の会社で従業員をしていましたが、家業を継ぐということで、

数年前に戻ってきて、現在は工場の実質的なリーダーとして現場を回しています。

従業員をしていたときのお客様が、息子さんを慕って、現在の工場の顧客として、

ついてきてくれているようです。

ただ、息子さんは、現場仕事は好きなのですが、事務仕事や経営の方はあまり興味がないらしく、

おばあさんやお孫さんに任せっきりの状態になってきます。

お孫さんは、現場仕事はできないものの、若くて、元々能力の高い方なので、

事務関係の仕事を手伝うことで、工場を支えています。

しかし、残念なことに、息子さんとお孫さんの関係が悪く、私が見ている限りでも、

年に1~2回大きな衝突があって、ご家族全員がストレスを抱えています。

先日も、大きな衝突があり、今後のことも含めて浅原に話をしておきたい、ということでした。

「家族一丸」の難しさ

それぞれの人が主張することには、それももっともだな、と思う点があります。

小さかったころに受けた扱いによる心の傷は、大きくなっても、簡単に処理できないものでしょうし、

加えて、家族と言ってもみな性格が違いますので、問題への反応も、皆それぞれです。

「あいつがいるなら、俺が出ていく」とか、「俺には関係ないから、そっちで決めてくれ」というトゲトゲしさは、

単なる好き嫌いではなく、そういう態度をとらなければ、自分の心のバランスを保てない、

という問題の根深さを伺わせます。

・・・・・・

「家族一丸になって」というのは、本当に難しいです。

何が正解か、ということは私にはわかりません。

ただ、時間は流れていきますし、皆さん、若いままではいられないです。

現状維持が無理ならば、その時々の状況に応じて、結論を出して、前に進めていかなくてはなりません。

できることならば。

あえて白黒をつけない

あっちを立てればこっちが立たない、こっちを立てればあっちが立たない、という場面に出くわしたとき、

どうすればいいか。

状況次第でいろいろあると思いますが、その選択肢の一つとして、

「あえて白黒をつけない」というのも、ありだと思います。

白黒をはっきりさせることによって、今ある共同体がぶっ壊れてしまう、というときもあると思います。

ビジネスという共同体を守るために、あいまいにしてきた点をはっきりさせたいのですが、

はっきりさせることによって、経営者家族がバラバラになってしまうならば、

あえて、今ははっきりさせずに、あいまいな状態を継続するという選択です。

しかし、いずれ時の経過とともに、前提条件が欠けて、ビジネスが止まってしまうときが来るでしょう。

その時に、危機に瀕して家族全員が一丸となってくれることを「期待する」、という側面もあります。

とてもリスキーですが、やむなしです。

まとめ

突き詰めれば、仕事は家族を守るためにするものです。

その仕事のために、家族がバラバラになってしまうのならば、極端なことを言えば、

仕事しないで生活保護を受けていた方が、まだマシかもしれません。

どんなときでも、家族がバラバラになるという結論だけは、避けたいものです。