【雑損控除】家族の所有資産が被災した場合にも、自分の確定申告で雑損控除が使える

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

先日、台風被害を受けた方に雑損控除の説明をしていると、

説明を聞いていた司法書士さんから、

「雑損控除は『自己所有の資産が被害を受けた場合』にだけ、

適用される制度だと思っていたよ」、

と言われました。

基本的には、

「自己所有の資産が被害を受けた場合」

を想定した制度であることは間違いないのですが、

条件が合致すれば、自分の親族が所有する資産が被害を受けた場合にも、

自分の確定申告で雑損控除を適用することができます。

「家族の所有資産」が被災した場合の適用条件

これは、雑損控除の適用条件のなかでは、

「対象となる資産の範囲」の問題です。

この点について、雑損控除の条文では、

「納税者本人、および納税者本人と生計を一にする

配偶者その他の親族(年間所得が48万円以下の者に限る)の保有する資産」

と表記されています。

文章にすると、とたんにわかりづらくなりますね。

「生計を一にする」というのは、

「同じ財布(同じ稼ぎ)でやりくりしている人達」

というイメージです。(以下、「同一生計」)

たとえば、確定申告の「医療費控除」も同じです。

納税者本人の治療費は当然として、

納税者本人と同一生計の配偶者や親族のために支払った医療費も、

医療費控除の対象となる、

という理屈と同じですね。

具体的なパターン

生活用の資産が被災した場合で、

その資産を、納税者本人の親族が所有していた場合に、

納税者本人の確定申告で雑損控除を受けられる場合として、

よくあるパターンをご紹介します。

子どもが大きくなったあとも、実家で両親とともに過ごしている場合

子どもが成人して経済的に自立したあとも、

独身のまま実家で暮らしている場合ですね。

(一度結婚して家を出たあと、離婚して実家に戻ってきた

という出戻りパターンも含まれます)

図で示すと、次のようになります。

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このような、子どもの稼ぎで両親を養っている場合には、

子どもと両親は同一生計になりますので、

両親(住居の所有者)の所得が48万円以下ならば、

子どもの確定申告で、雑損控除の適用を受けることができます。

配偶者の実家にて、配偶者の両親とともに住んでいる場合

妻の実家で、妻のご両親と同居しているような場合ですね。

(旦那の実家で、というパターンも同じくです)

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このような場合、

夫の稼ぎで、義理の両親と妻子皆を養っているというときには、

両親も同一生計になりますので、

両親(住居の所有者)の所得が48万円以下ならば、

その住居の所有者が夫でなくても、

夫の確定申告で、雑損控除の適用を受けることができます。

まとめ

雑損控除は、その計算の複雑さからして、

他の所得控除計算とは一線を画する制度のように思われがちですが、

制度の位置づけとしては、医療費控除と同じです。

(納税者さんが負っているダメージは、医療費控除の比ではありませんが)

そういう点で、

同一生計の中での損害は、

一家の大黒柱的な人の申告の中に取り込んでもいいよ、

というやさしい面もあります。

もし、上記のようなパターンで被災してしまった方は、

より家族全員にとって有利になるような形で申告計算に利用していただき、

浮いたお金を少しでも生活再建にお役立ていただければと思います。

ではでは、そんな感じでご参考まで。