伝わらない時はあきらめる

お疲れ様です。

税理士の浅原です。

日ごろからできる限り、

人や事象とちゃんと向き合うように心がけています。

「ちゃんと向き合う」というのは、わたしにとっては、

「ちゃんと受け取って」、

「ちゃんと考えて」、

「ちゃんと伝える」

ということです。

「ちゃんと」というのは、

「できる限り」とか、「せいいっぱい」

という感じですね。

この中で一番難しいのは、

「ちゃんと伝える」という部分です。

「伝える」には、相手の存在があるからです。

昨年、顧問契約を申し込まれた方が、

昨年末に顧問契約を解約したいとおっしゃってきて、

残念ながら、税理士としての見せ場のないまま、

半年くらいのお付き合いで終わってしまったのですが、

そのとき、ちゃんと伝えるのは難しいと、

ひしひし感じました。

その時のことを書いてみます。

顧問契約の申込み

もともとその方とは、

私がやっている税理士とは別の不動産事業で知り合いました。

ひとりでやっていた個人事業の方で、

とても気さくで人柄もよかったので、すぐに仲良くなり、

リピートで仕事を何度も依頼していました。

ある時、その方から、

法人設立を考えているので、相談に乗ってほしいといわれて、

わたしの知る限りの知識や経験をお伝えしたのですが、

結果的に、法人を設立することを決められて、

同時に顧問契約の申し込みとなりました。

顧問契約の解約

昨年、新たに購入した物件のリフォームを、

その方にお願いしていたときのことです。

ワンルームが9部屋という小ぶりな物件だったのですが、

想像していたよりも損傷個所(というか建築会社の手抜き?)が多く、

リフォーム作業が難航していました。

その方にお願いした作業も、別の作業のあおりを受けたり、

その方自身も、「ほかの部屋の事情が干渉してくる状態」に慣れていないこともあって、

当初の想定よりも、だいぶ時間がかかっていました。

見かねたわたしがあるとき、

「ほんとはこの物件の工事、もう嫌になっているでしょ」と聞いたら、

「実はそのとおりで、

ここの工事どころか、この物件の近くにも寄りたくない」

とおっしゃいました。

わたしは、

この方にかなり苦労を掛けてしまったことと、

工事の采配のミスマッチを反省しました。

別の日に、

この方にお願いしている工事が、予定していた日に完了できなかった、

ということが発生し、

「これ以上負担をかけるのは、この方にも申し訳ないし、わたし自身も困る」と判断して、

「〇〇さんにお願いしていた工事は、別の職人さんにお願いするようにしますから、

今日で現場から引き揚げてもらって大丈夫です。

大変でしたね。いままでありがとうございました。

途中になっている工事のお金も払いますから、安心してください。

これからも、引き続きよろしくお願いします」と伝えました。

そして、数日後に、

「顧問契約を終わりにします」というメールが、

この方から届きました。

この方にとっては、

自分が進めていた工事が途中で取り上げられる(別の人に切り替えられる)ということが、

どうにも許せなかったようです。

しかし、わたしとしては、

わたしがお願いした工事で、明らかに苦労をしていて、

精神的にも不調をきたす状態になってしまっている状況でしたので、

「この方を、過剰な負担から解放するためにした判断」という認識でした。

わたしは電話で、

「〇〇さん、それは誤解ですよ。

わたしは〇〇さんを信頼しているし、これからも仕事を依頼したいと思っているよ」

と伝えたのですが、

電話の先のこの方には、伝わりませんでした。

その方にお願いした壁紙の張替え。補修を依頼するつもりだったけど、自分で補修するしかない。

壁紙をカットする位置がずれてしまったようで、隙間が発生している。

車に積んであったありものの材料を用意。

コーキングで隙間を埋める。

補修跡はわかってしまうけど、まあしょうがない。わたしにできるのは、このあたりが限界。

伝える努力とあきらめ

コミュニケーションは難しい、と日ごろから感じています。

親しいと思っているような間柄でも、

たとえ家族あっても、心の内まではわかりません。

とはいえ、

わからないからといって、無関心にはなりたくない。

コミュニケーションをないがしろにする、ということは、

人として生きることをないがしろにするのと同じです。

人間である以上、人間社会の中でしか生きられない。

たとえ、自給自足の生活を選んだとしても、

野生動物のように単独で生きていくことはできないし、

そのような人生にはしたくない。

わたしのような、舌足らずで空気が読めない人間でも、

やっぱり、人との関わりの中で生きていきたいんですよね。

そんなわけで、わたしは、

思いを伝えることには努力が必要だと思っています。

できるだけ正確に、豊かに、

自分の考えを表現できるようパワーを割くべきだ、

と思っています。

そして同時に、

伝えた後の相手の反応については、

必要以上に干渉しないことにしています。

誤解があれば、誤解を解く努力をする、くらい。

そんな感じで、

日々、人と向き合っています。