お疲れ様です。
税理士の浅原です。
私は仕事柄、工務店さんや内装業者さんと接する機械が多いのですが、そういった業種の方たちと最初に仕事をするときは、必ず賠償責任保険に加入しているかどうかを確認します。
工事を発注するうえで、元請け業者さんが賠償責任保険に加入していることは、必須と考えています。
そして、税理士として業務を請け負う立場のわたしにも、賠償責任保険は必須であり、保険金額1,000万円の税理士賠償責任保険に加入しています。
税理士賠償責任保険を使ったことがある
5年ほど前に、わたしは税理士賠償責任保険を利用しました。
相続税申告でのミスが原因でした。
それまでも、何度か相続税申告は行っており、また税理士試験の受験科目でも、そうとう相続税法は勉強してきましたので、「相続税申告で、わたしがミスすることはないだろう」とタカを括っていたのが、そもそもの間違いでした。
規模の大きい相続税申告では、初めて見る事例に遭遇することがよくあります。
わたしがミスをしたのは、その時初めて見た「区画整理の対象となった土地」と「事業用定期借地権」でした。
「区画整理」では、実際に相続人に割り当て有られた土地と、登記簿上の土地の番地が異なります。
そして、困ったことに、ご遺族がそのことを正確に理解していない場合があり、ご遺族へのヒアリング結果をもとに進めてしまうと、まったく違った土地について相続税計算をしてしまう可能性があります。
わたしはそのとき、「区画整理」の方に手いっぱいになり、「事業用定期借地権」のフォローが疎かになっていることを見逃してしまいました。
結果的には「区画整理」に計算違いがあり(現実的には、整理事業により交換する土地は価値が同等になるように計算しているので、税額には大きな差はないのですが)、さらに「事業用定期借地権」では、大ミスをかましてしまいました。
わたしは、税務調査でそのミスを指摘され、お客様に対して100万単位で賠償責任を負うことになりました。
税理士賠償責任保険に加入していて助かった
その相続案件は、それ以外にも複雑な事情があったので、お客様とは何度も綿密な打ち合わせを繰り返してきました。
その中で、お客様がわたしの仕事への姿勢を評価してくれたようで、「浅原さんには十分にお世話になったから、追加の出費は全部こちらで持つから安心してほしい」と言ってもらえました。
お客様のお気持ちはうれしかったのですが、とはいえ、わたしも専門家の端くれとして、お客様の厚意に甘えてばかりはいられません。
「今回のお客様への税務相談の中で、説明内容にミスがあった」ということで、税理士賠償責任保険から、保険金を出していただき、それでも不足する分はわたしが負担しました。
「ミス」は無くならない
わたしは、仕事への基本姿勢として、「どれだけしっかりやってもミスは起こる」と考えています。
長く仕事を続けていれば、どこかで、自分にとっての未知の事例には遭遇しますし、そもそも、未知の事例に積極的に向かっていかなければ、仕事には「広がり」も「深まり」もなくなってしまいます。
また、生き物である人間が処理をする以上、必ずコンディションも問題になります。
40代になれば、ベストコンディションなど望むべくもありません。
コンディションの良し悪しが、仕事に影響を与えないように注意してはいますが、やはりどこまで行っても「絶対」はないのです。
こういった経験から、わたしは、税理士として活動する以上は、税理士賠償責任保険への加入は必須とし、同時に、わたしが業務を依頼する事業者さんにも、賠償責任保険に加入していることを求めるようにしています。
スモールビジネスでは、ちょっとしたミスが致命傷につながります。
そういう事例を見てきました。
致命傷を避けられれば、生き延びる可能性が高まります。
致命傷を避けるための、賠償責任保険です。