15分でできる!お手軽雑損控除計算セット

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

先日、雑損控除に関するオンライン研修を行ったのですが、

説明しながらも、

「この複雑な制度を、本当に災害に被災した方たちが、

資料を用意して計算して、書類を整えて、申告まで辿り着けるのだろうか」

という漠然とした思いが、私の中に残りました。

そこで、事務が苦手な人でも、雑損控除に手を出せるように(出す気になるように)、

表題の計算セットを作ってみました。

【15分でできるお手軽雑損控除計算セット】

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【雑損控除 計算用紙㋐】

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【雑損控除 計算用紙㋑】

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【雑損控除 計算用紙㋒】

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【雑損控除 計算用紙 書き方の見本】

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最小限の労力で雑損控除を計算する

はっきり言って雑損控除は、難しいです。

事務作業が得意な人なら、税理士が丁寧に説明をしてあげれば自力でできると思いますが、

すべて自力で情報収集しながら、申告書完成までもっていくのは、

相当労力がかかるはずです。

いわんや、事務作業が苦手な人なら、

調べる気にすらならないでしょう。

とはいえ、ちゃんと計算して申告しておけば、

「この先3年くらいは、税金の心配をしなくていいかもしれない」という、

生活再建に役立つ制度でもあります。

そこで、「最小限の労力」により、それなりの節税効果を得られるよう、

簡単に計算できる項目のみ残すことにして、あとは全部削りました。

その結果、事務作業に慣れている人ならば、15分くらいで、

雑損控除の計算書類までは作れるような説明書になりました。

事務作業に慣れていない人でも、30分あれば、

計算書類を作れるはずです。

30分の作業で、この先しばらく税金の心配をしなくて済むかもしれない、とするなら、

「コスパ良し」と言えるかな、と。

「住居」と「家財」の「損失額」のみ集計、ほかは無視

雑損控除の制度では、実額(取得価格)による計算が原則なのですが、

例外的に、「住居」と「家財」に関してのみ、推定価額による計算が認められています。

この計算セットでは、この推定価額による計算を、フル活用することにしました。

さらに、車両の損害と災害関連支出を、項目ごとまるまる削りました。

こうすることで、次のような手間を省くことにしました。

  • 住居や車両を購入した時の契約書を引っ張り出す手間
  • リフォーム代や修理代、撤去処分代などの金額を集計する手間
  • 災害関連支出のめんどくさい計算の手間

これらの手間を省くことで、

雑損控除の計算に、手を出しやすくなったと思います。

雑損控除に必要な資料

住居と家財の損失額を計算するにあたり、必要な資料は次の3つです。

① 罹災証明書

  • 被災状況の判定結果をチェック・・・被害割合表に当てはめ
  • 浸水被害」が明記されているかチェック・・・浸水の被害割合を加算する

② 固定資産税通知書

  • 住居の「構造」「床面積」をチェック・・・住居の推定価額の計算に使用する
  • 住居の「築年月」をチェック・・・住居の減価償却計算に使用する

③ 火災保険金の通知書

  • 受け取った保険金額をチェック(無保険だった場合は不要)

上記3つの資料をご準備いただけたら、

あとは、この計算セットの説明と、雑損控除の計算用紙に書かれているコメント(指示書き)に従って、

マスに数字を入れていくだけです。

はじめて計算する人(内容からして、そういう人がほとんどだと思いますが)は、

とっつきにくさを感じると思いますが、

実際にやってみれば、さほど難しい作業ではありません。

ちゃんと計算して申告しておけば、その後のメリットも大きいので、

ぜひやってみてください。

この計算セットを使うのが、適切ではない場合

この計算セットは、

前述した「最小限の労力」で雑損控除の計算をするためのものです。

そのために、計算項目を絞り込んでいますので、

次にあげるような事例では、この計算セットの効果が少なくなります。

  • 被災した資産が、「車両のみ」の場合
  • 被災後に支出したリフォーム費用や修理代などが、かなり高額になる場合

このような事例では、

この計算セットでの計算に加えて、

車両の被害や災害関連支出の計算をしっかり行った方がよい、

と言えます。

そのような場合に、

「自分ひとりではムリー」となったら、

迷わず税務署に相談に行きましょう。

職員さんに聞けば、ちゃんと計算方法を教えてくれますから。