お疲れ様です。
税理士の浅原です。
今週から、災害連絡協議会に参加して、無料相談ブースに入って他の専門家たちとともに、被災者支援にあたっています。
被災者支援といっても、一個人であるわたしにできることなど、ほんの僅か。
既存の制度の中で、少しでも被災された方の負担軽減につながるものをご紹介するだけ。
それでも、やらないよりはやった方が、ちょっとは状況が良くなるはず、と思って、引き続き支援活動をしていこうと思います。
相談に来られる方のお話では、やはり住宅や家財に被害を受けたという内容が多いので、そのような場合に使える負担軽減につながる税制を、財産別にご紹介します。
目次
「土地、建物」が損害を受けた場合
【固定資産税】被災による減免
自然災害による損傷によって、価値が減少した「宅地」や「農地」、「建物」については、その被害の程度に応じて固定資産税の40%~100%が免除されます。
市役所の固定資産税課が受付窓口になりますので、そちらに減免申請書を提出してください。
固定資産税・都市計画税の減免について:静岡市 (shizuoka.lg.jp)
【市県民税】納税猶予
自然災害を受けたことにより、市税を納付することができない状況にある、と認められる場合には、1年以内に限り、市県民税の納税を猶予してもらうことができます。
市の納税課に、添付書類とともに猶予申請書を提出してください。
申請期限は特にないので、猶予を受けようとする期間より前に、提出してください。
【所得税】雑損控除
自然災害により、納税者本人、または生計同一の扶養配偶者もしくは扶養親族の所有する住家(自宅)が損害を受けた場合には、次のいずれか多い金額を、所得金額から控除できます。
①災害損失額-総所得金額の10%
②災害関連支出額-5万円
No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁 (nta.go.jp)
災害により被害を受けられた方へ(雑損控除における「損失額の合理的な計算方法」)|国税庁 (nta.go.jp)
雑損控除は、所得税計算における所得控除の一項目ですので、所得税申告書にて雑損控除を適用すれば、そのまま自動的に、市県民税の計算でも雑損控除の適用を受けることができます。
雑損控除の適用を受ける場合には、各地域の税務署に確定申告をする際に、書面に必要事項を記載して提出するようにしてください。
また、罹災証明書や、被災の事実を証明する資料も合わせて提出してください。
なお、雑損控除の控除額が、その年の所得を超えてしまい、引ききれない金額が出た場合には、翌年以降3年間に渡り、繰り越すことができます。
【所得税】災害減免法による税額控除(雑損控除との選択適用)
上記の雑損控除と同様に、自宅や家財について損害を受けた場合に、次の2つの要件を満たせば、災害減免法による税額控除を受けることができます。
①被害を受けた住宅や家財の損害額が、それらの時価の2分の1以上であること
②被害を受けた年の所得金額が1000万円以下であること
この控除制度が適用されると、被害の程度に応じて、その年の所得税額の25%~100%が免除されることになります。
また、この制度は、所得税のみの制度になりますので、市県民税については、別途、雑損控除を受けることができます。
その場合には、所得税申告書とは別に、住民税申告書にて雑損控除の計算を行い、市役所の市民税課に提出してください。
なお、この控除計算の対象となる資産は、上記、雑損控除と同じ範囲になります。
【所得税】住宅ローンの控除期間の延長
通常、住宅ローン控除を受けるためには、「その住宅ローンで購入した家屋に住んでいること」が条件となります。
そのため、自然災害の被害をうけたことにより、住宅ローンの対象家屋に住めなくなった場合には、形式的には住宅ローン控除も、その時点で打ち切りになるはずです。
もっとも、住めなくなった理由が、自然災害の影響による場合には、特例として、引き続き残りの期間についても、住宅ローン控除を受けることができます。
なお、数年後に2つ目の住居の取得することになり、新たに住宅ローンを組んだ場合や(二重適用)、住宅ローンの対象家屋を他者に賃貸した場合(収益運用)など、一定の場合には、この控除期間の延長は、打ち切りとなります。
「家財」が損害を受けた場合
【市県民税】納税猶予
上記、土地建物の被害と同様、適用可能です。
【所得税】雑損控除
自然災害により、家財が被害を受けた場合にも、雑損控除の適用があります。
所有者の範囲は、上記、土地建物の場合と同様です。
【所得税】災害減免法による税額控除(雑損控除との選択適用)
家財の被害についても、土地建物の場合と同様、災害減免法による税額控除が認められます。
「車両」が損害を受けた場合
【自動車税】廃車に伴う還付
自然災害により、車両が被害を受けて廃車となった場合には、自動車税の還付を受けることができます。
普通車の場合は、県の財務事務所。
軽自動車の場合は、軽自動車検査協会。
それぞれの管轄窓口で、還付申請をしてください。
【所得税】雑損控除
車両が被災した場合にも、上記と同様、雑損控除の適用を受けることができます。
【所得税】災害減免法による税額控除(雑損控除との選択適用)
土地建物や家財と同様、雑損控除と災害減免法のどちらか有利な方を、選択することができます。
まとめ
これらの制度を活用して、できるだけ経済的負担を軽くしておけば、少しでも被災後の生活が楽になるのではないかと思います。
この他にも、社会保険料の減免制度もありますので、また別のブログでご紹介します。