【雑損控除・その5】雑損控除の「意外だな」と感じた取り扱いについて

雑損控除の研修資料

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

令和4年9月23日の台風15号被害について、

被災者支援を行っている弁護士さんからご依頼があり、

雑損控除の研修にて講師を務めることになりました。

ちょうど1週間後に行う予定です。

雑損控除は、

調べれば調べるほど、

「そんな風になっていたんだ」と初めて知る部分が多く、

思いのほか難解な制度です。

そして、

被害を受けたおよそすべての方に関わってくる適用範囲の広い制度でもあります。

そこで、

研修資料として作成したデータをこのサイトでも掲載しますので、

雑損控除を使って申告してみようという方に、お役立ていただければ幸いです。

【雑損控除の研修用スライド資料】 ⇐ こちらからPDFでダウンロードできます

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【雑損控除計算書のサンプル】 ⇐ 同じくダウンロードできます

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【確定申告書のサンプル】 ⇐ 同じくダウンロードできます

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雑損控除の意外な運用、取り扱いについて

雑損控除を調べていて、

一般人感覚で意外性を感じた点について、

列記しておきます。

「お墓や墓地」も、雑損控除の対象となる

〇損失額の計算にあたり、家財の推定価額が、「実際にはありえないような高額」になる

〇「車両」が控除対象となる資産に含まれるか否かについて、「けっこう線引きが厳しい」

(しかし、実際の運用面では、そこまで厳しくないという説も・・)

〇台風による浸水被害のときでも、「罹災証明書があり」かつ「その罹災証明書から『浸水被害』が読み取れる」場合には、損壊の被害割合に、「浸水の被害割合を加算できる」

(税務署も、一軒一軒のお宅を回って被害状況を確認するわけにはいかなくて、結局は、提出資料や記録から、申告内容の適否を判断せざるを得ないから)

〇雑損控除の対象となる修理費用について、「期間制限」が設けられている

〇「車両」について、「修理不能の場合における買い替え費用」は、雑損控除の対象にならない

〇雑損控除も、発生主義に沿って申告する(片づけやリフォームや保険金請求が全部終わってから、ではない)

〇申告期限について、サラリーマンや年金受給者は、急ぐ必要なし。事業者は通常どおり

〇「災害減免法による税額控除」の要件当てはめにあたり、時価算定が困難な場合には、「雑損控除の推定価額を使用してよい」

加えて、「雑損控除の被害割合表も使用してよい」

さらには、浸水被害の際の「被害割合の加算」も認められる

書いてて思ったのですが、

災害減免法による税額控除って、

救済制度としての存在意義があるのだろうか?

(選択適用の制限があったり、かといって、相対する制度(雑損控除)の規定を流用してよかったり。あと車の被害は無視されてるし)

そんなわけで、ご参考までー。