似たような勘定科目の使い分け

お疲れ様です。

静岡の税理士、浅原です。

日々、会計データを作成していますと、

同じようなネーミングの勘定科目をどのように使い分けるべきか悩む時があります。

いまでこそ、悩むことにさほど時間を使わないようになりましたが、

税理士になりたてのころは、結構細かく使い分けたり、

使い分けにこだわりを持ったりしていました。

現在は、私が考える合理性の下で、最小限の使い分けに留めています。

私がやっている勘定科目の使い分けについて、書いてみます。

勘定科目は、細かくしすぎない方がよい

私の場合、使用する勘定科目は、できるだけコンパクトにまとめて、

やたらと細かく分類しすぎないように気を付けています。

似たような勘定科目の場合は、どちらか一方に寄せてしまい、

残った科目は使わないようにしています。

それは、つぎのような理由からです。

  • 勘定科目は、分散させずにコンパクトにまとめた方が、科目ごとの金額の推移が把握しやすい(前月比・前期比などで、メリハリを出しやすい)
  • 勘定科目を分散させてしまうと、過去の会計処理との統一性を保持することに時間がかる(似たような勘定科目の場合、以前の会計処理を確認してからでないと、目の前の会計処理を進められない)
  • 手間をかけて勘定科目を細かく分けても、お客様にはメリットがない(納税額には全く影響がない。試算表や決算書の見た目も、利用価値のない文字と数字が増えるだけ)

そのうえで、決算処理を見据えた必要な使い分けはしっかりやっておく、という感じです。

以下、科目ごと具体的にみていきます。

消耗品費と事務用品費

私は、事務用品費は使いません。

事務用品を買ってきた場合には、すべて消耗品費で処理しています。

事務用品費は、消耗品費の内訳のひとつ、くらいの意味合いです。

一般的な事業所ならば、消耗品費と分けて計上しなければならないほど、

事務用品を買い込んで来ることもないでしょうし。

事務用品費は、消耗品費に含めて会計処理をしています。

諸会費と組合費

私の場合、組合費は使わずに、すべて諸会費にまとめています。

諸会費の方が広い概念で、その中の一部に組合費も含まれる、というイメージです。

諸会費とは別に集計したくなるほど組合費が多く取られる(※)、という業界なら、

分けた方がいいかもしれませんが。

(※)私が所属する東海税理士会では、東海税理士会に対して年約8万円、さらにその中の支部に対して年約8万円、合わせて年間16万円くらいを払っています。毎年、5月~6月あたりに徴収されます。ひとりで事務所をやっていると、売り上げ自体のロットが少ないので、あーもうなんだか、諸会費とは別立てしたい気分です。

地代家賃と賃借料

賃貸系の科目では、この2つが主に使われます。

これ以外に、「リース料」というのもありますけど。

私の場合、次のように使い分けています。

  • 土地、建物、駐車場といった不動産関連の賃料・・・地代家賃
  • リース会社、レンタカー、一時保管の倉庫などの賃料・・・賃借料(またはリース料)

税務上では、毎年、年明けあたりの時期に、「法定調書の作成」という事務手続きがあります。

この事務手続きの中では、

前年中に支払った不動産関連の賃料を、支払い先ごとに集計する作業があります。

その事務作業をスムーズに進めるために、期中の会計処理上で、

不動産関連の賃料だけを集めた科目を作り、支払い先ごとに集計しやすいようにしておけば、

法定調書作成作業の時間短縮につながります。

法定福利費と福利厚生費

法定福利費は、ネーミングの通り、法令上の支払い義務を負っているもの。

福利厚生費は、事業所の判断で、職場環境の改善を目的に支出するものです。

それぞれネーミングが似ているので、会計データの入力を始めたばかりの方は、

両者がごちゃごちゃになってしまうことがよくあります。

両者の大きな違いは、消費税の取り扱いです。

法定福利費は、法令上の義務を負って、行政機関に支払うものを集計する科目なので、

すべて消費税は非課税になります。

反面、福利厚生費は、事業所の判断で支払うものであり、支払い先も様々です。

従業員であったり、業者さんであったり、飲食店であったり、お土産屋さんであったり。

その結果、消費税の区分も、

10%課税、8%課税、非課税、課税対象外と、フルパターンが登場します。

そのような点から、法定福利費と福利厚生費は明確に分けておいた方が、

最後に決算時点で、消費税区分の確認をする際に、各段に作業をしやすくなります。

会議費と交際費

飲食代を支払った時に、

「あれ?これって交際費だっけ?それとも会議費だっけ?」と迷うことがあります。

使い分けとしては、次のようになります。(参考までに、福利厚生費も書いておきます)

  • 事業の関係者(内部外部双方含む)に、事業と直接関係することで支払った・・・会議費
  • 事業の外部関係者に、事業と直接関係ないことで支払った(事業と全く関係ないものは除く)・・・交際費
  • 事業の内部関係者(主に従業員)に、事業と直接または間接的に関係することで支払った・・・福利厚生費

以上の点から、飲食代に関しては、

仕事関係のことを話し合う場としての飲食代であれば、

同席するのが外部の方でも内部の方でも、すべて会議費で大丈夫です。

それに対し、

仕事とは直接関係ない場(慰労、歓迎、接待など、間接的に関係するならオーケー)での飲食であれば、

同席する相手によって、交際費にしたり福利厚生費にしたりします。

この場合、注意しておきたいのが、交際費には上限がある、ということです。

具体的には、経費に計上できるのは、年間で800万円までです。

(中小企業の方で、年間800万円の交際費を使うところは、いままで見たことがありませんけど)

せいぜい、使っても年間100万円くらい(※)だと思いますが、

上限があるということは、踏まえておきたい点です。

(※)かつて、ゴルフ好きの社長の会社で、年間に☆00万円の交際費を計上したことがあります。中身は、ほぼすべてコース代でした。売り上げの増減とは関係なしに、毎年固定で☆00万円の支出は、私のような外部の人間でも、見ていて恐ろしくなります。奥様も、何度たしなめてもいうこと聞かない、とあきらめていました。最後、借金が返せなくて破産しました。

まとめ

似たような勘定科目の使い分けについて、書いてみました。

科目をどちらにするかで、迷わないようにしたいですね。

昨日の仕事

  • 清水区三保のお客様の会計データの入力

会計データをチェックしているときに、新型コロナの事業復活支援金の支給条件に合致することに気がついた。

当初の申請期限の5月26日は、意識していたところだが、改めて経産省のサイトを確認したら、6月中旬まで申請期限を延長していたので、今からなら落ち着いて取り組める。

  • 自分の会社の会計データの入力

4月決算なので。

ぼちぼちやらんと。

  • 事務用品の買い出し

ボールペンのインクがなくなり、近所のカインズに買い出し。ついでに封筒も。

小さな頃から文房具が好きで、特にボールペン(※)にはこだわりがあった。

(※)以前、放送局に勤めていた新人のころ、職場で「俺、ピロットのボールペン好きなんスよねー。ピロット書きやすいっス」と言ったら、先輩から「浅原、おめーそれ、パイロットのことか」と問われて、「いやパイロットじゃなくって、ピロットが好きっス」と返したら、「だからそれ、パイロットだよ」と爆笑されたことを思い出す